学力が伸びる子どもの家庭に共通している「親のおおらかさ」とは
中学受験情報局では、月に1回くらいのペースで、少人数の相談会を開催しています。
もちろん私も主任相談員として参加しているのですが、そこでのご相談で多いのが、お子さんについての「あれも、これもできていない・・・」といった類のご心配です。
確かに中学受験を目指して子どもに勉強させるとなると、親としてはつい「もっとがんばらなきゃだめでしょう」と子どもにプレッシャーをかけてしまいがちです。
しかし、それよりも大切な親の心がけがあると私は考えています。
学力が伸びる子どもの家庭に共通していること
私は、塾で教えていた時代から、家庭教師としてさまざまなご家庭にうかがうようになった今も含めて、これまで大勢の親御さんとお話をしてきましたが、「こうしたほうがいいんじゃないのか」「このままのやり方でいいのか」など、真剣にわが子のことを考え、悩む方がたくさんいらっしゃいました。
子どものことを愛するがゆえに、心配は絶えないですね。
そんな経験から感じたことがあります。
それは、学力が伸びる子どもの家庭に共通しているのは、ある種の「おおらかさ」があるということです。
そしてその「おおらかさ」の源泉は、子どもに対する親御さんの心がけや接し方にあります。
最近、子どものことをほめていますか?
お子さんがまだ赤ちゃんのころ、よちよち歩きを始めると「歩けたね!すごいね!」と、大喜びしてほめていましたね。
はじめて「パパ」「ママ」と言えたこと、「ハイハイ」ができたことなど、子どもをほめることは、親御さん自身にとってもよろこびだったのではないでしょうか。
ところが、小学校に入るころになると、ほめる機会が減ってしまうご家庭が多いようです。
赤ちゃんから幼児のころはわが子の成長だけを見ていられたのに、学校に入ると、そこには同じ年のほかの子どもがたくさんいて、つい比較してしまうのですね。
進学塾に入るとなれば、なおさらそうなってしまうものです。
「あの子はできるのに、うちの子はできない」と、どうしても、できない部分が目についてしまい、ほめるのではなく「もっとがんばりなさい」と叱咤することが多くなってしまうのです。
でも本当は、子どもの長所をしっかり認め、ほめながら自信を持たせてあげる方がうまくいくものです。
比較しすぎず、子どもの長所をしっかり見る
塾に通わせているのに成果が見えない。
個別教室に通わせたのに、家庭教師をつけたのに結果が出ない。
それに焦って、「もっとがんばらなきゃだめでしょう」と、子どもにプレッシャーをかけて勉強させる親御さんもいます。
でも、そんな状況を客観的に振り返る余裕も持っていただきたいと思います。
というのも、子どもの個性はひとりひとりちがうからです。
勉強を理解するスピードも方法も、それが結果に出るタイミングもそれぞれ。
同じクラスの子や身近な子と比べて少し遅いと感じても、決して焦らなくて大丈夫です。
親御さんにお願いしたいのは、比較してわが子を見るのではなく、お子さんの個性がどこにあるのか、長所がどんなところなのかをしっかり見てあげることです。
受験は日常生活の延長線上にある
長年、中学受験に関わってきましたが、私が変わらずにもち続けているポリシーがあります。
「受験は特別なものではない。日常生活の延長線上であるべき。家庭全体を巻き込んで、子どもの生活時間の質を上げていけば、自ずと合格できる」というものです。
子どもに大きなプレッシャーをかけるよりも、こんな風に考え、それを実践していくことが効果的だと私は考えています。
よい学習環境や習慣を心がけながら、肩の力を抜いて日常生活を送る。
そのために、まずは親御さんが一歩引いて自分を振り返る習慣を持ち、おおらかな気持ちで子どもに接してみることが大切です。
そして、「できない部分」ばかり見るのではなく「できる部分」を見て、ほめてあげることが重要です。
そうすることで毎日を、「合格につながる日常生活」に一歩近づけることができるのではないかと思います。