入試問題編 ~グラフを読む~
夾竹桃!
お元気ですか?
キョウチクトウです。
キョウチクトウはインド原産の低木で、
花が桃の花に、葉が竹の葉に似ていることからこの名がついたそうです。
キョウチクトウは根、茎、葉、花、種子などすべてに毒を持ち、
その毒性は青酸カリよりも強いとも言われますが、
「毒を以て毒を制す」の言葉通り、生薬でもあります。
病気や害虫に強いため、
関東地方以南では高速道路の脇や工場の敷地にもよく植えられていますので、
目にしたことがある人も多いことでしょう。
ただ、日照不足だったり雨にあたったりすると、ポトポトと花を落としてしまいます。
たまり水夾竹桃の花落ちてなほ雨らしき空もよひかな 利玄
梅雨も明けちゃいましたが、今日の空模様は曇り空。
そんな雨といえば…、水!
というわけで、今回のテーマは「水の問題 ~グラフを読む」です。
今日の問題は、桜蔭中2010年の入試問題です。
※印字機能の関係で「平方」や「立方」をあらわす「2」、「3」が上付き文字になっていません。
【問題】
図1のような縦100㎝、横60㎝、高さ33㎝の直方体の水そうの中に、底面に垂直な高さ15㎝と30㎝のしきりがついています。しきりは側面と平行です。しきりで区切られたところを左からA、B、Cとします。Cの横は20㎝です。Bの底には、一定の割合で水が出る穴があり、せんは閉じてあります。Aに毎分1.5リットルの割合で、Cに毎分ある一定の割合で8時ちょうどに同時に水を入れ始めます。水がAからBにうつり始めてから10分後にBのせんをぬきます。その後CからBに水がうつり始めます。CからBにうつり始めてから10分後にBのせんを閉じます。1分間にBの穴から出る水の量とCに入れる水の量の比は2:5です。また、図2は8時以降のBの水面の高さをグラフにしたものの一部です。ただし、しきりの厚みは考えないことにします。
(1)水そうBの横の長さを求めなさい。また、Bの穴から毎分何リットルの割合で水が出るか答えなさい。
(2)図2のグラフのアとイにあてはまるものを求めなさい。
(3)9時のBの水面の高さを求めなさい。
本文が長い問題ですね。
こんな問題で時間をかけない方法はただひとつ、はじめに「下ごしらえ」をすることです。
つまり、条件を見やすく整理して、設問以外は二度と見なくてすむようにしておくのです。
水の問題ですから、整理方法は決まっていますね。
「正面から見た図(投影図)をかく」です。
また、水位変化のグラフが与えられていますね。
グラフのポイントは、「変化点の理由(なぜグラフが曲がるのか)」を考えることです。
これらのことをふまえて整理していきましょう。
毎分1.5リットルという水量は、
(体積 1500㎝3)÷(奥行 100㎝)=(投影図にかいた水の面積 15㎝2)
としておいてもOKです。
本文の「水がAからBにうつり始めてから10分後にBのせんをぬきます。その後CからBに水がうつり始めます。CからBにうつり始めてから10分後にBのせんを閉じます。」から、先にAからBへ水がうつり、CからBにうつるのはそのあとだとわかります。
この当たり前の条件を使って、グラフに変化が起きる8:10までの様子を書き込みましょう。
一気に問題の条件をすべて書き込むのではなく、「出来事の区切り」ごとに、「今、何がわかるのか?」を考える癖をつけると、作問者の意図が見えてくるので、正解を得やすくなります。
ここ、ポイントです!
