志望校別特訓の使い方
9月は受験生にとって大切な分かれ道がある
2学期がスタートする9月は、受験を目指すお子さんにとっては非常に大切な時期です。なぜなら成績が順調にアップするお子さんと、逆に落ち込んでしまうお子さんとの分かれ目だからです。さらに6年生にとっては、ここから塾の志望校別特訓が本格化します。ここでは、志望校別特訓の上手な使い方をお話ししたいと思います。
SAPIXの場合
それぞれの校舎ごとに、コースが設定されています。人数の少ない教室では、「開成・筑駒コース」など、2つ以上の学校を対象とする「混成コース」になりがちです。したがって、わざわざ家から離れた大規模教室に通うお子さんもいるようです。
6年生における、9月の段階での、同塾の学習の優先順位は、
- 1.SS志望校別特訓(サンデーサピックス)
- 2.デイリーサピックス(平常)
- 3.土曜特訓
となっています。
夏休み以降、6年生のプリントは莫大な数になっていきます。授業で使わないプリントも配布されて、家庭で学習することになります。そして、塾から指定される過去問演習もあります。したがって、SS志望校特別訓練での宿題が大変な場合や、理解が不足して消化不良状態になっている場合は、土曜特訓を取捨選択していくことも視野に入れましょう。
基本を固めるには、算数はデイリーサポートCランクまでを復習すること。国語はBテキストで記述問題を空欄にしない練習。理科、社会は、マンスリーの復習です。
通塾時間と目的を確定してお子さんにあった計画を!
日能研
塾で行われているのは日曜特訓です。大まかには志望校が分かれているものの、「一校専用」が絶対ではなく、学校群ごとの対策の場合もあります。内容については以下の通りです。
- 1.難関校特訓(男女御三家、早稲田など)
- 2.上位校特訓(浅野、芝、渋谷教育学園、鴎友など)
- 3.合格完成特訓(各教室で受験生が多い学校)
1と2は、目安となる受講偏差値がありますが、必ずしも「絶対」ではありません。また、いくつかの学校を対象にしているコースでは、志望校の過去問を十分に演習できるとは限りません。そのような場合は、日曜特訓以外で、過去問に取り組むスケジュールを立てて挑みましょう。まずは、お子さんが受講するコースがどのようなものかを知ることですね。
基本を固めるには、算数は2月以降、半年をさかのぼってカリテ共通問題の取りこぼしの復習、理科、社会はカリテの見直しをしていきましょう。苦手単元の問題練習は「メモリーチェック」や「栄冠への道」で行ってください。
受講コースがある校舎へ通塾
浜学園
男子は、M灘コース(灘、洛南高附属1/男子)、東大寺、西大和)は西宮、M甲陽コース(甲陽、西大和、洛南高附属/男子)は上本町。女子のL洛南コース(洛南高附属中/女子)は京都駅前・上本町など、コースによって実施教室が違います。したがって受講したいコースがある場所へ行かなければなりません。
また復習テスト、公開学力テスト、小6学校別プレ入試など、入試までにたくさんのテストも行われます。さらに通常授業と並行して、最高レベル特訓、女子トップレベル算数などオプション講座も入試直前まで続くので、日曜特訓を含めて、お子さんにあった優先順位をつけてから、スケジュールを組んでいきましょう。
自宅近くに志望校を目指すコースがない場合は、ウエブスクールもあるので検討するといいかと思います。授業、テキスト、テストは塾生が受ける内容と同じで、1科目から受講できるのも魅力ではないかと思います。
課題を絞り最適な合格法を 「まだ」と「もう」の違い
9月の時点では、6年生には入試まであと半年あります。この時点で、入試に向けて気を引き締めて向かえるお子さんと、できないと感じているお子さんでは、当然伸びしろは違います。しかし、ここからグングン伸びていくお子さんは一握りです。実は大半のお子さんは、気が引き締まっていない、あるいはやる気がないのではなく、「今何をすれば効果的か」が見えていないのです。
「まだ半年ある」と考えるのと「もう半年しかない」と考えるのでは、精神的な影響が大きく違ってきます。半年でできることは、少なくありません。やり方によっては、9月からの半年はそれまでの半年よりはるかに濃密な学習ができるものです。そのためには、お子さんとお母さんの不安を取り除くことが大切です。
日曜特訓の前に、今までの成績を振り返り、「何を理解していて」「何が分からなかったか」を整理してください。すると、お子さんが、いちばん集中して何に向かえばよいのかが見えてきます。ほとんどの進学塾では、6年生の8月までで習わなければならないことはすべて習い終えています。
日曜特訓という「演習=アウトプット」と並行して、お子さんに足りないものを「学習=インプット」することで、受験勉強が完成に向かっていきます。
課題を絞り込んで、最適な合格法を見つけましょう。そして、それでも不安でいっぱいのお子さんには「ここまでやれた、あなたは大丈夫」と温かい言葉をかけてください。