中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

2020年最新版 6年生の9月を余裕を持って迎えるために 【学年別】今年の9月から取り組むべきこと

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公開: 最終更新日:2021年08月10日

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こんにちは。
中学受験情報局主任相談員の西村則康です。

先日より6年生が志望校合格を目指すには、たとえ合格ラインに届いていなくても、9月の学習を戦略的に行うことで充分挽回できることを話してまいりました。

実際、私の経験上、毎年6年生の9月段階で、「受験に必要な基礎知識が身につき、志望校の合格ラインに届いているご家庭」は、全体の3割に満たないです。

ですが、毎年3割近いご家庭では、6年生9月の段階で志望校受験に必要な知識を充分身につけて、余裕を持って志望校受験に挑んでいくことができているのも、また事実。

そこで、今回の記事では、「最後まで時間に余裕を持って受験ができるご家庭」に共通している特徴と、学年別に9月の今から実践できることをまとめてみました。

例年の成功事例から学べることは多いと思いますので、ぜひ参考にしていただけますと嬉しく思います。

早速みていきましょう。

【全学年共通】6年生の9月を余裕を持って迎えられるご家庭の特徴

【全学年共通】6年生の9月を余裕を持って迎えられるご家庭に共通する特徴

1. お子さんが納得し、理解することを大切にしている
2. 学習スケジュールが回っている
無理なく塾の課題が消化できている or 「必要な学習」を取捨選択している

まず初めに、学年ごとに程度の差はありますが、全学年で共通していることは上記2点になります。

順に説明していきます。

1. お子さんが納得し、理解することを大切にしている

成績を安定して伸ばしていくお子さんは、
ただ答えや仕組みを暗記するのではなく、「なぜ、そうなったのか?」までをしっかり説明する「理解型」の学習がきっちりとできています。

難しく聞こえるかもしれませんが、日々の家庭学習を少し変えるだけで、「理解型」の学習を身につけることが可能です。

例えば、「植物が日光をあびて、栄養分を作ることをなんというか?」という問題に対し、お子さんが「光合成」と回答できたとします。

そのときに、「光合成って何かお母さんに説明してくれる?」と聞いてみて、うまく説明できるかを確認してあげるような習慣をつけましょう。

ただの言葉や解法の暗記ではなく、「どうしてその答えがでるのか?」を説明できるまで理解していることが大切です。

2. 学習スケジュールが回っている

成績が安定しているご家庭の特徴として、
もう1つ挙げられるのが、「必要な学習」を確実に消化できていることです。

塾から与えられている課題を、睡眠時間などを削らずに、無理せず消化できているなら、これに越したことはありません。

ですが、膨大な塾の課題を消化できるのは、本当に一握りのお子さんだけ。

成績を安定して伸ばしているお子さんでも、
塾から与えられた課題を全てこなせる子は、それほど多くはありません。

大切なことは、「今やるべき学習」を確実に消化していくこと。
「既に理解できている問題を何問も解き続けること」や「どれだけ時間をかけても今は理解できない問題」に時間をかけても成績が伸びないのは明らか。

「少し努力すればわかるようになる問題」を確実に解けるように課題を取捨選択して消化していきましょう。

驚かれるかもしれませんが、安定して成績が伸びているお子さんの方が、成績が伸び悩んでいる子より1日の学習時間が短いということも珍しくはありません。

これは決してお子さんの能力の問題ではなく、
周りにいる大人たち(塾の先生・親御さん)がお子さんの学習をどれだけマネジメントできているかで生まれる差になります。

上記は中学受験情報局からも繰り返しお話している、受験に最も必要な2つの要素ですね。

例年6年生の9月からも余裕を持って受験に取り組んでいるご家庭では、5年生までに上記2つの習慣がしっかり身についているのが特徴です。

続いて、そのようなご家庭が9月に取り組んでいることを学年別にまとめてみましたので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

学年別「6年生の9月を余裕を持って迎えられるご家庭」が9月にやっていること

5年生が9月から取り組むべきこと

■ 「比」の単元は絶対に理解できるようにする
■ 「暗記型学習」から脱却し、「理解型学習」ができるように切替える
■ 「関連した知識」が次々説明できるようにトレーニングする

