入試問題編 再開! ~同じ問題かも?(後編)~
南天!
お元気ですか?
ナンテンです。
「ナンテン」というと、お節料理の飾りから「冬」のイメージでしょうか…。
例の赤い実ですよね?
でも、花が咲く時期は初夏なんです。
実の色とは対照的な白い花を咲かせます。
ナンテンは厳しい環境にも耐えるのでしばしば庭木にも使われます。
「赤い実がきれい」というだけではありません。
ナンテンは「難転」、「成天(ナルテン)」という縁起の良い言葉につながるからなんですね。
難転は「難を転ずる」「災い転じて福となす」、
成天は「円満成就の吉祥に通ずる」とのこと。
算数的に書けば、「A→B」みたいな感じですかね?
ということで、今日のテーマは前回に引き続き、
「ループ(A→B→C→…→A)」です。
ループの入試問題は、灘中をはじめとして
有名中学の過去問に多くありますが、
今日ご紹介するのは、神奈川県の浅野中 平成21年度の入試問題です。
先週の「類題」と似た考え方ですから、
5年生のお子さんも挑戦してみませんか?
ところで、「クラブ♣のK(キング)」が何か分からないというお子さんはいませんか?
入試では、次の問題のように
「クラブ♣というのはトランプのマークのひとつです」
「Kは13のことです」
といった、説明がないこともあります。
2012年の入試でも「交通機関のプリペイドカードのチャージ」について問題が出ていて、
詳しい説明は省かれていました。
算数の入試問題は、「作問者の身の回り」にあることがしばしばテーマになりますので、
「世間の常識」に慣れるチャンスがお子さんにあるといいですね。
【問題】
ジョーカーを除いたトランプ1組が、最初は上から、スペード♠のA、2、…、10、J、Q、K、クラブ♣のA、2、…、10、J、Q、K、ハート♥のA、2、…、10、J、Q、K、ダイヤ♦のA、2、…、10、J、Q、K、の順に重ねてあります。
この52枚のトランプを、「図8」のように上からちょうど半分のちょうど26枚ずつ上半分の束と下半分の束とに分け、次に上半分の束、下半分の束、上半分の束、下半分の束…という順に、それぞれの束の上から交互に1枚ずつ取って、図のように52枚の新しい束を作ります。これを1回の操作とします。
この操作を何回か繰り返して行うものとして、次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
(1)2回の操作を行った後に、スペード♠の9は上から何枚目になりますか?
(2)この操作を何回か行った後、スペード♠の9が初めて最初の位置(上から9枚目)に戻りました。何回の操作を行いましたか。
(3)2回の操作を行った後に、最初の位置と同じ位置にあるカードは、スペード♠のA、ダイヤ♦のKの他に2枚あります。この2枚のカードが、最初は上から何枚目にあったのかを、それぞれ求めなさい。
どうですか?
先週の例題と同じ作業をしていることに気づけましたか?
先週の操作は、
「1~20の整数を選んで2倍する。
もし、2倍した結果が20をこえたら、さらに21を引いたものを結果とする。」
でしたから、
11~20は
のように、奇数番目になりました。
今回は、
のように、偶数枚目になります。
先週は「1~20」の下半分、「11~20」は2倍して21を引くと奇数番目になったので、
今週は「1~52」の下半分、「26~52」はどうすれば偶数枚目になるのかな…
と思いながら解いてみて下さいね。
(1)は、問題文の指示通り、2回の操作をしてみましょう。
その前に、規則性の鉄則通り、「若い番号で調べて」みましょう。
スペード♠はどれも奇数枚目になっていますね。
ですから、スペード♠の9は1回目の操作で、9×2-1=17(枚目)に移ります。
「17番目は上半分の束」ですから、もう1回操作をしても奇数枚目に移るはずですね。
17×2-1=33(枚目) が、答えとわかります。
(2)は、上半分の束になるのか、下半分の束になるのかに注意します。
先ほど調べた「ハート♥」の表を見ていると、
「最初の位置」×2-52=「操作後の位置」になっていますから、
1回目の操作 9×2-1=17 → 上半分
2回目の操作 17×2-1=33 → 下半分
3回目の操作 33×2-52=14 → 上半分
4回目の操作 14×2-1=27 → 下半分
5回目の操作 27×2-52=2 → 上半分
6回目の操作 2×2-1=3 → 上半分
7回目の操作 3×2-1=5 → 上半分
8回目の操作 5×2-1=9 → 8回の操作で最初の位置に戻ることがわかりました。
この(2)からは、
9→17→33→14→27→2→3→5→9 というループが見つかりました。
同じように、他の整数についても調べてみます。
全部で9つのループが見つかりました。
(3)は「2回の操作で戻る」のですから、
「18→35(→18→35→…)」のループだとわかります。
ですから答えは、18枚目、35枚目 です。
(3)は、少し数学的に考えて、
上半分の束 → 「最初の位置」×2-1
下半分の束 → 「最初の位置」×2-52
なので、「最初の位置を①枚目として考える」という方法もあります。
「場合分け」の登場です!
