2011年度を振り返って ~開成中と灘中の入試問題~
鴨脚樹!
お元気ですか。
今年最後のブログはイチョウです。
公孫樹の別名もあるこの木、実は銀杏としておなじみですね。
中国では、鴨の足跡に似ていることから、この名がついたとか…。
このイチョウ、神戸の街の真ん中で撮影しました。
イチョウ並木は大阪の御堂筋が有名ですが、
神戸にも短いながらも並木道があります。
神戸は市役所前の道をフラワーロードといい、
フラワーロードはもちろん、街のあちらこちらで花や木を見ることができます。
さて、先週は出版原稿の関係でお休みしてしまいましたが
なんとか原稿も仕上がりました。
そんな何かとあわただしかった12月ももう最終週。
年の瀬がせまった今回のテーマは…。
「2011年度の入試問題を振り返って」
です。
2012年度入試を前に、昨年度の入試問題から
興味深い問題を見てみましょう。
次の問題は開成中の問題3です。
【問題】
十野くんは1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨をそれぞれたくさん持っています。また、五十川くんは1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨を、百山くんは1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨、100円硬貨をそれぞれたくさん持っています。
たとえば十野くんが20円を支払うとき、硬貨の組み合わせは次の9通りです。
このとき、10円硬貨の枚数に着目すると、
1+3+5=9=3×3
となっていることがわかります。
(1)十野くんが70円を支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。また、五十川くんが70円を支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。
(2)百山くんが170円を支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。
一方、次の問題は灘中1日目の問題5です。
【問題】
1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨がたくさんあります。これから必要な枚数だけ取り出して、合計金額を10円にする方法は4通り、合計金額を50円にする方法は□通り、合計金額を100円にする方法は□通りあります。
どうですか? そっくりでしょ?
こんなこともあるんですね。
開成中も灘中も日本を代表する難関中学です。
そのような学校が出題するんですからハイレベルな問題に決まってます。
言い換えればあまり「類のない問題」なのですが、
それでも問題が被ることがあるんです。
もっとも灘中の出題は、
開成中がヒントとして出したところを自分で発見させるのがその狙いです。
開成中はそれをヒントにしてくれたのですから、「親切」なんでしょうか?
開成中の狙いは、実は(3)にありました。
(3)ある金額を百山くんが支払うとき、硬貨の組み合わせは875通りあります。その金額を五十川くんが支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。また、そのような金額のうち、最も大きいものと最も小さいものを答えなさい。
どうですか?
開成中の狙いは、そのヒントの逆利用ができるかどうかを求めていたんです。
これは試験時間とも関係があります。
2011年度の灘中1日目は60分で13題(18問)ですから、
「処理力」を確認する意図が問題にあるんです。
一方の2011年度の開成中は、60分で4題(9問)ですから、
処理力以外の思考力も試されているわけです。
(灘中の場合は2日目の試験で思考力をチェックしています。)
ともあれ、このように珍しい問題でもかぶることがありますから、
中学受験をするときの過去問演習はとても大切です。
単に正解するだけでなく、この問題はどういう問題だったのかという
問題の本質まで踏み込んだ学習ができると理想ですね。
2013年度に受験されるお子さんは、2012年度の入試問題に注目してみてください。
よいお年をお迎え下さい。
【解答】
開成中
(1) 十野くん 64通り 五十川くん 73通り
(2) 639通り
(3) 750通り 最小190円 最大194円
灘中
順に、37(通り) 158(通り)
お元気ですか。
今年最後のブログはイチョウです。
公孫樹の別名もあるこの木、実は銀杏としておなじみですね。
中国では、鴨の足跡に似ていることから、この名がついたとか…。
このイチョウ、神戸の街の真ん中で撮影しました。
イチョウ並木は大阪の御堂筋が有名ですが、
神戸にも短いながらも並木道があります。
神戸は市役所前の道をフラワーロードといい、
フラワーロードはもちろん、街のあちらこちらで花や木を見ることができます。
さて、先週は出版原稿の関係でお休みしてしまいましたが
なんとか原稿も仕上がりました。
そんな何かとあわただしかった12月ももう最終週。
年の瀬がせまった今回のテーマは…。
「2011年度の入試問題を振り返って」
です。
2012年度入試を前に、昨年度の入試問題から
興味深い問題を見てみましょう。
次の問題は開成中の問題3です。
【問題】
十野くんは1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨をそれぞれたくさん持っています。また、五十川くんは1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨を、百山くんは1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨、100円硬貨をそれぞれたくさん持っています。
たとえば十野くんが20円を支払うとき、硬貨の組み合わせは次の9通りです。
このとき、10円硬貨の枚数に着目すると、
1+3+5=9=3×3
となっていることがわかります。
(1)十野くんが70円を支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。また、五十川くんが70円を支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。
(2)百山くんが170円を支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。
一方、次の問題は灘中1日目の問題5です。
【問題】
1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨がたくさんあります。これから必要な枚数だけ取り出して、合計金額を10円にする方法は4通り、合計金額を50円にする方法は□通り、合計金額を100円にする方法は□通りあります。
どうですか? そっくりでしょ?
こんなこともあるんですね。
開成中も灘中も日本を代表する難関中学です。
そのような学校が出題するんですからハイレベルな問題に決まってます。
言い換えればあまり「類のない問題」なのですが、
それでも問題が被ることがあるんです。
もっとも灘中の出題は、
開成中がヒントとして出したところを自分で発見させるのがその狙いです。
開成中はそれをヒントにしてくれたのですから、「親切」なんでしょうか?
開成中の狙いは、実は(3)にありました。
(3)ある金額を百山くんが支払うとき、硬貨の組み合わせは875通りあります。その金額を五十川くんが支払うとき、硬貨の組み合わせは何通りありますか。また、そのような金額のうち、最も大きいものと最も小さいものを答えなさい。
どうですか?
開成中の狙いは、そのヒントの逆利用ができるかどうかを求めていたんです。
これは試験時間とも関係があります。
2011年度の灘中1日目は60分で13題(18問)ですから、
「処理力」を確認する意図が問題にあるんです。
一方の2011年度の開成中は、60分で4題(9問)ですから、
処理力以外の思考力も試されているわけです。
(灘中の場合は2日目の試験で思考力をチェックしています。)
ともあれ、このように珍しい問題でもかぶることがありますから、
中学受験をするときの過去問演習はとても大切です。
単に正解するだけでなく、この問題はどういう問題だったのかという
問題の本質まで踏み込んだ学習ができると理想ですね。
2013年度に受験されるお子さんは、2012年度の入試問題に注目してみてください。
よいお年をお迎え下さい。
【解答】
開成中
(1) 十野くん 64通り 五十川くん 73通り
(2) 639通り
(3) 750通り 最小190円 最大194円
灘中
順に、37(通り) 158(通り)