「わからない」と言える子、親の言うことを聞かない子は伸びる
「子どもが言うことを聞かない」という悩みを持つ親御さんは多いようです。
中学受験をするくらいの年齢は、ちょうど成長過程で自分の意見を主張し始める年齢、つまり反抗期と重なるのがその原因かもしれません。
でも、そういう子や、素直に「わからない」と言える子は、伸びしろがあるとも言えます。
どういうことなのかご説明します。
小学校受験の弊害に注意
小学校の「お受験」を経験し、受験勉強を幼少期に叩き込まれた子どもたちは、その後、中学受験の勉強を始めたときに、なぜかうまくいかなくなる場合もあるようです。
そして、私たち家庭教師に依頼が来ることになります。
小学校受験の塾にもいろいろあり、子どもひとりひとりの発達を考えながら指導する塾もあれば、そうしたことを加味せず、大量の問題をひたすら学習させる塾もあります。
その結果、一部の子どもが合格し、ほかの子どもは不合格になります。
それぞれの子どもの力が伸びる時期が異なるので仕方のないことなのですが、子どもによってはそこで挫折感を味わってしまうこともあるかもしれません。
「わからない」と言える雰囲気を作ってあげる
そういうお子さんに、たとえば算数で、「この問題の答えはどういう数字になるかな?」と聞くと、脈絡のない数字を言ったりします。
「どうして、その数字になるの?」と聞いてみると、素直な子は「本当はよくわからない」と正直に言います。
「わからない」と言える子は、自分がわからないことを認めて、それをちゃんと表現できているので、比較的容易に直していくことができます。
でも、なかには「まちがってないはず。自信がある」と言い張る子もいます。
おそらくこういう子は、受験勉強の過程で「正しいことをしている自分」を維持し続けなければならなかった経験があり、自信があると言い張ることが、「叱られないための防御法」だったのかもしれません。
親としては「わからなかったら素直に言いなさい」と注意してしまいそうですが、そうするとますます嘘を重ねてしまう子もいます。
叱るよりも、子どもが素直に「わからない」と言える雰囲気を作ってあげることが大切です。
子どもが言うことを聞かない…
また、相談を受けるなかでよくあるのが「子どもが言うことを聞かなくて困っている」というものです。
就学前や低学年までは、素直に言うことを聞いていたのに、中学年以降、反抗したりふてくされたりするようになる、という内容です。
中学受験の時期は、子どもが自分の意思や意見を持ったり、客観的に物事を見ることができるようになる時期と重なります。
ですので、私からすれば、ずっと親から言われるままにやっている子のほうが、心配になってしまいます。
親としては、子どもに「そんなに簡単に大人の言いなりにはならないぞ」という意思が出てくるといろんなことが大変かもしれません。
でも、子どもが確実に成長している証拠でもあるので、安心してもいいのではないでしょうか。
可能性を信じて、ほめて伸ばしてあげる
「子どもが言うことを聞かなくて、生意気なことばかり言う」「すぐ言い合いになり、親子関係がぎくしゃくしている」という悩みを持つ方もいるのですが、これからそこをじっくりと改善していけば、まだまだ伸びる可能性があるということを理解していただきたいと思います。
言うことを聞かない子、やんちゃな子は、教える側としてはとてもおもしろい視点を持っていると感じることがあります。
その子が持っている鋭い部分を見つけて認めてあげると、ぐんぐん伸びていくことが多いのです。
「言うことを聞かない」「生意気なことを言う」というのは、言い換えれば「矛盾点を見つけるのがうまい」「視点が鋭い」ということにもなるので、そこをほめて認めてあげると、信頼関係が生まれることもあります。
それぞれの子どものいいところを見つけて、認める。そしてほめる。
1回だけでなく、それを続けていくことで、子どもの琴線に触れる瞬間がやってきます。
親が子どもの可能性を信じながら、その瞬間を待つことが必要なのです。