(ア)上半分の束 → 上半分の束 → 上半分の束(最初の位置)
① → ②-1 → ④-3=① なので、①=1 →1枚目です。
(イ)上半分の束 → 下半分の束 → 上半分の束(最初の位置)
① → ②-1 → ④-54=① なので、①=18 →18枚目です。
(ウ)下半分の束 → 上半分の束 → 下半分の束(最初の位置)
① → ②-52 → ④-105=① なので、①=35 →35枚目です。
(エ)下半分の束 → 下半分の束 → 下半分の束(最初の位置)
① → ②-52 → ④-156=① なので、①=52 →52枚目です。
(3)はどちらの方法でもOKですし、両方できれば最高ですね。
先週は「計算規則が与えられた問題」で、
今週は「計算規則が隠された問題」でした。
しかし、使っている規則はほとんど同じでしたね?
「あぁ、この問題って前に習った〇〇と同じじゃん!」
こんなセリフが出るようになったら、「本物!」に近づいた証拠です。
さあ、夏期講習でこのセリフが出せるよう、
この6月、しっかりと準備をしましょうね!
お元気ですか?
ナンテンです。
「ナンテン」というと、お節料理の飾りから「冬」のイメージでしょうか…。
例の赤い実ですよね?
でも、花が咲く時期は初夏なんです。
実の色とは対照的な白い花を咲かせます。
ナンテンは厳しい環境にも耐えるのでしばしば庭木にも使われます。
「赤い実がきれい」というだけではありません。
ナンテンは「難転」、「成天(ナルテン)」という縁起の良い言葉につながるからなんですね。
難転は「難を転ずる」「災い転じて福となす」、
成天は「円満成就の吉祥に通ずる」とのこと。
算数的に書けば、「A→B」みたいな感じですかね?
ということで、今日のテーマは前回に引き続き、
「ループ(A→B→C→…→A)」です。
ループの入試問題は、灘中をはじめとして
有名中学の過去問に多くありますが、
今日ご紹介するのは、神奈川県の浅野中 平成21年度の入試問題です。
先週の「類題」と似た考え方ですから、
5年生のお子さんも挑戦してみませんか?
ところで、「クラブ♣のK(キング)」が何か分からないというお子さんはいませんか?
入試では、次の問題のように
「クラブ♣というのはトランプのマークのひとつです」
「Kは13のことです」
といった、説明がないこともあります。
2012年の入試でも「交通機関のプリペイドカードのチャージ」について問題が出ていて、
詳しい説明は省かれていました。
算数の入試問題は、「作問者の身の回り」にあることがしばしばテーマになりますので、
「世間の常識」に慣れるチャンスがお子さんにあるといいですね。
【問題】
ジョーカーを除いたトランプ1組が、最初は上から、スペード♠のA、2、…、10、J、Q、K、クラブ♣のA、2、…、10、J、Q、K、ハート♥のA、2、…、10、J、Q、K、ダイヤ♦のA、2、…、10、J、Q、K、の順に重ねてあります。
この52枚のトランプを、「図8」のように上からちょうど半分のちょうど26枚ずつ上半分の束と下半分の束とに分け、次に上半分の束、下半分の束、上半分の束、下半分の束…という順に、それぞれの束の上から交互に1枚ずつ取って、図のように52枚の新しい束を作ります。これを1回の操作とします。
この操作を何回か繰り返して行うものとして、次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
(1)2回の操作を行った後に、スペード♠の9は上から何枚目になりますか?