さて、この図からは、Aの横の長さがわかることに気づけますね。
1500㎝3×10分÷(15㎝×100cm)=10㎝です。
ですから、Bの横の長さは、60㎝-(10㎝+20㎝)=30㎝とわかります。
いきなり(1)の答え(前半)が求められました。
さらに、次の出来事まで進めてみましょう。
次の出来事は、「水がAからBにうつり始めてから10分後にBのせんをぬきます。」でしたね。
ここでは何も新しいことはわからないようです。
では次に行きます。
次は「CからBにうつり」です。
こんどは、Cについてわかることがありますね。
20㎝×30㎝×100㎝÷40分=1500㎝3=1.5リットル
これが右の蛇口から1分間に入る水です。
ということは、
1.5リットル×(2/5)=0.6リットルがBの穴から出る水の量です。
これで(1)の後半の答えもわかりました。
このように、
「問題の条件を区切って考えていくと、自動的に小問の答えがわかる」
ように作ってある問題は、入試ではよくあります。
さあ、ここまでで、水そうの寸法や注がれる水量、出ていく水量のすべてがわかったのですから、
あとはただの計算問題です。
この問題に関しては、(1)が正解できる受験生は、(1)~(3)のすべてを正解でき、
逆に(1)でミスをした受験生は「全滅」するため、
一気に点差がつく恐ろしい問題だという事がわかります。
(1)が難問であれば、多くの受験生がこの問題で得点できないので差はつきませんが、
この問題のように「整理」さえすれば解ける問題では、得点差がついてしまうのです。
いわば、一人だけ取り残されてしまうということです。
このタイプの問題でミスすることは本当に危険なんです。
(2)アは8:40のBでの水の深さですから、
5㎝+(1500㎝3-600㎝3)×20分÷(30㎝×100㎝)=11㎝です。
ということは、(2)イはBにあと4㎝の水をいれる時間です。
このとき、Cからも水が入るのでグラフが急激に増えているんですね。
30㎝×4㎝×100㎝÷(1500㎝3×2-600㎝3)=5分
8時40分+5分=8時45分 → 8:45が答えです。
(3)も、
「その後CからBに水がうつり始めます。CからBにうつり始めてから10分後にBのせんを閉じます。」
を忘れなければ大丈夫です。
(2)でCからBに水が5分間うつりましたから、あと5分、8:50までが一区切りです。
(1500㎝3×2-600㎝3)×5分÷(40㎝×100㎝)=3㎝
9時まではあと10分ありますから、
1500㎝3×2×10分÷(40㎝×100㎝)=7.5㎝
15㎝+3㎝+7.5㎝=25.5㎝
このように、長文の問題は、「下ごしらえ」をして、「出来事ごとに区切って、
今何がわかるのか」を考えると解きやすいことが多いのです。
この訓練ができれば、「頭の中で整理をする」ことも可能になります。
さあ、この夏休み、こんな訓練をしながら問題に取り組めば
秋の実りが期待できそうですよ!
お元気ですか?
キョウチクトウです。
キョウチクトウはインド原産の低木で、
花が桃の花に、葉が竹の葉に似ていることからこの名がついたそうです。
キョウチクトウは根、茎、葉、花、種子などすべてに毒を持ち、
その毒性は青酸カリよりも強いとも言われますが、
「毒を以て毒を制す」の言葉通り、生薬でもあります。
病気や害虫に強いため、
関東地方以南では高速道路の脇や工場の敷地にもよく植えられていますので、
目にしたことがある人も多いことでしょう。
ただ、日照不足だったり雨にあたったりすると、ポトポトと花を落としてしまいます。
たまり水夾竹桃の花落ちてなほ雨らしき空もよひかな 利玄
梅雨も明けちゃいましたが、今日の空模様は曇り空。
そんな雨といえば…、水!
というわけで、今回のテーマは「水の問題 ~グラフを読む」です。
今日の問題は、桜蔭中2010年の入試問題です。
※印字機能の関係で「平方」や「立方」をあらわす「2」、「3」が上付き文字になっていません。
【問題】
図1のような縦100㎝、横60㎝、高さ33㎝の直方体の水そうの中に、底面に垂直な高さ15㎝と30㎝のしきりがついています。しきりは側面と平行です。しきりで区切られたところを左からA、B、Cとします。Cの横は20㎝です。Bの底には、一定の割合で水が出る穴があり、せんは閉じてあります。Aに毎分1.5リットルの割合で、Cに毎分ある一定の割合で8時ちょうどに同時に水を入れ始めます。水がAからBにうつり始めてから10分後にBのせんをぬきます。その後CからBに水がうつり始めます。CからBにうつり始めてから10分後にBのせんを閉じます。1分間にBの穴から出る水の量とCに入れる水の量の比は2:5です。また、図2は8時以降のBの水面の高さをグラフにしたものの一部です。ただし、しきりの厚みは考えないことにします。
