低学年のうちにやっておきたい「音読」は、国語だけでなくすべての教科を伸ばしてくれる
「音読」は、小学校低学年のうちからぜひやらせておきたいことのひとつです。
今回は、音読の大切さや低学年に適した音読のさせ方についてご説明します。
「音読」はすべての教科の力を伸ばす
中学受験の国語の勉強の準備として「音読」があります。
音読は、ぜひ小学校1年生からやらせてください。
教科書でも童話でも、なんでもかまいません。
無理に難しいものを読む必要はないので、好きなものを読ませてあげましょう。
スムーズに音読できるように練習を続けていると、文字を追うときの「周辺視野」が鍛えられます。
「今、声に出して読んでいる箇所」より少し先の部分を目で追わないと、スムーズに読み進められないからです。
こうした目の動きは、国語だけではなく他の教科でも必要になります。
大人でも、ちゃんと声に出して音読すると黙読だけでは理解できなかったことも理解できた経験はないでしょうか。
子どもが「この問題がわからない」と言ったときも「問題文を声に出して読んでごらん」と促すと「あ、わかった!」となるケースがとても多いのです。
算数の文章問題には「3行の壁」と言われるものがあります。
問題文が3行を超えるとそもそもの問題文の意味がわからなくなる子が多いのですが、音読の習慣がある子はこの壁を乗り越えられることが多いです。
音読することで、黙読のときの読解力も高まる
また、音読することで文章に込められた感情を読み取る力がつき、文章同士のつながりの理解が深まります。
黙読だけだと、読むスピードは上がりますが、感情は読みとばして筋だけ追ってしまったり、理解するのが難しい文章は読み飛ばしてしまう癖がつきやすいのです。
大人の読書家は文字という視覚的画像を直接、意味情報に変えることができますが、文字を読むことを覚えたばかりの子どもは、まず視覚情報を音の情報にしてから理解することが多いようです。
勉強が苦手という子の問題の読み方を見ていると、問題が10行ぐらいあるのに目の動きが5往復ぐらいしかしていません。
読んでいるようで読んでいないのです。
音読の練習のときに「通常の音読」に加えて「速音読」もさせてみることをおすすめします。
「即音読」ではできるだけ滑舌よくハキハキと、早いスピードで読みます。
即音読は説明文などを読むのに適していますので、1年生なら小学生新聞や、動物や宇宙のことについて書かれた子ども向けの科学読み物などがいいですね。
読書は好きなのに国語ができないのはなぜか
実は、読書好きなのに国語の成績が良くない子はたくさんいます。
そういう子の読書傾向をよく観察してみると、ストーリーを追うだけの読書をしてしまっていることが多いです。
あまりストーリーと関係ない部分を読み飛ばしてしまっているのです。
これではたくさん読んでも読書は深くなりませんし、心理描写や情景描写の素晴らしさを味わうことはできません。
国語の成績が伸びないのは、登場人物の心理状態を問われても説明できなかたり、素材文が説明文だと論旨を正しくできないといった理由が挙げられます。
実は、この影響は算数にも及びます。論理的な説明文が理解できないと問題の意味が読み取れないからです。
国語の学習に論理的な理系の考え方が必要である一方、算数の学習には国語力が必要なのです。
うちの子どもは読書が好きだから安心と思わず、どんな本を読んでいるか普段から見てあげてください。
筋だけを追う読書をしているようなら、今読んでいるものを一度音読させるだけでも、黙読では気づかなかったことがあるということがわかると思います。
幼児期や低学年のころの「読み方」は習慣になる
音読のさらに前段階は、親の「読み聞かせ」です。
乳幼児期にその経験が多い子どもの多くは本を読むのが好きになり、音読にも抵抗がないようです。
ぜひ、幼児期や低学年のうちから正しい「読み方」の習慣をつけてあげましょう。