中学受験生 3年間の乗り越え方【秋冬編】
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Point1 大手進学塾 4年生の秋~冬の学習カリキュラムはこうなっている
このコラムでは、秋~冬の中学受験生の学習カリキュラムの内容と注意点について解説していきます。
ここでは、一般的な例として、全国の多くの受験生が使うテキスト『予習シリーズ』に沿って授業を進めていく四谷大塚のカリキュラムを紹介します。ぜひご参考にしてみてください。
4年生の9~10月塾カリキュラム
国語は、9月から改めて「説明文」の学習に力を入れていきます。要旨のとり方や要約、接続語の意味と使い方、指示語の解き方など、説明文の基礎を徹底的に学びます。また、入試頻出の「慣用句」を丁寧に覚えていきます。10月は「物語文」になり、物語における人物の性格など人物像の読みとりに重点をおいて進めていきます。
算数は9月から『予習シリーズ下』に入ります。9月は「分数」から始まり、「いろいろな四角形」「整理と分類」「規則性(並びの問題)」と続き、総合回をはさんで、「場合の数」「時間計算」「分配算」を学習します。これらの単元は5年生でも学びますが、細かく丁寧に指導してくれるのは4年生までです。5年生からの授業は発展・応用になりますので、4年生のこの時期に基礎をしっかり身につけておきましょう。
上記の単元の中で子ども達が嫌がるのは、「場合の数」と「時間計算」です。これらの単元で、書くことや調べることを億劫がる子は要注意です。中学受験の算数入試は、頭の中だけで考えてパッと答えが出るものはほとんどありません。一つひとつ数を書き上げ、計算をして、ようやく答えが導けるようなものばかりです。それを面倒くさいと思ってしまう子は、この先の算数でも苦労します。算数とは「考える教科」であることをここでしっかり教えておきましょう。
理科は、9月に「流れる水の働き」「流水と地形」「電気の働き」を学習します。具体的には、川の作用による地形の変化、豆電球と乾電池、回路図などです。10月からは「秋のころ」で、秋の時期に見られる動物、植物、昆虫などを学びます。
電気回路は入試でもよく出るテーマです。電流の流れそのものが目で見えないため、観念的になりやすく、子どもにとっては理解するのは難しいところがあります。並列つなぎ、直列つなぎはわかっても、それが豆電球の場合と乾電池の場合ではどう違いが出てくるか混乱しないように覚える必要があります。
理科を得意にするには、生活の中にある身近なものにどれだけ興味が持てるかどうかがポイントになります。秋の季節の動植物の変化などは、体験をもとに伝えてあげると、知識へとつながっていきます。
社会は、9月から『予習シリーズ下』に入り、引き続き地理分野を学習していきます。9月は「ふるさとじまん」というタイトルで、地方ごとに単元を分けて、各都道府県の特色を詳しく学びます。10月は「日本の気候」と「地形(山・川のはたらき)」、11月からは「米作り」と「畑作」へと入っていきます。
ここでは、まず各地方を構成する都道府県の名前と位置、形をおさえることが大事です。それが、今後の学習のベースになっていきます。地図上のどこにあるかがわからないと、この先の学習はかなり厳しいものになります。何がなんでもここで覚えておきたいところです。
4年生の11月~1月カリキュラム
国語は、「物語文」「意見文」「詩」を学習します。「物語文」では主題を正確に捉えることが、「意見文」では筆者自身の意見を読み解く力と、またその文章を読んで自分が賛成か反対かなどを書く力が求められます。また、文法および敬語も学習します。
冬期講習では、「物語文」と「説明文」を学習します。これまでの学習で何を学んだか、冬休みに入る前にもう一度おさらいをしておきましょう。
算数は、11月以降は「割合」「場合の数」「速さ」といった重要単元を学習します。「割合」と「速さ」は、テキスト改訂前は5年生で学習してきた内容です。それがカリキュラムの変更により、4年生で学習するようになりました。特に「割合」は重要単元です。単に公式を覚えるというのではなく、なぜそうなるのかを理解しておくことが大切です。文章題では線分図による解法が有効ですので、線分図が描けるように練習してきましょう。そして、常にもとにする量(割合が1となる量)が何かを確認するようにしましょう。受験算数では、この「割合」がきちんとマスターできるかどうかがポイントになります。「割合」は今後学習する「比」にもつながる重要な単元です。
理科は「星と月」「太陽の動き」「磁石」を学習します。「磁石」では、豆電球と回路図の書き方といった入試で重要な事柄の入口となっています。現象から類推される結果を整理する、情報を読みとる力が求められます。こうした力は他の単元でも応用できます。
社会は、11~12月は「農業」について学習します。「米作り」「野菜作り」「畜産」の単元に分かれ、それぞれの作業工程や有名な産地について、細かく覚えていくことが必要です。冬期講習では、直前に学んだ農業を中心に、これまで学んで来た地理分野の問題演習を行います。1月には「現在の農業の問題点」と「林業」について学び、4年生の学習が終了します。
「農業」の学習でポイントとなるのは、作物と産地の組み合わせを覚えることです。特に野菜と果物に関しては、生産高が1番多い都道府県だけではなく、2番目、3番目に多いところまでは覚えておきたいものです。
いかがでしょうか?
