子どもの語彙力と記述力を伸ばす、家庭での魔法の会話
家庭での会話は、子どもの語彙力、表現力を伸ばす大切な機会です。
ここでは、幼児期から小学校低学年までのお子さんがいるご家庭で、心がけていただくと効果がある会話の方法についてお伝えします。
できるだけ「助詞」を正しく使って話しかける
子どもが赤ちゃんのころは特に、大人の言葉も「赤ちゃん言葉」になることが多いものです。
もちろん、赤ちゃんのころはそれでもいいのですが、子どもの言葉が出るようになるころには、少しずつ正確な言葉をかけるように気をつけましょう。
特に、できるだけ「助詞」を正しく使って話すように意識するのです。
「今日は、お昼ごはんを食べたあと、なにをして遊びたい?」「今日は幼稚園でなにがいちばん楽しかったの?」「誰と、何をして遊んだの?」など、大人に話すのと同じような言葉で子どもに話しかけてください。
子どもが「おなか、すいた」「ママ、抱っこ」など二語文が話せるようになる時期は、少し長い文章を聞き取ることで、真似していくようになります。
語彙を増やそうと、難しい言葉をたくさん使ったりして無理をする必要はありません。
できるだけ正しい言葉づかいを心がけましょう。
また、身の回りにあるモノの名前や呼び方を教えるのは、とてもいいことです。
特に、帰省先などで、都会ではあまり見かけないようなものを見かけたときには、積極的に教えてあげてください。
「雨どい」「縁側」「たたみ」「焚き火」「田植え」など、実際に見聞きしたもののことばは、子どももすぐに覚えるものです。
そういった経験が語彙力や、自分の言葉で自分の意見を伝える基盤になります。
「お母さんの気持ち」を意識的に伝える
大人も、できるだけ自分の気持ちを意識的に言葉にして伝えるようにしましょう。
「お手伝いをしてくれて、すごくうれしい。ありがとう」「少し怒りすぎちゃったかも。ごめんね」など、喜びの気持ちや感謝の気持ち、ときには反省の気持ちなどを、ちゃんと言葉にして子どもに伝えてあげてください。
ほかにも「ほめる回数を増やす」「否定的な言葉から始めない」ということも大切です。
でも、なにより「自分の気持ちを言葉で伝える」ことを意識するだけで、自然にお母さん自身の気持ちも明るくなっていくものです。
お子さんが小学校に入ったあたりから、つい、子どもへの声かけのほとんどが「指示」になってしまうお母さんもいます。
「宿題しなさい」「手を洗いなさい」「お風呂に入りなさい」「早く寝なさい」…
これでは、子どもの返事も「うん」「わかった」と短くなってしまい、会話もどんどん少なくなります。
「宿題を早く終わらせて、一緒におやつを買いにいけたらうれしいな」「早くお風呂に入って、あの本の続きが読みたいね」など、お母さん自身の気持ちを付け足すと、子どもも返事がしやすく、会話も弾むのではないでしょうか。
子どもの「話す力」を育むために、聞き上手になる
できるだけ子どもが話したいことを話させて、「話す力」を育みましょう。
子どものたどたどしい話を聞くのはけっこう根気がいることなので、つい「こうなんでしょ」と先回りしてしまいがちですが、親が先回りしたり、矢継ぎ早に質問したりせず、子どもが自発的に話そうとすることを、意識的にちゃんと聞いてあげるのです。
好きなキャラクターのことでも、好きなサッカー選手のことでも、なんでもいいのです。
話が回りくどくても、先回りして「で、結局どうなったの?」と聞いたりせず、「へえ、そうなのね」「それでどうなったの?」とのんびり相づちを打ちながら、興味を持って聞いてあげましょう。
親に、自分が思っていることや伝えたいことを言葉で説明し伝えることで、子どもの「話す力」はぐんぐん育っていきます。
子どもはしゃべった分だけ「話す力」がつき、やがてそれは記述力や表現力にもつながります。
家庭での会話は、子どものさまざまな力を伸ばします。
ちょっとした心がけで大きく変わるので、今回お伝えした「助詞を使う」「大人の気持ちも伝える」「聞き上手になる」という3つのことを、ぜひ実践してみてくださいね。