【子どもの中学受験】夫に「塾なんて行かなくてもいい」と言われたら
ご家庭で子どもの中学受験を検討する際、夫に「塾なんて行かなくてもいいのでは」と言われた経験のある母親は少なくないようです。
本当にそうなのでしょうか。
今と昔の中学受験の違いに焦点当て、考えてみたいと思います。
30年前の超難問は、今の「標準問題」
今の親御さんの世代で中学受験を経験した人の中には「塾に行かず、通信教育だけで合格した」「6年生の1年間だけ塾に通った」という人もいるかもしれません。
しかし、今の中学受験と昔の中学受験には大きな違いがあり、塾に通わずに中学受験をすることはほぼ不可能となっています。
これについて勉強の「量」と「質」両方の観点からご説明します。
中学受験の入試問題の「質」
一例を挙げると、30年前も難関校だった開成中学校で当時出題された算数の問題は、今では偏差値40〜50の学校で出題されています。
算数だけでなく、入試問題全体が難しくなった傾向があります。
今の親御さんたちが中学受験を経験した頃は、難関校に一番近い塾として、四谷大塚が人気でした。
四谷大塚といえば『予習シリーズ』のテキストが有名ですが、毎回の改訂で難易度が上がっていて、もはや「予習」という言葉が合わないほどです。
中学受験の学習「量」
1989年には、難関校で多くの合格実績を出していた中規模進学塾「TAP」の講師が中心となって、進学塾サピックスが設立されました。
今や御三家をはじめとする難関中学の合格実績ナンバーワンになったサピックスですが、こちらは四谷大塚と違って復習を主体とする塾です。
サピックスのカリキュラムは繰り返し学習が少ないのが特徴なのですが、授業のスピードが速く、そのうえ内容がとても難しいので、1回1回の授業をしっかり理解し、家庭での復習と演習、テストでの定着というサイクルが必須となります。
現実的には多くの子が授業をちゃんと理解できてないまま、塾から出された大量の宿題に追われることになります。
大手進学塾に通っていれば安心?
中学受験に塾が必須とも言えますが、まず検討するのが大手の進学塾だと思います。
受験の必要なカリキュラム、学習スケジュールが組み込まれているので、とにかく塾に入れたら安心と考える親御さんもいますが、実はそうではありません。
現実的には多くの子どもが塾の授業スピードやその内容の難しさについていけないからです。
その上、日々大量に宿題が課せられるので、家庭でのフォローは必須となります。
学習内容、特に宿題の取捨選択や学習スケジュールを立てることは、特に大切なフォローです。
4年生のうちは塾も週に2、3日で、比較的時間に余裕があるでしょう。
授業内容もそこまで難易度は高くないと感じる子が多いと思います。
ところが5年生になると、塾の回数も増えて授業内容も難しくなります。
4年生までは基礎問題だけだったのが5年生になると応用問題に取り組むようになるからです。
さらに、入試に必要な分野をほとんど5年生のうちに終わらせるため、毎回の授業スピードがかなり速く感じられるようになります。
6年生になると、さらにハードな毎日になります。
平日の塾に加えて秋以降に志望校特訓が始まるからです。
土日も塾に通うことになり、家庭でも塾の宿題に加えて模試対策や志望校の過去問に取り組まなければならないので、1日の多くの時間を勉強にあてることになります。
この流れについていけるかどうか、ここは塾任せというわけにはいきません。
家庭でのフォローがないと5年生あたりから成績が伸び悩むことになるので、その対応をどうするかについて事前に家庭で話し合っておく必要があります。
近くの中小塾という選択肢
一方、「そこまで難関校を狙うわけではない」「習い事やスポーツと両立させたい」というご家庭もあります。
そんなご家庭が検討するのが、地元の中小塾だと思います。
各地域には地元の私立中学校受験に特化している中小塾があります。
小規模の塾では講師の数も少ないので、4年生から6年生まで3年間を同じ講師に見てもらうことも可能でしょう。
大手塾では月ごとにクラス分けテストがあり、クラスが変わるたびに講師が変わります。
そういう意味では中小塾の方が生徒と講師の信頼関係が強いといえます。
ただ、注意したいのは、中小塾は大手の進学塾ほどカリキュラムが整っていません。大手塾は長年の蓄積された受験指導や最新の受験動向の情報がたくさんありますが、中小塾はある特定の地元校以外の情報は少ない場合がほとんどです。
もし、受験する学校の選択肢を広げたいなら、さまざまな学校の情報があり受験対策の経験も豊富な大手塾を選んだ方がいいこともあります。
子どもにどのような環境が合っているかにもよるので慎重に選びましょう。
中学受験の大手塾の特徴一覧
それでは、最後に中学受験のための大手進学塾の一覧を載せておきます。
それぞれの特徴を見比べてみて、塾を選ぶときの検討材料にしてください。
サピックス(首都圏・関西圏)
難関校への進学実績が高い。家庭でのサポートが必須
早稲田アカデミー(首都圏)
反復学習に力を入れる体育会系、熱血系の塾
四谷大塚(全国展開)
直営校、通信などさまざまな形態がある
日能研(全国展開)
間口が広く中堅校に強い。日本最大の受験塾
浜学園(関西圏・首都圏)
灘中など最難関校への進学実績を誇る
希(のぞみ)学園(関西圏・首都圏)
拘束時間が多く学習量も多いが、面倒見がいい
馬渕教室(関西圏)
親の負担が少なめで「わかるまで帰さない」がモットー
能開センター(関西圏)
徹底した反復学習が特徴で、じっくり学びたい子向け
中学受験するなら「塾なんて行かなくてもいい」はありえない
中学受験をするなら塾は必須だということ、塾それぞれに特徴があるので塾選びが必要であることをお伝えしました。
塾によってはご家庭でのフォローが必須なので、そこも踏まえてご家庭でよく話をして決めることが中学受験を成功させる秘訣です。
中学受験に塾は必要だという現実を念頭に置き、そこから子どもの性格や志望校などを視野に入れて塾を選ぶことで、合格が近づくだけでなく、中学受験が子どもにとって有意義なものになります。
そのためにまずは、ご家庭の教育方針をご夫婦でしっかりと擦り合わせておくことが大切です。