子どもの理系アタマを育てるために大切にしたい、子どもの「なぜ?」
理数系科目の勉強のしかたなどのご相談を受ける中で「子どもに理系的な考え方を身につけさせたいけれど、どうしたらいいでしょうか」という相談を受けることが多くあります。
そこで、理系の子どもを育てるには、どのようなことに気をつければいいかを考えてみたいと思います。
子どもの「理系アタマ」とは
理系アタマ、といった言葉を耳にしますが、私はこれを進路が文系・理系と言うときの「理系」とはちょっとちがった意味で身につけておきたいものだととらえています。
具体的には「問題を解くときや疑問について考えるときに、自分が持っている知識や思考方法、発想などから、問題や疑問を解くための道筋を見つけて、目的によって応用することができる頭脳や考え方」です。
これは、勉強だけでなく、社会に出てからもすべての活動において使える力につながります。
この考え方を前提にすると、子どもが文系か理系か、というのは、親がどちらかということはあまり関係ありません。
育った環境によって、すべての子どもが理系的な考え方をすることができるようになります。遺伝ではないのです。
「なぜ?」を考える習慣があるかどうか
子どもの理系アタマが育つかどうかは、生活のなかで「なぜ?」「どうして?」という疑問を持ち、それを考える習慣がどれくらいあるかが影響します。
「なぜ?」というクエスチョンマークが、その子のなかに育っていなければ、理系アタマも育ちません。
子どもがまだ幼いころ、「なぜ?」「どうして?」を連発する時期があったことを思い出し、「当時、適当に流していました。もっとちゃんと相手にしていれば」と後悔するお母さん、お父さんもいますが、落ち込むことはありません。
子どもの心から生まれる「なぜ?」や、理系アタマを育てるのに手遅れはないのです。小学生、中学生、高校生でも大丈夫です。
理系アタマを育てるために有効な声かけとは
子どもは、新しいことが大好きです。
新しい知識を得る、新しい考え方がわかる。これらを自然に楽しいと感じられる素養を持っています。
むやみな早期教育をして結果だけを追い求めると、自然にわきあがる「なぜ?」という疑問や、新しいことを知る喜びを押さえ込んでしまうことにもつながりかねません。
それよりも、日常的に「どうしてなんだろうね?」「なぜか知りたい?」と、子どもと一緒に不思議がり、疑問を持ち、「知りたい」という気持ちを共有するような声かけをすることが、子どもの理系アタマを育てるのに有効です。
子どもに「なぜそうなるか」を説明したあと、「おもしろかった?」と聞いてみてください。
すると、子どもは多くの場合「うん、おもしろかった」と答るでしょう。こうして子どもは「知ることの楽しみ」を積み重ねていくのです。
子どもが「なぜ?」を抱いたときに、「そんなことがわからないの?」「そんなの当然じゃない」という大人目線の言い方は、子どもの意欲をそいでしまいます。
そういう言い方よりも「ほんとだね。なぜなんだろうね」「お母さんも知りたいわ」という方が、子どももわくわくするはずです。
そして、自分で調べたり、先生に聞いたりして「なぜ」をつきとめた子どもは、得意になって「お母さん、こうだったよ!」と楽しそうに話をしてくれるはずです。
こうした経験を積み重ねていくことで、お子さんの理系アタマはぐんぐん育っていくのです。