(2)この操作を何回か行った後、スペード♠の9が初めて最初の位置(上から9枚目)に戻りました。何回の操作を行いましたか。
(3)2回の操作を行った後に、最初の位置と同じ位置にあるカードは、スペード♠のA、ダイヤ♦のKの他に2枚あります。この2枚のカードが、最初は上から何枚目にあったのかを、それぞれ求めなさい。
どうですか?
先週の例題と同じ作業をしていることに気づけましたか?
先週の操作は、
「1~20の整数を選んで2倍する。
もし、2倍した結果が20をこえたら、さらに21を引いたものを結果とする。」
でしたから、
11~20は
のように、奇数番目になりました。
今回は、
のように、偶数枚目になります。
先週は「1~20」の下半分、「11~20」は2倍して21を引くと奇数番目になったので、
今週は「1~52」の下半分、「26~52」はどうすれば偶数枚目になるのかな…
と思いながら解いてみて下さいね。
(1)は、問題文の指示通り、2回の操作をしてみましょう。
その前に、規則性の鉄則通り、「若い番号で調べて」みましょう。
スペード♠はどれも奇数枚目になっていますね。
ですから、スペード♠の9は1回目の操作で、9×2-1=17(枚目)に移ります。
「17番目は上半分の束」ですから、もう1回操作をしても奇数枚目に移るはずですね。
17×2-1=33(枚目) が、答えとわかります。
(2)は、上半分の束になるのか、下半分の束になるのかに注意します。
先ほど調べた「ハート♥」の表を見ていると、
「最初の位置」×2-52=「操作後の位置」になっていますから、
1回目の操作 9×2-1=17 → 上半分
2回目の操作 17×2-1=33 → 下半分
3回目の操作 33×2-52=14 → 上半分
4回目の操作 14×2-1=27 → 下半分
5回目の操作 27×2-52=2 → 上半分
6回目の操作 2×2-1=3 → 上半分
7回目の操作 3×2-1=5 → 上半分
8回目の操作 5×2-1=9 → 8回の操作で最初の位置に戻ることがわかりました。
この(2)からは、
9→17→33→14→27→2→3→5→9 というループが見つかりました。
同じように、他の整数についても調べてみます。
全部で9つのループが見つかりました。
(3)は「2回の操作で戻る」のですから、
「18→35(→18→35→…)」のループだとわかります。
ですから答えは、18枚目、35枚目 です。
(3)は、少し数学的に考えて、
上半分の束 → 「最初の位置」×2-1
下半分の束 → 「最初の位置」×2-52
なので、「最初の位置を①枚目として考える」という方法もあります。
「場合分け」の登場です!
(ア)上半分の束 → 上半分の束 → 上半分の束(最初の位置)
① → ②-1 → ④-3=① なので、①=1 →1枚目です。
(イ)上半分の束 → 下半分の束 → 上半分の束(最初の位置)
① → ②-1 → ④-54=① なので、①=18 →18枚目です。
(ウ)下半分の束 → 上半分の束 → 下半分の束(最初の位置)
① → ②-52 → ④-105=① なので、①=35 →35枚目です。
(エ)下半分の束 → 下半分の束 → 下半分の束(最初の位置)
① → ②-52 → ④-156=① なので、①=52 →52枚目です。
(3)はどちらの方法でもOKですし、両方できれば最高ですね。
先週は「計算規則が与えられた問題」で、
今週は「計算規則が隠された問題」でした。
しかし、使っている規則はほとんど同じでしたね?
「あぁ、この問題って前に習った〇〇と同じじゃん!」
こんなセリフが出るようになったら、「本物!」に近づいた証拠です。
さあ、夏期講習でこのセリフが出せるよう、
この6月、しっかりと準備をしましょうね!