【中学受験】お父さんがやりがちな4つのNG行動とは
近年、中学受験に協力的なお父さんが増えています。
子どもの教育にお父さんが関わることはいいことなのですが、関わり方をまちがえると子どもの受験によくない影響をもたらしてしまうことがあります。
今回の記事では、子どもの中学受験におけるお父さんのNG行動についてお伝えしたいと思います。
受験算数を方程式で教えたがる
算数があまり得意ではないというお母さんのかわりに、中学受験の算数を子どもに教えるお父さんがいます。
その時に、数学の方程式を使う解き方を子どもに教えることがあるようです。
算数や数学は、正しく考えさえすれば解き方のプロセスは基本的に自由です。
ですので、もちろん「x」や「y」を用いた方程式を使って算数を解いてはいけないという決まりはありません。
でも、塾で習った線分図や面積図などのやり方で理解できない問題は、方程式で解いても本質的に理解はできません。
なぜなら、算数と数学は思考方法が異なるからです。
算数は「今、わかっていることから、次は何がわかるか」「そこからさらに何がわかるか」と順を追って考えることが多いですが、数学は「わからないものをxとする」という方程式的な手法を使います。
このように算数と数学では問題に対するアプローチが逆なので、子どもの立場からすると問題の解き方を2通り教えられることになるので頭の中が混乱してしまうことが多いのです。
方程式のように一般化された対象を扱うためには「x」や「y」などの抽象理解が必要ですが、小学生はまだこの抽象理解力が発達段階です。
抽象理解は、具体的な事柄や事例に紐づけることによって徐々に上達していきます。
中学受験の算数で数学的な解き方を子どもに教えてしまうと「よくわからないけど解けるからこの方法で解こう」と考えてしまい、具体的な感覚に落とし込んで理解ができなくなることもあるので注意が必要です。
また、「小学生の算数なんて、数学に比べたら簡単なもの」と考えるお父さんもいるようですが、これは事実ではありません。
実は、多くの企業で採用しているSPI試験の「非言語テスト」の多くが、中学受験の算数でよく見られる問題です。
連立方程式など数学的な解法では「定理」に当てはめるので、同じ問題を同じ方法で解けるという利点はあります。
しかし個別の問題となると、条件を可視化し感覚的に捉える算数的解法の方が、鮮やかに解けることが多いのです。
算数と数学、どちらが優れているかということではなく、それぞれの考え方に特徴があり利点があります。
特に中学受験の難関校では算数の難易度が特に高く、方程式など型にあてはめる方法では解けなくなるので注意が必要です。
エクセルで綿密な学習計画を作成する
これは特に仕事で成功しているお父さんがやりがちなのですが、子どもの学習計画を綿密に立て、それをエクセルの表に落とし込み、子どもにやらせようとすることがあります。
お父さん自身が仕事をする上で、自分で立てた業務計画をしっかりこなし、結果を出してきた経験があるからなのでしょう。
でも、それができるのは経験豊富な大人だからです。
しっかり自己管理をして、チームや部署で業務目標に、一生懸命取り組んできたのでしょう。
中学受験の学習をするのは、小学生の子どもです。
子どもに同じことを求めてもできるはずがありません。
自己管理能力や先を見据える力は、ほとんどの子どもに備わっていないからです。
子どもは、これからの人生でいろいろなことを経験していきます。
子どもの時間軸では「今」が重要で、遠い未来の目標に向かって毎日高いモチベーションで計画どおりに取り組むことは不可能です。
毎日の学校や塾、生活の中でがんばれる時もあれば、そうじゃない時ももちろんあります。
やる気にみなぎる時もあれば、何もしたくない時もあります。
学力が伸びる時もあれば、どれだけがんばっても低迷してしまう時もあります。
そうやって変化し続ける中で、小さな失敗をしたり成功をしたりを繰り返しながら、子どもは日々成長していきます。
綿密な学習計画をこなせるはずがありません。
