中学受験における反抗期の乗り越え方のポイント「考える時間」を与える大切さとは
中学受験勉強の中で高学年は学習面でも大事な時期ですが、子どもの反抗期と重なってしまうこともあります。
どのように乗り越えたらいいのでしょうか。
また子どもに「自分で考える時間」を与えることの大切さについても、合わせて考えてみたいと思います。
反抗期と成績の関係は、気にしなくてもいい
親の言うことを聞かない、あまり口をきかなくなる、珍しく口をきいたかと思えば親に対する批判的なことばかりを言ってくるなど、子どもが反抗期に入ったと感じる親御さんもいらっしゃると思います。
中学受験において、小学校高学年は大切な時期ですが、反抗期とちょうど重なる時期でもあるので、子どもとどう接したらよいのかを悩んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。
でも、結論から言えば、反抗期だからといって勉強をしなくなったり、成績が下がる、という例はあまりないことをまずはお伝えしておきます。
親子の衝突やすれ違いは増えるかもしれませんが、子どもが「志望校に合格する」という目的がある限りは大丈夫です。
「反抗期だけど、受験を乗り越えられるかしら」「勉強しなくなって、成績が落ちるのでは」と心配される方もいるようですが、お子さんを信じて暖かく見守ってあげましょう。
反抗期だからこそ伸びることもある
反抗期は、むしろ、学習を充実させるきっかけになるかもしれません。
というのも、子どもの自立心が芽生えて親の庇護から離れようとする反抗期は、不安になったり、懐疑的になったりするものです。
そんな中で、子どもなりに一生懸命いろんなことを考えているのです。
他人の目を気にするようになったり、他人の気持ちについてこれまで以上に想像できるようになることもあります。
その結果、たとえば国語の物語文を読むときに、登場人物の心情の機微が理解でき、深く読み込むことができるのです。
たとえば友情を描いた物語なら、「仲の良い友人同士にも、互いを批判するような冷たい視線」があることは、天真爛漫に友達とじゃれ合っているうちは本当に意味で理解できません。
登場人物に近い気持ちを自ら経験することで、より深く理解できるようになります。
そういう意味では、国語の読解力などは反抗期だからこそ伸びることがあるのです。
子どもが「自分で考える時間」を大事にする
これは反抗期に限らないのですが、つい先回りして「そうじゃなくて、こうでしょ」と、子どもが取り組んでいる途中でつい口出ししてしまうお母さん、お父さんもいるのではないでしょうか。
たしかに、子どもに任せるより大人が手出ししたほうが早いことはたくさんあると思います。
でもそのことで、子どもは自分で考えるチャンスを失ってしまいます。
子どもが恥をかかないよう、困らないようにと、親心からつい手助けしたくなる気持ちは理解できます。
でも長い目で見ると、それは本当の意味では子どものためになりません。
子どもが夏休みの宿題をなかなかしないからと、大人が自由研究や読書感想文を必要以上に手伝ったりしていないでしょうか。
子どもが「自力で結果を出そうとする過程」がいちばん大切なのです。
探し物は「記憶のアウトプット」の練習
学校や塾で配られたはずのプリントが見つからず、子どもが探しているという状況でも、必要以上に大人が手出ししないようにしましょう。
ランドセルや塾のカバンをひっくり返して探したり、「プリントをもらったけど、どこに入れたっけ」「ファイルの中にしまったかな」と記憶をたどったり、子どもはいろんなことを試すでしょう。
そんな経験が子どもを成長させるのです。
どうしても見つからなかったら、子どもは困るでしょう。
でも、その困った状況を体験することによって「次からは、プリントを入れる場所を決めておこう」と子どもなりに対策を考えることができます。
また、「どこに置いたかな」と自分の行動の記憶をたどることは、勉強で記憶をたどるのと同じで、記憶の引き出しを開けてそのときに必要な情報を取り出す「記憶のアウトプット」につながります。
大人が先回りして「机の引き出しにあるんじゃないの」などと口出しせず、子どもに自分で考えさせるようにしましょう。
復習など勉強につまずいたときも同じです。
まずは子どもにじっくり考えさせてから「このとき、先生は黒板にどんなことを書いていたの?」「先生はどんな風に説明したのかな」と記憶を引き出す手助けにとどめましょう。
子どもが自分で記憶のアウトプットができるように、少しずつ刺激を与えてあげるのです。
時間も手間もかかってしまいますが、子どもが自分の力で解答にたどり着いた経験は、確実に学力向上につながります。
大人がすぐに手を出さずに子どもを待ってあげること。
これは、子どものやる気や学力を伸ばす貴重な機会になります。子どもが自力で記憶のアウトプットできるように上手に誘導することが、自身と自立心につながるのです。