料理は最高の学習素材。「キッチン」を、学習の場所にしてみよう
毎日の生活習慣のなかで、最高の学習素材だと私が思うもののひとつに「料理」があります。
ここでは、子どもに料理を手伝わせる効果や、キッチンでの共同作業によって、子どもがどのようなことを学べるのかについてご説明します。
キッチンでの共同作業で得る「達成感」
子どもに火を使わせたり、包丁を持たせるのは危ないという意見もありますが、親が注意深く見守ることを条件にすれば、キッチンでの共同作業は子どもにとってとてもいい経験になると思います。
以前、ある難関中学の面接試験で「リンゴの皮むき」が課題に出されたことがあります。
出題者の意図としては「日ごろ、家の手伝いをする習慣があるかどうかを確認すること」だったようです。
いつまでも親に「してもらう」のではなく、ある程度の年齢になったら「自分でできることは自分でする」という意識を持たせるためにも、キッチンでのお手伝いはそのきっかけにもなるのではないでしょうか。
キッチンでの共同作業によって、子どもは「達成感」を得ることもできます。
最初は、野菜を洗うのもおぼつかないかもしれません。
でも、あせらず、気長に見守ってあげましょう。
徐々に、調味料を混ぜる、野菜をちぎる、卵の殻を割るなど、できることを広げていってあげてください。
そのうち、包丁の持ち方を教えて、実際に切らせてみましょう。
持ち方がおかしかったらその都度「こう持ったほうが切りやすいよ」とお手本を見せてあげるといいですね。
私は、自由研究の取材などで子どもたちと一緒にキッチンに立つ機会もあるのですが「押さえる方の手は『ネコの手』で、指を丸めてごらん」と伝えます。
時間がかかっても、切り終えた食材の形が少しおかしくても「すごいね。ありがとう」と手伝ってくれたことをほめてあげましょう。
これが、子どものなかに達成感として蓄積されていきます。
「自分でもできた」「お母さん、お父さんの役に立てた」ということが自信につながり、ほかのことにも前向きに取り組む意欲が高まっていきます。
野菜を切ることで、図形問題の理解を深める
また、包丁を使って野菜切りながら、図形問題への理解を深めることもできます。
たとえばキュウリをそのまま切れば断面は丸くなりますが、ななめに切ったら楕円になります。大人にはあたりまえのことですが、丸いものが切り方を変えれば楕円形になることは、小さい子どもにとっては大きな「発見」になります。
低学年のうちにこういう経験をしておくと、図形問題に苦手意識を持たずにすむかもしれません。
過去に、下記のような入試問題がありました。
答えは「最初は三角形で、途中から台形に変わり、さらに進むと五角形になる。途中で平行四辺形になって、また台形に戻り、最後の切り口はまた三角になる」です。
三角形や四角形は頭の中で想像できても、五角形は経験してみないとなかなか実感できないのではないでしょうか。
実際に、ようかんなどを子どもが自分の手で切ってみて、目で見て、生きた知識として身につけると、より図形問題に親しみを持つことができると思います。
(ようかんはベトベトするので、実際には豆腐などがおすすめです。カットして使う台所用のメラミンスポンジなどもいいですね。)
いろんな食材で、「こう切ったら、どんな形になるかな?」と想像しながら試していくと、楽しく料理ができて食べるときにも楽しめます。
子どもにとって、キッチンは気づきの場所です。
「へえ、そうなんだ!」という発見をたくさん経験させてあげられたらいいですね。
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問題
ようかんのような直方体の角を少しカットすると、切り口は三角になります。これを等間隔でカットしていったとき、切り口はどんなふうに変わっていくでしょうか。