親子の遊び、共同作業で育む力。「気づき」「工夫する力」「思考力」
親子関係は日々のコミュニケーションで育まれていきますが、これは言葉によるものだけでなく、「ノンバーバル・コミュニケーション」という言葉以外のコミュニケーションも重要になってきます。
今回は、親子共同でひとつの作業に取り組むことの大切さについてお伝えさせていただきます。
DIYや料理を通した「気づき」と「工夫する力」
一緒に料理をする。掃除を手伝ってもらう。家庭菜園やDIYの作業をする。
なんでもいいのです。
「やりなさい」と強制するのではなく、子どもが「やりたい」と言い出したら、親子で一緒に取り組んで、共同作業をするようにしましょう。
たとえばDIYなら、ノコギリで切った板をどう組み合わせて、金づちでどの場所に釘を打てばいいのかなどを子どもに考えさせてみてください。
経験がないと、どこに釘を打っても同じだと思うかもしれませんが、実は打つ場所によって完成品の強度が変わります。
子どもにとってはこれが大きな「気づき」になるはずです。
料理も、子どもにとっては発見が多い作業のひとつです。
ある調味料を入れたら色が変わったり、調理方法で食材の硬さや形状が変化することに気づくでしょう。
材料を使って何かを作るには、そのプロセスでさまざまな工夫が求められるので、「工夫する力」を育むことにもつながります。
この「工夫」は算数を解くときのプロセスに似ています。
自分で持っている材料(覚えている公式や授業で習った内容)を使って、そこに自分なりの工夫を加えて答えを導いていくというものです。
親子で楽しく作業しながら、一緒にさまざまなことに気づいたり、工夫することを経験できるといいですね。
また、手を動かして作業する習慣が想像力やひらめきを生むのではないでしょうか。
遊びの中にもたくさんの学びがある
ブランコ遊びが好きな子どもは多いと思います。
公園で「背中をおして」と子どもに頼まれることもあるのではないでしょうか。
実は、これは中学受験の試験問題にもよく出題される「ふりこ」の理解につながるのをご存知でしょうか。
たとえば以下のような問題です。
【問題】
ロープの先におもりのついた振り子があります。
振り子を動かして、いちばん端にきたときにロープを切ると、先についているおもりはどうなりますか。
答えは、「おもりは、そのまま下に落ちる」です。
このような問題が出たとき、ブランコに乗って勢いをつけて、誰がいちばん遠くまで飛べるか、という遊びをしたことがあるなら、答えを導くのは簡単でしょう。
遠くへ飛ぶには、ブランコがいちばん端に来る手前で飛び出す必要があります。
ブランコが端に来てから飛び出そうとしても、その時点ではもう勢いがなくなっているので、そのまま下に落ちてしまいます。
このようなことを遊びの中で自然に経験していたら、子どもの興味の範囲はどんどん広がるのではないでしょうか。
「こういうことは知っているかな」ということを親が意識して遊びの中で経験させてあげることで、子どもの考える力を伸ばすこともできるでしょう。
親子の共同作業には、子どもの思考力を伸ばすヒントがたくさんあります。
ぜひ子どもが小さいうちから、お手伝いや遊びを通してさまざまなことを経験させてあげましょう。