串刺し ~立体図形 その3 前半~
無花果・柿・八朔!
お元気ですか?
いちじく、かき、はっさくの青い実です。
散歩をしていて、イチジクの果樹園、柿やりんごの植えられたお庭、ハッサクのあるあぜ道を見かけました。
イチジクはすでに出荷が可能な実もありましたから、そろそろお店でも見かけるようになるんでしょう。
柿の木についた実はまだどれも青く、特にこの柿は渋柿ですから、
食卓に上るまでにはまだ時間がかかりそうです。
ハッサクはその漢字からわかるように、8月に食べることから名がつけられたようですが、
現在植えられている品種ではむしろ冬前に出荷されるようです。
同じように木になる青い実でも、熟すまでの期間はそれぞれ異なっているんですね。
まるでお子さんたち一人ひとりが、
実力を発揮できるようになるまでの期間に長短があるのに似ているように思われます。
しかしかかる時間は違えど、冬までにはそれぞれの成長を遂げていくのでしょう。
今回の散歩では青い果実の3点セットを見ることになったのですが、
青い果実≒若者が3人といえば、毛利三兄弟の「三本の矢」の話を思い出します。
「1本1本では簡単に折れてしまう矢も、3本束ねると折ることが難しい。
兄弟3人が力を合わせていきなさい。」という教えです。
ここにでてくる「矢」という武器は、敵を貫く道具ですね。
貫くといえば、「立体図形の串刺し」は難問です。
ということで今回のテーマは、もちろん「串刺し ~立体図形 その3 前半~」です。
「串刺し」も「切断」とならんでは非常に難しいテーマです。
この問題も「切断」同様に空間把握力がものをいうテーマだからです。
難しい立体図形の問題が解けるようになるには、次の2つの力を養うといいと思います。
① ノートの図を書くことが立体図形よりも簡単な平面図形の問題を解く力
② 3次元の立体を②次元の平面に変換する力
空間把握力を補うためには、
①のように「平面図形を書くことになれる」&「平面図形を読み取る力をつける」ことが有効だと思います。
また、②は「見取り図から展開図や投影図を自由自在にかけるようになる力」をさしています。
つまり、頭の中で『なんとなく浮かんだイメージ』を具体化する力をつけるということです。
いずれの場合も、ノートに図を書いて練習するしかありません。
ただ、気をつけたいのは『問題の図を写す』だけでは力がつかないという点です。
単に「ノートの図を書きなさい」という指導ではなかなか力にはなりません。
お子さんを指導される際には、
『問題の図を写す』ことと『問題の条件を図を書くことでつかみ取る』ことは別だということを、
指導される方は意識するとよいと思います。
【問題】
図はある1辺の長さが1cmの立方体を積み上げた、たて8cm、横12cm、高さ6cmの直方体です。点Aと点Bを結ぶ直線が通過する立方体の個数を求めなさい。(甲陽中 改題)
この問題を解く特別なテクニックを知っていれば「瞬殺問題」ですが、
始めてみるお子さんにはとても厄介な問題です。
図を書くにしても内側の立方体まで書こうとするとグチャグチャになってしまって、
何がなんだかわからないですよね。
そこでいったん問題を離れ、もう少し立方体の個数が少ない問題で考えて見ましょう。
「図はある1辺の長さが1cmの立方体を積み上げた、たて1cm、横2cm、高さ1cmの直方体です。
点Aと点Bを結ぶ直線が通過する立方体の個数を求めなさい。」
という問題だったらどうでしょう。
これなら「見取り図」をかくことができますね。
この図を見ると、赤色の直線は立方体が接している緑色の面と点Pで交わっていますね。
ということは、緑色の面の両側にある立方体を通過したことになります。
このことから、「何個の立方体を通過するか」という問題は、
「何面と交わるか」という問題に『読み換える』ことができそうだとわかります。
確かめてみましょう。
この図では、2面と交わっているので、3個の立方体を通過しています。
では、もう少し立方体の個数が多い問題で考えて見ましょう。
「図はある1辺の長さが1cmの立方体を積み上げた、たて2cm、横3cm、高さ1cmの直方体です。
点Aと点Bを結ぶ直線が通過する立方体の個数を求めなさい。」
という問題だったらどうでしょう。
この場合は次のような図になるのですが、面と交わる点P、Q、Rの位置決めが難しいですね。
ここで役立つのが「投影図」です。
この見取り図を、真上と正面から見てみましょう。
正面からでは点Qの位置がわかりませんが、真上からだとわかりやすいですね。
このように「見取り図→投影図」というとき方を理解していると、
一見難しい問題も比較的容易に解くことができるようになります。
しかし元の問題はもっと立方体が多く、しかも「3階建て」です。
どうすれば解けるのでしょうか…?
少し長くなりましたので、この続きは次回ご紹介しますね。
乞うご期待!