■ 「比」の単元は絶対に理解できるようにする

5年生の9月で最も大事なことは、「比」の単元を理解することに尽きます。

「比」の概念は、5年生で最も多くのお子さんがつまずく「速さ」と「文章題」の単元でも使用されます。

「比」を正しく理解できていないと、続く単元が総崩れになる危険性があります。

さらに「比」が理解できていないせいで、「速さ」と「文章題」の単元でつまずいた際に、どれだけ勉強をしても全く理解できないという悪循環に陥るお子さんが例年多発します。
多少多くの時間をとってでも、「比」の復習を徹底して行いましょう。

■ 「暗記型学習」から脱却し、「理解型学習」ができるように切替える

学習習慣を変えるという観点では、5年生の9月が最後のチャンスといえるでしょう。

解法・言葉を暗記するだけの学習から、「どうしてそうなるのか?」が説明できるように家庭学習で親御さんから声掛けをしてあげるようにしましょう。

■ 「関連した知識」が次々説明できるようにトレーニングする

これは特に理科に言えることですが、1つの言葉に対して、様々な説明ができるようにトレーニングをしていきましょう。

生物や人体を扱った単元で「呼吸では酸素を吸って、二酸化炭素が吐き出される」という問題が出た際に、「二酸化炭素水に溶けやすい気体か?」「二酸化炭素は燃えやすい気体か?」といった気体に関する質問をしてあげることで、単元や問題の枠を超えて、柔軟に答えを出せる下地が身につきます。

受験では、問題の問われ方が変わったり、全く別の単元の問題が急に扱われることもあるため、このようなトレーニングは非常に有効になってきます。

これもまた、「理解して納得する」学習の一部になります。

4年生が9月から取り組むべきこと

■ 「四則混合計算」と「線分図」は絶対に理解できるようにする
■ テストに向けての「繰り返し学習」をしない
■ 日々の会話で「理解する・納得する」クセをつけていく

■ 「四則混合計算」と「線分図」は絶対に理解できるようにする

4年生〜6年生までの算数の単元で広く使われる「四則混合計算」と「線分図」は算数の理解の基礎となります。

この2つの単元の理解が甘いと、後から取り扱う算数の理解がどんどん遅れていくため、今のうちから丁寧に復習をし、しっかりと理解ができるようにしましょう。

■ テストに向けての「繰り返し学習」をしない

これは少し意外かもしれませんが、「テストに向けて同じ問題を繰り返し解く」ということは、あまりオススメしておりません。

同じ問題を反復して学習を続けると、「答えや解き方を丸覚えするクセ = 暗記型学習」が身についてしまうからです。

高学年で成績が伸び悩む「暗記型学習」のクセが付くのが、この時期になりますので、ぜひ気をつけてください。

■ 日々の会話で「理解する・納得する」クセをつけていく

4年生のこの時期から、お母さん・お父さんと、お子さんの日常会話で、お子さんの「理解して納得する学習」を習慣づけていくことが可能です。

例えば、9月になり夏と比較して、暗くなってくるのが早くなってきています。
そこでお母さんが「最近暗くなるのが早くなったよね?」とお子さんに聞いてあげ、「太陽と地球の関係」を実体験として説明してあげるといった日々の積み重ねで、お子さんの知識欲を刺激し、「理解型学習」の下地を作っていくことができます。

3年生が9月から取り組むべきこと

■ 入塾テストの準備を始める
■ 学習には、「目で見て楽しい問題集」を選ぶ
■ 「お子さんの傾向」に合わせた漢字学習を習慣づける

■ 入塾テストの準備を始める

4年生から入塾を検討されている場合は、入塾テストが近づいています。
3年生の9月からは入塾テストに向けての対策を始めるとよいでしょう。

入塾テスト対策に使用する問題集は従来のものであれば「自由自在」がおすすめです。

私の著書になりますが、入塾テスト対策に特化した「中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ」には、入塾テストに必要な対策を詰め込んでおりますので、こちらもおすすめです。

