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第719回 男子中の入試問題 立体図形 3

「第719回 男子中の入試問題 立体図形 3」

これまで、近年に男子中の入試で出された「立体図形」の中から、「求積」と「回転体」の問題を見てきました。

今回は「立体図形の見方」について考えます。

 

1問目は「積み木の見方」がテーマの問題です。

 

【問題】1辺が1㎝の立方体をいくつか積み上げて作った立体があります。この立体を図1のように真上、正面、真横から見ると、それぞれ図2、図3、図4のようになりました。この立体の体積が最も大きくなるときの体積を求めなさい。

(明治大学付属中野中学校 2024年 問題2-(6))

 

【考え方】

積み上げられた立方体の個数は、真上から見た図を利用して求められます。

はじめに、真上から見た図に正面、真横から見える立方体の個数を書き加えます。

例えば、次の(ア)の列は正面から見たときに3個の立方体が見えるので、立体の体積が最大になるのは立方体を次のように積み上げた場合です。

次に、積み上げられた立方体のうち、真横から見える個数と一致しない立方体を取り除きます。

他の列も同様に考えると、積み上げられた立方体の個数を次のように表せます。

よって、積み上げられた立方体は全部で

3+2+3+2+2+2+1+1+1+3+2+4=26(個)

です。

1㎝×1㎝×1㎝×26個=26㎤

答え 26㎤

 

本問は、真上から見た図を利用して「積み木」の個数を求める方法を確認できる問題です。

 

2問目は大問形式の「積み木の見方」の問題です。

 

【問題】同じ大きさの立方体の積み木がたくさんあります。図1はこの積み木を積んで作った立体Aを真正面から見た図で、反対側から見ても同じ図です。図2は立体Aを真上から見た図です。

(1) 立体Aに使われている積み木の個数は何個ですか。

(2) 立体Aに積み木をいくつか追加して立方体を作ります。1辺の長さを最も短くするには追加する積み木は何個必要ですか。

(3) 立体Aをくずし、積み木をいくつか追加して、それらすべてを積んで立方体を1つ作ります。1辺の長さを最も短くするには追加する積み木は何個必要ですか。

(成城中学校 2024年 問題5)

 

【考え方】

(1)

投影図から見取り図を考えます。

次のように、真上から見た図と真正面の反対側から見た図を組み合わせると、積み木が1番奥に1個、奥から2番目に9個あることがわかります。

真正面から見ても同じに見える積み方なので、全部で

(1個+9個)×2=20個

の積み木が使われています。

答え 20個

 

(2)

1辺の長さが最も短い立方体は、1辺に4個の積み木が並ぶ立方体です。

4個×4個×4個-20個=44個

答え 44個

 

(3)

立方体の1辺に並ぶ積み木の個数を□個とすると、立方体を作るのに必要な積み木の個数は(□×□×□)個です。

よって、20以上で最も小さい □×□×□ は

3×3×3=27

ですから、追加する積み木の個数は

27個-20個=7個

です。

答え 7個

 

本問は、投影図から見取り図をかくときの考え方を確認できる問題です。

投影図の実線に着目して、見取り図を考えましょう。

 

最後は「くり抜き」の問題です。

 

【問題】1辺6㎝の立方体があります。次の立体の体積と表面積をそれぞれ求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(1) この立方体を、図のように手前の面と横の面からそれぞれ反対の面まで1辺2㎝の正方形でまっすぐくりぬいたとき、残った部分の立体。

(2) (1)の立体を、図のように上の面から反対の面まで半径1㎝の円でまっすぐくりぬいたとき、残った部分の立体。

(立教新座中学校 2024年 問題5 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

くり抜かれる立体(立体Pとします)は、次のように1辺の長さが2㎝の正方形が5つ集まった十二角形を底面(赤色部分)とする、高さが2㎝の十二角柱です。

6㎝×6㎝×6㎝=216㎤ … 立方体の体積

2㎝×2㎝×5×2㎝=40㎤ … 立体Pの体積

216㎤-40㎤=176㎤ … 立体の体積

 

表面積は次のような図形式で考えることができます。

6㎝×6㎝×6面=216㎠ … 立方体の表面積

2㎝×2㎝×4個=16㎠ … 「穴」の面積

2㎝×2㎝×5個×2面=40㎠ … 立体Pの底面積の和

2㎝×2㎝×8個=32㎠ … 「穴」以外の立体Pの側面積

よって、立体の表面積は

216㎠-16㎠+40㎠+32㎠=272㎠

です。

答え 体積 176㎤、 表面積 272㎠

 

※ 立体Pの見取り図の代わりに、次のような投影図をかいて考えることもできます。

 

(2)くり抜かれる立体(立体Qとします)は、次のように立体Pと底面の半径が1㎝、高さが6㎝の円柱が重なった立体です。

立体Pと円柱の重なりは、半径が1㎝で中心角の大きさが270度のおうぎ形を底面とする、高さが2㎝の立体です。

40㎤+1㎝×1㎝×3.14×6㎝-1㎝×1㎝×3.14×270度/360度×2㎝=54.13㎤ … 立体Qの体積

216㎤-54.13㎤=161.87㎤ … 立体の体積

 

投影図を利用して表面積を求めます。

6㎝×6㎝×6面=216㎠ … 立方体の表面積

2㎝×2㎝×4個+1㎝×1㎝×3.14×2個=22.28㎠ … 「穴」の面積

(2㎝×2㎝×5個-1㎝×1㎝×3.14×270度/360度)×2面=35.29㎠ … 立体Qの赤色部分の面積の和

1㎝×2×3.14×(6㎝-2㎝)=25.12㎠ … 曲面の面積(★)

1㎝×2×3.14×90度/360度×2㎝=3.14㎠ … 曲面の面積(☆)

2㎝×2㎝×6個+2㎝×1㎝×2個=28㎠ … 立体Qの水色部分の面積の和

よって、表面積は

216㎠-22.28㎠+35.29㎠+25.12㎠+3.14㎠+28㎠=285.27㎠

です。

答え 体積 161.87㎤、  表面積 285.27㎠

 

本問は、くり抜かれた立体の体積や表面積の求め方を確認できる問題です。

(1)を正解できないときは、くり抜くことによって増える面積と減る面積を見直しましょう。

(2)を正解できないときは、くり抜く立体の見取り図または投影図を見直します。

 

今回は、2024年度に男子中の入試で出された「立体図形の見方」の問題をご紹介しました。

「積み木の問題」が苦手なときは、実物を積み上げて立体を作り、見取り図や投影図をかく練習をしてみましょう。

また、3方向からくり抜く問題は難度の高い問題ですから、まずは2方向からくり抜く問題を通して、図のかき方や増減部分の見つけ方の練習をしてみるとよいと思います。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年04月19日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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