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暗記分野の学習を「言われなくても自分からする子」はどんな勉強をしているか

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公開: 最終更新日:2023年02月10日

今回の記事では、さなぎになるこん虫、ならないこん虫など、生物の暗記について考えています。
こういった分野は「ただ覚えるだけ」と思われがちですが、実は普段からの工夫によって大きな差がつく分野の代表なのです。

ほんとうに「ただ覚えるだけ」なのか

通常進学塾では、4年生くらいから理科の学習が始まります。
4年生の段階では、化学や物理の計算などよりも、もっぱらこん虫やメダカ、ジャガイモや季節の植物、太陽の動きや月の満ち欠けといった、いわゆる「暗記分野」の学習が中心です。

高学年になるにつれて、「暗記分野の学習は覚えるだけの学習だから、本人に任せている」とか、「入試直前にまとめて覚えれば間に合う」というようになおざりにされがちになりますが、本当に「覚えるだけの学習」「入試直前にまとめ覚えればよいもの」なのでしょうか?

こういった「暗記分野」の学習ほど、工夫をこらして普段から計画的に取り組んでおくべきです。
なぜなら、中学入試の理科において、こういった分野の出題をしない学校は皆無だからです。

また生物や地学といった「暗記分野」の学習は、言われなくても自分からどんどん勉強する子と、なかなか取りかからず取りかかってもイヤイヤ、という子に分かれます。

このような分野の学習は、親御さんが理系出身や理科好きでなくてもお子さんの勉強に付き合いやすいですから、授業でどんなことを習ったのか、何に興味を持ったのかなど、話に付き合ってあげるといいですね。

さなぎになるこん虫にはどんなものがある?

こん虫といえば、まず何といっても覚えておくべきなのが、変態のしかたについてです。こん虫は大きく分けて、

A. 卵 → 幼虫 → さなぎ → 成虫
B. 卵 → 幼虫 → 成虫(羽が生える)
C. 卵 → 幼虫 → 成虫(羽が生えない)

という3パターンの成長をします。A.の昆虫を「完全変態」(変態とは、成長の過程で大きく体のつくりを変える変化のことです)、B.を「不完全変態」、C.を「無変態」と呼びます。

塾で完全変態のこん虫について「面白い覚え方」を習ってきたお子さんの話に、お母さんが付き合っています

お母さん「塾で、さなぎになるこん虫にはどんなものがあるか、習った?」
お子さん「うん。完全変態っていうんだよね(笑)。」
お母さん「そう。体のつくりが大きく変わることを『変態』って言うんだね。完全変態のこん虫の覚え方は習った?」
お子さん「習ったよ。面白いんだ。ちゃんと覚えてるよ。」
お母さん「そんなに面白いの?教えてよ。」
お子さん「『かぶと山 八兆円のありかが危ない テントをはるのみ』っていう覚え方なんだ。」
お母さん「へえ、なんか面白いね。カブトムシ、ハチ、チョウ、アリ、カ・・・それから?」
お子さん「あとは、ガ、アブ、テントウムシ、ハエ、ノミだよ!」
お母さん「すごいね。いい覚え方を習ったね。」

語呂合わせによる暗記を「意味づけ」で補強する

理科の暗記や社会の歴史年号などを暗記するときに使う「語呂合わせ」。
ときには非常に重要な暗記法ですが、いわば「丸覚え」の1つの方法です。

参考:中学受験 理科の暗記対策!どんどん覚えられる語呂合わせ

どうしても覚えなければならないことがらを覚えてしまうのには有効なのですが、ちょっと「本来の意味での理解」で補強してあげることも重要です。

たとえば上記の「完全変態のこん虫」であれば、「さなぎになる=体のつくりが大きく変わる=幼虫と成虫で、見た目も食べ物も大きく違うことが多い」といったことです。

カブトムシ、チョウなど、幼虫と成虫では見た目も食べ物も全く違いますね。

カブトムシの幼虫が食べるのは腐葉土、成虫は木の樹液、モンシロチョウの幼虫はアブラナ科の植物の葉、成虫は花の蜜ですね(これらのことも入試頻出です)。

このような視点を投げかけてあげると「あれ、テントウムシの幼虫ってどんなだっけ?」
といった疑問が湧いてくるかもしれませんね。

そんなときは「一緒に調べてみようか?」でOKです!

こういった学習ができているお子さんは、暗記が「苦行」にはならないものです。

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