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「比と割合 その3」 ~最小公倍数解法が1に勝つ?~

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割合の練習問題 2011年08月01日20時44分
アレチマツヨイグサ!

お元気ですか。

「荒地待宵草」が淡い黄色の花を咲かせています。


このなかまではオオマツヨイグサ(大待宵草)が理科でおなじみでしょうか?
オオマツヨイグサは名前の通り夕方から咲くのですが、
同じ「待つ宵」でもこのアレチマツヨイグサはなんと昼間っから花を咲かせます。

ちなみにこのマツヨイグサたち、名前を聞けば古風なんですが、
実は北アメリカからの帰化植物で、江戸時代ごろにやって来たそうです。

さて,今回は「比と割合」の3回目です。

前回は、「全体=1」でも、「全体=最小公倍数」でも、とっつき易さできめて!
と締めくくったのですが、今回は最小公倍数にやや有利な問題(!)を紹介します。

【問題】
太郎くんが一人ですると54日、次郎くんが一人ですると36日で終える仕事があります。この仕事を1日目は太郎くん、2日目は次郎くん、3日目は太郎くん…のように1日交代でしていきました。この仕事を最後にする人はだれですか。また、その人がした仕事の量の合計は、この仕事全体のうちのどれだけにあたりますか。

まず、仕事全体を1とするとき方をみていきましょう。
1÷54=1/54 …太郎くんの1日分の仕事
1÷36=1/36 …次郎くんの1日分の仕事

二人が1日交代で働くので、
1/54+1/36=5/108 …それぞれが1日ずつ働いたときの2日分の仕事
をくり返すので、
1÷5/108=108/108÷5/108=21あまり1/36 …A
となり、21回くり返すとあと1/36の仕事が残ります。

次に仕事をするのは太郎くんだから、
1/36-1/54=1/108
の仕事が残ります。

これをするのは次郎くんなので、次郎くんが働いた仕事は
1/36×21+1/108=16/27
答え 次郎くん 16/27 とわかります。

この解き方が出来るお子さんは、もう「割合のプロ!」です。
これまでどおりの学習を続けていても大丈夫ですね。

でも、解けなかったからといって「ダメだ~!」なんて思わないで下さい。

この問題、とっても難しいんです。

その中でも「A」の式がこの問題の最大の山場です。

無理やり割り切ろうとして、求めた21.6って…何?

ここで、5/108×0.6=1/36が出来るお子さんは「プロ~!」
きっと正解したはずです。

この「A」では、
「くり返し問題は、商(くり返しの回数)を整数で求め、あまりを出す。」
ということが理解出来ているかどうかがチェックできますね。

また分数で割りますから、「通分→分子の割り算」という計算テクニックも必要です。

このように、この問題を「仕事全体を1」で解くには、チョッとした技術が必要なんです。

では、「最小公倍数解法」ではどうなるのでしょうか?

仕事算の最小公倍数解法は、「仕事全体=仕事をする日数の最小公倍数」が基本ですね。
すると…
54日と36日の最小公倍数=108 …これが仕事全体です。

ついでに、「栗まんじゅう108個を食べるのが仕事」としちゃいましょう。

108個÷54日=2個 …太郎くんが1日に食べる栗まんじゅうの個数
108個÷36日=3個 …次郎くんが1日に食べる栗まんじゅうの個数

二人が1日交代で栗まんじゅうを食べるので、
2個+3個=5個 …それぞれが1日ずつ食べたときの2日分の栗まんじゅうの個数
をくり返すので、
108個÷5個=21回あまり3個
となり、21回くり返すとあと3個の栗まんじゅうが残ります。

次に栗まんじゅうを食べるのは太郎くんだから、
3個-2個=1個
の栗まんじゅうが残ります。

これを食べるのは次郎くんなので、次郎くんが食べた栗まんじゅうは全部で
3個×21+1個=64個

これが仕事全体のどれだけかを求めるので、
64個÷108個=16/27
です。

答え 次郎くん 16/27 とわかります。

このように、「最小公倍数解法」では計算が整数の範囲でできるので、
何を求めているのかに考えが集中できる分、正解しやすいように思います。

このことは、ニュートン算の応用問題を解くとき、より顕著になります。

「全体=1」解法のメリットは、問題を機械的に解くことが出来るという点で、
それは「万能包丁」のように、だれにでも使いやすい解き方です。

一方の「最小公倍数解法」は「柳刃(刺身包丁)」のように、
ある問題においては切れ味鋭く解けるという点が魅力です。

しかし、お台所には両方の包丁がそろえてあるように、
2つの解法を身につけて、問題に応じて使いこなせるのが最高だということは、言うまでもありませんね。

練習を積んで、両方の解法をマスターしましょう!


M.Y.くん,団扇のお手紙を有難う!
この場を借りて,お礼を言います。
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割合の練習問題 2011年08月01日20時44分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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