中学受験の家庭学習における2つのポイント リビング学習と親の役割
家庭学習の習慣は中学受験には必須です。
子どもが低学年のうちに身に付けたい習慣のひとつですね。
そして家庭学習では、その場所と親の役割がとても重要になってきます。
ここでは、子どもの学力を最大限に引き出す家庭学習の環境を整えるための、大切なポイントについてお伝えします。
子ども部屋に追い込まない
近年は、子どもの自立心を早めに養いたいという思いから、幼児期から子ども部屋をつくるご家庭も多いようです。
そのお気持ちは理解できるのですが、こと勉強に関しては自室でさせるのは子どもの自己管理力が上がってからでもいいのではないかと私は考えています。
親にとっても、子どもの成長段階を知ることはとても大切なので、子ども部屋での勉強は、中学生、高校生になってからでもいいのではないかと思います。
中学受験をするにあたって、子ども部屋で勉強させようとするご家庭もありますが、小学生のうちから部屋でひとりで黙々と勉強できる子なんてあまりいないということを知る必要があります。
子どもはおもちゃがなくても遊べますし、ひとりで自分の世界に入って遊ぶことができます。
そこに兄弟でもいようものなら、親の目の届かない子ども部屋はただの遊び場所になってしまう可能性があります。
成績のよい子の多くは、リビングで学習している
これまで家庭教師としてたくさんのご家庭で子どもを見てきましたが、順調に成績を伸ばしている子のほとんどは、子ども部屋で勉強をしていません。
リビングのダイニングテーブルで勉強しているのです。
お母さんが台所で料理をしたり、リビングを歩く音など生活音がしていると集中できないのではと思われるかもしれませんが、心地よい自然の音が耳から入ってくるほうが勉強に集中できる子どもも多いようです。
逆に、子ども部屋で塾の宿題をやっているはずなのに、飲み物を持っていったときになにかをバサッと隠す音がしたので「なにを隠したの」と問い詰めると、漫画を読んでいた、というようなことはよくあります。
リビングで、ほどよく人の気配を感じながら勉強する方が、適度な緊張感があり、子どもも集中しやすいものです。
そのときに大人が注意したいのが、見張るのではなく暖かく見守る気持ちでいること。
見張って管理するという気持ちではなく、サポーターのような気持ちで、明るく前向きな話をするとか、「お母さんもその問題教えてくれる?」というような声かけができると、子どものやる気にもつながるでしょう。
家庭での親の役割
また、家庭学習において、親が「教える立場」になってしまうのはあまりよくないことだと考えています。
いくら勉強熱心なお母さんでも、中学受験の4教科を6年生まで教え続けることはかなりむずかしいでしょう。
5年生までは努力してどうにかなるにしても、6年生のハイレベルな入試問題を教えることは不可能です。
また相手がわが子なので、どうしても「こんなことがなぜできないの!」など、感情的になってしまうこともあるでしょう。
勉強を直接教えるのではなく、いっしょに家庭学習のスケジュールを立てる、基本的な生活リズムを整えて体調管理をする、子どもがうまくいっていないなら話をきいて励ますなどの役割を意識するほうがうまくいくようです。
父親と母親の役割分担を話し合っておく
また、夫婦間でお互いの役割分担について話しておくといいでしょう。
その場合、お母さんが働いているのか、専業主婦なのかで役割が変わってくるかもしれません。
シングルマザーの方は、ひとりで二役をこなすことになるでしょう。
それぞれの状況によって、子どもの中学受験にどれほど関われるかが異なります。
ここでは一般的な話になってしまいますが、親の役割について考える材料にしていただけたらと思います。
たとえば、子どもになにかを注意したり叱るときは、叱る役割とフォローする役割が必要になります。
事前にどちらがどうと決めてしまわずに、その時の状況でかまいません。
夫婦ふたりで同時に叱ると、子どもに逃げ場がなくなってしまいます。
家事と身の回りの整頓も大切
これはお母さんの役割であることが多いかもしれませんが、もちろんお父さんでもかまいません。
勉強以外の、家事のお手伝いや身の回りの整頓も、子どもにとってはとても大切な経験になります。
家事のお手伝いは生活の知恵を学ぶ場所でもあり、中学受験の勉強にもいい影響を与えることが多くあります。
台所でお手伝いをして経験したことが理科の勉強に出てきたりすると、経験と知識がつながり理解も深まるのです。
また、身の回りを整頓することによって、探しものをする時間がなくなります。
カバンの中やノートの書き方、考え方の整理の練習にもなるので、身の回りを整えておくことを教えるのも、親の重要な役割のひとつだと思います。
結果を評価する役割も必要
また、日ごろから常に子どもの勉強を見守りフォローすることは、仕事で家を留守にしがちなお父さんには厳しいかもしれません。
日頃の勉強に関して、その過程を評価するお母さんに対して、お父さんは学習やテストで出た結果に対して「すごいね」「よくがんばったね」と評価する役割にまわるなど、ここでも分担しましょう。
忙しいお父さんは、週末などに子どものテストや成績を子ども一緒にチェックして評価し、次回のテストでより結果を出すための戦略を一緒に考えてみてもいいですね。
この場合注意したいのが、「なんでこんなにできていないんだ」と批判するのではなく、できたことに対して評価してあげることです。
また、親の子ども時代を振り返り、「お父さんはもっと成績がよかった」などと自分の成功体験を押し付けるようなことはしないように気をつけてくださいね。
子どもの学力を最大限に引き出せる環境を
中学受験において子どもの家庭学習の環境を整えることは、親にしかできないことです。
子どもが持っている力を、できるだけ引き出してあげられるような環境を整えてあげられたらいいですね。