(1)水そうBの横の長さを求めなさい。また、Bの穴から毎分何リットルの割合で水が出るか答えなさい。
(2)図2のグラフのアとイにあてはまるものを求めなさい。
(3)9時のBの水面の高さを求めなさい。
本文が長い問題ですね。
こんな問題で時間をかけない方法はただひとつ、はじめに「下ごしらえ」をすることです。
つまり、条件を見やすく整理して、設問以外は二度と見なくてすむようにしておくのです。
水の問題ですから、整理方法は決まっていますね。
「正面から見た図(投影図)をかく」です。
また、水位変化のグラフが与えられていますね。
グラフのポイントは、「変化点の理由(なぜグラフが曲がるのか)」を考えることです。
これらのことをふまえて整理していきましょう。
毎分1.5リットルという水量は、
(体積 1500㎝3)÷(奥行 100㎝)=(投影図にかいた水の面積 15㎝2)
としておいてもOKです。
本文の「水がAからBにうつり始めてから10分後にBのせんをぬきます。その後CからBに水がうつり始めます。CからBにうつり始めてから10分後にBのせんを閉じます。」から、先にAからBへ水がうつり、CからBにうつるのはそのあとだとわかります。
この当たり前の条件を使って、グラフに変化が起きる8:10までの様子を書き込みましょう。
一気に問題の条件をすべて書き込むのではなく、「出来事の区切り」ごとに、「今、何がわかるのか?」を考える癖をつけると、作問者の意図が見えてくるので、正解を得やすくなります。
ここ、ポイントです!
さて、この図からは、Aの横の長さがわかることに気づけますね。
1500㎝3×10分÷(15㎝×100cm)=10㎝です。
ですから、Bの横の長さは、60㎝-(10㎝+20㎝)=30㎝とわかります。
いきなり(1)の答え(前半)が求められました。
さらに、次の出来事まで進めてみましょう。
次の出来事は、「水がAからBにうつり始めてから10分後にBのせんをぬきます。」でしたね。
ここでは何も新しいことはわからないようです。
では次に行きます。
次は「CからBにうつり」です。
こんどは、Cについてわかることがありますね。
20㎝×30㎝×100㎝÷40分=1500㎝3=1.5リットル
これが右の蛇口から1分間に入る水です。
ということは、
1.5リットル×(2/5)=0.6リットルがBの穴から出る水の量です。
これで(1)の後半の答えもわかりました。
このように、
「問題の条件を区切って考えていくと、自動的に小問の答えがわかる」
ように作ってある問題は、入試ではよくあります。
さあ、ここまでで、水そうの寸法や注がれる水量、出ていく水量のすべてがわかったのですから、
あとはただの計算問題です。
この問題に関しては、(1)が正解できる受験生は、(1)~(3)のすべてを正解でき、
逆に(1)でミスをした受験生は「全滅」するため、
一気に点差がつく恐ろしい問題だという事がわかります。
(1)が難問であれば、多くの受験生がこの問題で得点できないので差はつきませんが、
この問題のように「整理」さえすれば解ける問題では、得点差がついてしまうのです。
いわば、一人だけ取り残されてしまうということです。
このタイプの問題でミスすることは本当に危険なんです。
(2)アは8:40のBでの水の深さですから、
5㎝+(1500㎝3-600㎝3)×20分÷(30㎝×100㎝)=11㎝です。
ということは、(2)イはBにあと4㎝の水をいれる時間です。
このとき、Cからも水が入るのでグラフが急激に増えているんですね。
30㎝×4㎝×100㎝÷(1500㎝3×2-600㎝3)=5分
8時40分+5分=8時45分 → 8:45が答えです。
(3)も、
「その後CからBに水がうつり始めます。CからBにうつり始めてから10分後にBのせんを閉じます。」
を忘れなければ大丈夫です。
(2)でCからBに水が5分間うつりましたから、あと5分、8:50までが一区切りです。
(1500㎝3×2-600㎝3)×5分÷(40㎝×100㎝)=3㎝
9時まではあと10分ありますから、
1500㎝3×2×10分÷(40㎝×100㎝)=7.5㎝
15㎝+3㎝+7.5㎝=25.5㎝
このように、長文の問題は、「下ごしらえ」をして、「出来事ごとに区切って、
今何がわかるのか」を考えると解きやすいことが多いのです。
この訓練ができれば、「頭の中で整理をする」ことも可能になります。
さあ、この夏休み、こんな訓練をしながら問題に取り組めば
秋の実りが期待できそうですよ!