子どもを勉強嫌いにする親の行動3選
中学受験情報局には、多くの受験生のご家庭のお父さん、お母さんからメールが送られてきます。
中学受験のお悩み、ご質問、成功体験、失敗談などです。
ここでは、そんな膨大なお便りの中から、代表的な「お子さんを勉強嫌いにさせる親のNG行動3選」をお送りします。
お子さんに成績を上げてほしい、学力をつけてほしい、志望校に合格してほしい、そして何より将来、充実した人生を歩んでほしいと願うのは親の常です。
でも、その親の言動が、知らず知らずのうちにお子さんを「勉強嫌い」にしていることがあります。
今回は、そんな親のNG行動を3つ、お送りしたいと思います。
少し意識するだけで、逆にお子さんにいい影響を与えられるかもしれませんね。
NG行動その1 「できて当たり前」という対応をしてしまう
中学受験の勉強は、小学校の勉強とはまったくの別物です。
もうすでに進学塾に通い、受験勉強を始めているお子さんのご家庭では、すでにどれくらい違うかおわかりだと思います。
主任相談員の西村先生もよく「学校のテストで満点を取れているお子さんでも、進学塾のテストではなかなか点が取れない」と仰っています。
だから、中学受験に挑戦しようというお子さんにとって、「学校の勉強はできて当たり前」ともいえるのですが、それを親が態度に出してしまうのはよくありません。
お子さんも、だったらなんで学校に行かなくちゃいけないの、という気持ちになってしまいます。
いざ志望校に合格したら、その学校の勉強をしっかりやっていかなければならないわけで、「学校軽視」の視点をお子さんに持たせる結果になりかねない「学校のことはできて当たり前」は態度に出さないのが賢明です。
一方、塾ではテストが行われ「今お子さんができていないところ」を洗い出してくれます。
塾のテストは、小問ごとの正誤や正答率が示され、「みんなができているのに間違った問題」から「今後どうすべきか」を考えるヒントが得られる、非常に便利なツールです。
しかし、だからこそ「できていないところばかり確認するツール」になってしまいがちです。
多くのお子さんが正解している、つまり「できて当たり前」の問題をできるようにすることはもちろん大事なのですが、同時に「みんなができていないところができた」問題に関してしっかり認めてあげることが必要です。
何より、お子さんが充実感を感じ、自信がつくのは、親御さんから認められることです。
子どもの頃にしっかりお父さん、お母さんから認められた経験を持つことは、将来お子さんが大人になってから何かに取り組む時の自信や姿勢にも影響するものです。
「できていないところ」に対して、同じだけ「できているところ」を見つけ出してあげましょう。
NG行動その2 同じことを何回も言う
「宿題はやったの?」
「明日はテストなんでしょ?」
「はやく勉強しなさい」
親は子どもを思うあまり、ついつい同じようなフレーズを無意識のうちに子どもに投げかけがちです。
上記のような声かけ、実際に大きな効果があると思われる方は、実はあまりいないのではないでしょうか。
気分が乗らない、やる気がでない、そんなときに「いつもと同じようなフレーズ」でお小言を言われても、子どもはただただ聞き流すばかりです。
そのうち子どもは、お母さんの言うことは基本的には聞き流して、お母さんの「怒りの本気度」だけで対応を決める、というふうになります。
ひどく叱られそうなくらいお母さんが怒っていたら、しぶしぶ勉強にとりかかる、というわけです。
なぜそうなるかというと、お母さんが半ば自動的に、上記のようなフレーズを言っているということに気づいているからです。
自分がどの科目の、どんな難しさの問題を、どんなに大変な思いでやるのか、お母さんは知らない、知ろうとしない、そう思っているからかもしれません。
お子さんに声をかけるとき、赤の他人、たとえば勤め先の部下や同僚、近所のお友達などに同じことを言うとき、どんな言い方をするだろう、と考えてみるのもよいですね。
「今日はどんな宿題が出たの?」
「へぇ、難しいことやってんのね。」
「そんな考え方をするんだ。よくわかったわね。」
お母さんが実際に内容を教える必要は(特にお子さんが高学年になったら)ないですが、内容やお子さんの理解度に興味を持っていることは大切なことです。
宿題ができたということ、テストで点が取れたということの手前で、お子さんがどれくらいがんばって、どれくらい勉強を身につけているかを評価してあげることで、お子さんのモチベーションはぐんと上がるものです。
NG行動その3 他の子と比較する
「◯◯くん、テストの偏差値66もあったんだって。すごいね。」
こんなひと言に、お子さんはひどく傷付きます。
お父さん、お母さん自身が、子どもの頃にそのような経験をした、というお話を聞くこともあります。
他のお母さんと話をしていて、お子さんの前で相手のお子さんを褒め、謙遜の気持ちから「うちなんかこんなこともできてなくて・・・」などと仰ってしまうことがあるかもしれませんが、これはやめたほうがよい、と主任相談員の辻先生は言います。
進学塾での受験勉強は、他の子どもとの比較の毎日です。
テストで成績順位が発表され、クラスが決まります。テストの成績でクラス内での席順が決まる塾もあります。
努力してもなかなか成績が上がらないことも珍しくありません。
もちろん受験の合否はまわりとの相対的な差で決まりますから、まわりの受験生よりも1点でも多く点を取らねばなりません。
だから「比較されて傷付くなんて、そんな甘いもんじゃない」という考え方もあるかもしれません。
だから塾でも競争させ、その中で「僕も負けないように頑張るぞ」とお子さんが伸びてくれることを期待しているわけですが、競争にさらされる中で「がんばれば僕にはできる、僕は大丈夫」という「根拠のない自信」が必要なのです。
この「根拠のない自信」の源になるのは、お父さん、お母さんです。
幼い頃から「あなたは素晴らしい才能があるんだから、絶対大丈夫」と言われ続けてきた経験が根拠になっているのです。
子どもが小さい頃は、ものの名前を覚えたとか、数が数えられたとか、そんなことで大喜びするのが親ですが、子どもが成長してくるにつれ、大げさに喜び、褒めてあげる機会は減っていきます。
子どもも成長するにつれ、大したことじゃないのに大げさにほめられるのを嫌がるようになります。
小学生も高学年になると、もっと難しいことに挑戦して、それを達成したときに褒めてほしい、というふうになってくるのです。
ずいぶん逞しく成長するものですが、それでも「親による他の子との比較」は堪えるようです。
これは兄弟姉妹でも同じです。「あの子はできているのにあなたは・・・」という親のひと言に「根拠のない自信」がグラグラ揺れ動いてしまうのです。
子どもはそれぞれに個性があり、それは勉強のしかたやその効果の出方にも表れます。
上の子でうまくいったからと、同じやり方を下の子にさせてもうまくいかず、まったく違った方法でアプローチするといきなり結果が出た、ということも珍しくありません。
他の子との比較は、塾がやってくれます。
それを受け止めた上で「でも僕はがんばればできる、大丈夫」とお子さんが思えるようなサポートを心がけるのがいいですね。