■ 学習には、「目で見て楽しい問題集」を選ぶ

この時期にご家庭で学習をする問題集は、カラーページや図解が多く、目で見て、お子さんが「楽しい!」と思えるような問題集の使用をおすすめしています。

入塾前には学習する習慣がまだついていないため、問題だけが羅列された味気の無いテキストを使用するとお子さんの興味を引きにくいからです。

お子さんの興味を引きやすく、楽しい問題集としては、Sapixの「ピグマ」シリーズなどがおすすめです。

■ 「お子さんの傾向」に合わせた漢字学習を習慣づける

お子さんの「脳のクセ」に合った漢字学習を身につけるとよいでしょう。

「脳のクセ」とは、お子さんが物事を見聞きするとき、目・耳・体のどこをよく使って感知しているのか?ということになります。

簡単な例を上げると…
お子さんと話をしていて過去の経験を話す際に、

A. 情景描写が多い → 目で物事を感じやすいタイプ
B. 会話の内容や音などが記憶に残っている → 耳で感じやすいタイプ
C. 説明するときに身振り手振りが多い → 身体で感じやすいタイプ

といった感じです。

漢字学習に当てはめてみると…

Aタイプの目で感じやすいタイプは、「最初にじっくり漢字の形を見て、頭に入れる」時間をとるようにする。

Bタイプの耳で感じやすいタイプは、漢字の書き取りをするときに、「タテ・ヨコ・タテ・はらう…」と声に出させてあげる。

Cタイプの身体で感じやすいタイプだと、書き取りの反復練習が有効。

といった感じです。

決して一概には言えませんが、お子さんの脳のクセに合わせて、覚えやすい感じ学習方法を見つけておくと、今後の学習時間を大幅に節約できるようになるため、一度お子さんが「どのような学習をすれば、効率よく覚えられるか」を見直す機会を取ってみてください。

1〜2年生が9月から取り組むべきこと

■ 「計算」と「漢字」は先の学年の物まで、どんどん進めていく
■ 算数は「順番」と「数量」の両方が理解できるようにする
■ 生活科を楽しく学ばせてあげ、理科の基礎づくりをする

■ 「計算」と「漢字」は先の学年の物まで、どんどん進めていく

1年生〜2年生は、計算と漢字に関しては、お子さんが覚えられるなら、どんどん先の学年まで進めていきましょう。

「計算」に関して、3年生の入塾テストの段階で4年生の計算が終わっているのが目安です。

最難関校を狙うお子さんですと、入塾時点で分数・小数を含めて全ての計算ができるようになっている子も珍しくはありません。

■ 算数は「順番」と「数量」の両方が理解できるようにする

1〜2年生の算数では、「順番」の概念と、「数量」の概念を分けて考えられるように学習を進めましょう。

「順番」とは、

30人並んでいて、前から数えて5番目の人は、後ろから数えると何番目になりますか?

といった考え方になります。

「数量」とは、

5個のりんごがあって、もう5個もらいました。合わせていくつですか?

といった考え方になります。

これらの概念を別々にわけて理解できていると、3年生以降の算数の理解がスムーズに進みます。

■ 生活科を楽しく学ばせてあげ、理科の基礎づくりをする

また理科の学習の基礎をつくるために、「生活科」を楽しく学べる環境を作ってあげてください。

「この虫の足は何本あるかな?」など、
お母さん・お父さんから色々質問してあげるのも良いでしょう。

コロナ禍では動物園などにお出かけすることもしにくいかもしれませんが、代替案として図鑑を見ることや、インターネットで調べ物を一緒にしてあげることもお子さんにとっては有効です。

「お母さん・お父さんと楽しく知識を増やせた」という体験が、理科の理解をスムーズにする下地となっていきます。

いかがでしたしょうか。
6年生の9月からは、時間との厳しい戦いになります。
できることなら、6年生の9月までに受験勉強に必要な基礎知識を固めてしまって、志望校別特訓に取り組むことができることが理想です。

上記に記載した9月から取り組むべきことは、今年の6年生で9月を余裕を持って迎えたご家庭で、過去に取り組んでいたことをまとめたものになりますので、きっとお子さんの成績を安定して伸ばしていくための手がかりになるでしょう。

ぜひご活用いただけると嬉しく思います。
ご家庭の中学受験が成功することを祈っています。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康 主任相談員 西村 則康
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