それよりも、臨機応変に対応できるような余白のある学習計画を立て、ポイントだけしっかり押さえつつ進めていくのが中学受験成功への近道です。
無理なPDCAで学習を回そうとする
また、中学受験の勉強に「PDCAサイクル」を取り入れさせようとするお父さんもいます。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返し、仕事を効率化する手法のことです。
会社組織で働くお父さんにとっては馴染みの手法ですが、これをよかれと思って子どもの中学受験の勉強に取り入れるお父さんがいますが、その結果ほとんどの子どもがやる気をなくしてしまいます。
先ほど学習計画を綿密に立てるお父さんについて書きましたが、実際に多くのお父さんが子どもの学習計画(Plan)を立てる段階で詰め込みすぎています。
1日の予定を10分刻みで細かく決めても、子どもはその通りには動く(Do)ことはできません。
さらに、PDCAサイクルのCheck(評価)は特に注意してください。
本来のPDCAでC(評価)は、できていることもできていないこともチェックするはずですが、子どもの勉強となると、大人の目はどうしてもできていないことに向きがちです。
大人でも、できていないことを指摘されてやる気が出る人は少ないでしょう。
子どもはなおさらのこと、できないことばかりを指摘されるとモチベーションが下がってしまいます。
もし、子どもの勉強の進捗をチェックするなら、「PDCAサイクルのCheck(評価)は、子どもを褒めるためにある」くらいに考えておいた方がよいかもしれません。
そしてAction(改善)は、子ども主体でどうしたらよいかを考えさせるようにしてください。
その時も、子どもを責めるような雰囲気にならないように気をつけましょう。
子どもが出した改善案を「それ、いいね」「いいアイディアだね」などの声かけをしながら一度は認め
「お父さんの頃は…」と昔の自分と子どもを比べる
お父さんの中には、ご自身が中学受験を経験した方もいると思います。
当時と今の中学受験を比べるとその差に驚くのではないでしょうか。
今の中学受験は覚えるべき内容が膨大にあり、求められる学力レベルも高くなっています。
それだけでなく、学校によって多様な入試問題が出るため、それに合った対策も必要です。
そこで、「お父さんの頃はこうだった」と当時の苦労話をして子どものやる気を引き出そうとするお父さんがいるのですが、それよりも子どもの視点に立って寄り添うことの方が効果的です。
「勉強するのが当たり前」「出された宿題や当然やる」と大人の視点で考えるのではなく、ハードな今の中学受験に挑戦しようとする子どもを尊重し、認めてあげましょう。
少しでもがんばっている様子が見えたら「こんな問題ができるなんてすごいな」「そんなに勉強してえらいな」と褒めてあげください。
また「なんでこんな問題もできないんだ」「お父さんはもっと勉強していたぞ」などの声かけはNGです。
「気合いさえあれば」「がんばればできる」と、気合いで乗り越えさせようとするのもよくありません。
自身が大学受験で猛勉強して志望校に入った経験のあるお父さんは「やればできる」が口癖になりがちなのですが、実際の中学受験の勉強は「たくさん勉強すれば伸びる」というわけではありません。
中学受験の勉強に必要なのは、闇雲に量を消化するのではなく、学年や時期ごとに変化する問題への取り組み方を知り、それに応じて勉強の量より質を変化させていくことです。
中学受験では、お父さんの成功体験に基づく価値観やがむしゃらながんばりではなく、正しいやり方で勉強を進めていくことが求められているのです。
お父さんの成功体験は中学受験には通用しない
以上、お父さんのNG行動について書きましたが、本来、子どもにとってはお父さんが中学受験に関わってくれることはとても頼もしいと思います。
ただし、それは正しい方法を知り、また子どもの性格に合った方法であることが大切です。
お父さんは自分の成功体験をそのまま子どもになぞらせようとせず、子どもの気持ちに寄り添ったサポートをするように心がけましょう。
そうすることで、子どもやお母さんは大きく助けられるはずです。