受験生の睡眠時間ってどれくらい?
中学受験において、勉強時間の確保は重要なポイント。
高学年になるにつれて、多くの生徒さんが遊び・読書・習い事などの時間を削り、本番へ向けて臨戦態勢を整えていきます。
しかし、そんな中でも削って良いのかどうか、最も悩んでしまうのが「睡眠時間」ではないでしょうか。
今日は、そんな「受験生の睡眠時間」についてお話しします。
1.塾に通うお子さんの睡眠時間
理想の睡眠時間は?
まずは、お子さんの「理想の睡眠時間」を見てみましょう。
幼児期 1~2歳 | 11~14時間 |
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学童前期 3~5歳 | 10~13時間 |
学童期 6~12歳 | 9~11時間 |
(米国立睡眠財団「推奨睡眠時間」による)
別の機関では、以下のように提唱しています。
9歳 | 10時間 |
---|---|
11歳 | 9時間半 |
13歳 | 9時間15分 |
Nerson;Textboox of Pediatrics,16thed.より改変
(出典)成田奈緒子「早起きリズムで脳を育てる 脳・こころ・からだの正三角形」(芽ばえ社)
小学4~6年生のお子さんには、本来10時間程度の睡眠が理想的なようです。
これに対し、日本人の子どもの平均睡眠時間は8時間35分。(H23社会生活基本調査)
「受験生ともなれば、6,7時間を切っているのでは?」とも思えますが、実はそうではありません。
実際の受験生の睡眠時間は?
ある大手受験塾Yの、受験生に向けた調査によると、
平均就寝時刻 | 平均起床時刻 | |
---|---|---|
小学3・4年生 | 21:50 | 6:40 |
小学5・6年生 | 22:00 | 6:50 |
中学年・高学年にかかわらず、受験生はすべて平均8時間50分の睡眠を確保していることが分かりました。
さらに、「0時までに就寝する」と答えたお子さんは、全体の9割以上でした。受験生だからといって、極端に睡眠時間を削る傾向にはないと言えます。
2.睡眠不足でこんなに損をしている受験生
受験生が極端に睡眠時間を削らない理由は、実際に睡眠時間を確保することに、確かな意義があるからです。
睡眠時間が長い生徒の方が、短い生徒よりも成績が良い
小学生を対象としたいくつかの調査で、このような結果が報告されています。
- 主要科目で平均90点以上を得点する生徒の4割以上が、21:00前に就寝している。
- 平均70点未満の成績下位者の中に、21:00前に就寝する生徒はおらず、2割は0時以降の就寝である。
- 9~10時間の睡眠を取っている層の生徒が、最も成績が良い。
睡眠時間を削ってまでの勉強が、必ずしも良い結果に繋がるとは限りません。
むしろ、弊害を生む可能性が大変大きいのです。
具体的に、お子さんに睡眠不足が及ぼす悪影響
たとえば、以下のような事項が報告されています。
- 成長ホルモンの分泌が不十分となり、成長期の発育が阻害される。
- 日中の集中力不足、注意力散漫が生じ、学校生活や授業に支障が生じる。
- 代謝が悪化し、肥満の要因になる。
- 脳内物質であるセロトニンが十分に生成出来ず、精神不安定を招く。
- 肉体・精神的ストレスを解消することが出来ず、疲労感がぬぐえない。
- 興奮状態となり、疲れやすい・緊張状態が解けないなどの症状が出る。
- 免疫が下がり、風邪や病気にかかりやすくなる。
睡眠時間を削って成績が上がるのは一時的に過ぎず、結局はその後下がってしまうことがほとんどです。
むしろ、積極的に質の良い睡眠を取り、集中力・記憶力アップを図りましょう!
ちなみに、わたしのおすすめする睡眠時間は、以下の通りです。
4年生 | 9~10時間 |
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5年生 | 8時間 |
6年生 | 7時間半程度 |
各学年、このくらいの睡眠を取っている状態が、最も勉強の効率を上げ、成績にも良い結果を及ぼしていると感じています。
ただし睡眠には個人差が大きいですから、それぞれのお子さんにベストな睡眠時間を見つけ、しっかり確保してあげてくださいね!
3.睡眠時間は工夫次第で十分とれる
「〇時には絶対就寝」の習慣で効率アップ
「そうは言っても宿題が!」「塾の予習・復習が!」という声が聞こえてきそうですが、実は「〇時には絶対就寝」という習慣が、勉強の効率も上げるのです。
ストップウォッチで時間を計って問題を解かせた時に、お子さんの集中力が増していると感じたことはありませんか?
リミットを設けることにより、多くのお子さんの集中力は格段にアップします。
夜遅くまで机に向かっていると「やった気」にはなりますが、案外中身と結果は伴っていないものです。
就寝時間厳守という心理作戦で効率を上げ、勉強時間を短縮しましょう!
「朝活」
今流行りの「朝活」は、受験生にもおすすめです。
目覚めたばかりのストレスのない脳には、漢字や計算問題などの筋トレ的勉強が最適。このような課題は、ぜひ朝に回しましょう。朝から脳をしっかり使うことで頭は活性化し、一日の勉強にも良い影響を与えます。
逆に、記憶に定着させたい内容は夜眠る前に扱いましょう。眠っている間に脳内で整理が行われますので、短い時間で効率良く覚えることが出来ます。
それでも、睡眠時間が確保できないときは?
課題が終わらない、模試対策が間に合わない、などの理由で、どうしても寝る時間が遅くなってしまうこともありますよね。
そんなときは、「昼寝」を活用しましょう!たった15分眠るだけで、脳内のストレスが解消し、すっきりすることが証明されています。
ただし、それ以上眠ってはいけません。深い睡眠に入ると疲れは倍増してしまうので、昼寝の際には忘れず目覚ましをかけ、きっちり起きましょう!
受験生の皆さんが、それぞれに最適な睡眠スタイルを見つけ、元気に受験勉強に励めるよう、応援しています!