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私立中受験は受験テクニックだけで乗りきれる?

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公開: 最終更新日:2021年07月27日

年々難度を増す入試問題

私立中学入試の問題は、年々難度を増していると言われています。
入試問題には、「パターン問題」といわれる、どの学校でもよく問われるタイプの問題と、「新作」と呼ばれる問題があります。

「新作」を出題する学校は、おもに難関校、首都圏では御三家と呼ばれる学校や、関西では灘中、東大寺学園中、洛南高附属中といった最難関中学校です。

最難関中学校で出題された「新作」は、その年受験した受験生たちにとっては、まったくの「初見」の問題として解かれますが、次年度からは各進学塾の志望校別特訓のテキストに収録されます。
一方、その「新作」の類題、改題を入試問題として出題する学校も次年度からは出てきます。
そしてその「新作」は、各塾の基幹講座(サピックスのデイリーや日能研の本科教室など)にも収録されるようになり、多くの受験生たちがその「解き方・考え方」を学ぶ、「パターン問題」へと変わっていくのです。

最難関校ではさらに、これまでなかったタイプの問題を出題しようと、新しいタイプの問題を作成します。
こうやって、中学入試の問題は難度を増し続けているのです。

増えていく「パターン問題」

一方、「新作」として出題された問題が年々「パターン問題」として塾のテキストに加わり続けるため、各塾で「パターン問題」として知っておくべきことがらは増え続けています。

このような理由で、私立中学入試において「知っておくべきこと」が増え続けているため、解法、考え方、テクニックなどをたくさん覚えて知っておくことが、私立中学入試を乗り切る秘訣だと多くの方が捉えるようになっているのです。

このように、解法、考え方、テクニックなどをできるだけたくさん覚え、それを得点力として活かそうという学習を続けていると、高学年までに覚えることが膨大となり、結果として成績が伸び悩むという現象が起こります。

学校の勉強と受験勉強は全く違うが・・・

ふだん学校の勉強だけをしてきたお子さんが、中学受験のための勉強を始めて進学塾に通うと、そのギャップに驚かれることと思います。
学校では習わないことがどんどん出てきて、こんなことまで知っておかなきゃならないの?と親子とも感じるのです。

確かに、私立中学校の入試問題では、小学校で習わないことや、そもそも中学校や高校でも習わないような専門的な話題すら出てくることがあります。
こんなこと学校では習わないじゃないか、と言ってみても、出題されている以上、考え、解くしかありません。

たとえば男子御三家のひとつ、麻布中学校では、2015年度の入試問題に、サンゴの話題が出題されています。
その文中には「ゾーザンテラ」「チューブワーム」といった、小学生の子どもたちが聞いたこともないような生物の名前がいくつも出てきますが、これらの生物を知っていなければ麻布中学校の入試問題は解けないのかというと、そんなことはありません。

必要なのは、読解力と思考力、応用力

麻布中に限らず、難関中学校の入試問題が子どもたちに求めるのは、知識の多さだけではありません。
考えるベースとなる最低限の知識は必要ですが、その上で、問題文で示された話題を読んで内容を理解し、自分の持っている知識と照らし合わせ、どうすれば問題を「解決」できるか考察し、試行錯誤して結果を導き出す力を求められるのです。

サンゴのこと、ゾーザンテラのこと、すべて知識として事細かに知っていれば、どんな問題が出題されても答えることができるかもしれません。でも、求められているのは「知っていること」ではなく「考えること」なのです。

海中でほとんど動かず生活している動物、サンゴ。陸上で植物と動物が食物連鎖でつながっているように、海中でも同じようなつながりがあるはずだ、だとすればサンゴとゾーザンテラの関係は・・・と考え、仮定し、結論を出すことが求められている、ということを意識して受験勉強をしてきた受験生かどうかを、試されているともいえます。

「受験テクニック」だけでは乗り切れない問題を出題する学校は、それに対応できる受験生を求めているということでもあり、それが学校の意思、見識でもあります。
そのような見識を持った学校は、子どもたちを社会に送り出すにあたっても、「送り出したい生徒像」をしっかりと持っているものです。

ぜひ「テクニック」だけでない受験勉強を意識していきたいものですね。

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