3年生の2月から始まった受験勉強は、たった1年でこれだけ多くのことを学んでいきます。4年生というと、受験までまだ先と思ってしまいがちですが、実は入試によく出る単元の基礎は、ほとんどこの4年生のときに学んでいるのです。そして、この基礎が曖昧のままだと、この先5年生、6年生になったとき、とても苦労することになるということをしっかり頭に入れ、「今何をすべきか」を意識しながら学習していきましょう。
Point2 大手進学塾 5年生の秋~冬の学習カリキュラムはこうなっている
次に、5年生の秋~冬の学習カリキュラムを紹介します。
5年生の9月~10月カリキュラム
国語は、9月から『予習シリーズ下』に入り、難易度がグッと上がります。事物の事実関係を説明する「説明文」から、具体と抽象を行き来しながら著者の主張を読みとる「論説文読解」へとレベルアップしていきます。また、物語文もこれまで以上に登場人物の心情を細かく目配りしながら読みとる「小説読解」に入ります。知識分野では、文の組み立ての基礎知識と、品詞の特徴理解および識別の文法問題に入りますが、量的にはかなり膨大です。内容も読解以上に難易度が高くなります。
算数は『予習シリーズ下』からは「速さの表し方」で基礎を学び、「計算の順序」で計算の工夫を改めて実践します。その後は、「売買損益」「図形の回転移動」「差の集まり」「数列」「ダイヤグラム」と難しい単元が続きます。これらをすべて完璧な状態に持っていくのは、よほどできる子でない限り大変だと思います。教室の先生によっては、優先順位をつけてくれる場合もあるでしょう。その場合はその指示に従って取捨選択をしながら進めていきましょう。
理科は、9月から「動物と人の体(骨格・消化・血液循環)」「豆電球の回路」「地球と太陽(地温・気温・太陽の動き)「気体の性質」を学びます。「動物と人の体」と「気体の性質」は覚えることが多く苦労することでしょう。何を優先的に覚えるのか順番をつけて、核となる知識を先につけて、そこに枝葉をつけていくように覚えるのがポイントです。また、覚える際には理由をつけて覚えておくと、後々まで忘れません。
社会は、9月から歴史分野に入ります。歴史の始まりである「旧石器時代」から「縄文時代」「弥生時代」「古墳時代」「飛鳥時代」「奈良時代」「平安時代」「鎌倉時代」「室町時代」「安土・桃山(戦国)時代」「江戸時代」、そして「明治時代」の前期までを11月までに学んでいきます。これだけの時代をたった2カ月で学習していくわけですから、かなりテンポの速い授業になります。1回の授業で、その時代に起こった出来事と、その流れを中心に活躍した人物や広まった文化、人々の暮らしなどさまざまなことを覚えていかなければなりません。
学習のポイントとしては、まず歴史の導入で、各時代の出来事の流れや主要な人物、時代背景を把握することが大切です。それぞれの時代のポイントとなるものをキャッチし、それから細かい部分を覚えていくようにしましょう。
5年生の11月~1月カリキュラム
国語は、「短歌」「俳句」「詩」の韻文分野の学習が行われます。韻文分野で大事なのは季語です。季語は旧暦で考えるため、現在の暦とのずれがあります。その部分をしっかりおさえておくことが大事です。季語は量としては辞典一冊できるほどありますので、すべてを覚えるのは不可能です。ただ、入試に出やすいものというのがありますので、『予習シリーズ』に載っている季語はしっかり覚えておきましょう。
算数は、11月後半から「比と比の性質」「図形上の点の移動」を学習していきます。「比」は相当算、分配算、連比、逆比、倍数算の順に、「点の移動」は多角形上の移動、円周上の異動の順に進みます。その後、「合同と相似」「年齢に関する問題」と続き、冬期講習ではこれまでの復習を行います。1月からは「線対称・点対称」「図形の折り返し」「比例式とその利用」「正比例と反比例」「時計に関する問題」「数に関する問題」「角錐と円錐」と進んでいきます。
この時期に最もつまずきやすい単元は、「相似」「図形の折り返し」です。「相似」は問題で与えられた図形に含まれる線分が多くなると、問われている辺の比を求めるのに効果的な相似の組み合わせを見つけることができなくなりがちです。問われている辺を含む三角形の組み合わせを考えることがポイントになります。また、「図形の折り返し」では、同じ長さや同じ角度を探そうという意識がないまま問題に取り組んでしまう子がいます。同じ長さや同じ角度を探し出し、二等辺三角形を見つけることが解くためのポイントとなります。
理科は、「地層」「電流と回路」「てことばね」「水溶液」「天体」と入試にとって重要な単元が目白押しです。この先、入試レベルの問題に対応していくには、ここで基礎をしっかり固めることが大事です。
「電流と回路」では、まず回路図をきちんと書けるようにしましょう。「てことばね」は、組み合わせの問題をたくさん解いて、知識を定着させましょう。6年生になると、さらに「滑車」と「浮力」がこれらに加わります。複雑な図が出てきても慌てずに丁寧に処理をしましょう。「水溶液」は表やグラフの意味をしっかりつかむことです。「天体」は「地球(北半球の日本)から見る」が基本です。まずは各単元の基本をしっかりおさえましょう。
社会は11月以降も歴史分野の学習が続きます。「江戸時代」から「昭和時代」まで進み、1月で一旦終了します。2月からは公民分野に入っていくので、春期講習で復習を終えると、次に歴史分野に触れるのが6年生の夏と先になります。その時期になると、他の教科の勉強もハードになってくるので、ここでしっかり学習をしておきましょう。
歴史を学ぶにあたり、入試問題に対応できる力をつけるために大切なことは、「時代の流れ」を把握することです。各時代のストーリーが理解できていると、バラバラになりがちな知識をつなげることができ、ひとつの言葉からさまざまなことを関連づけられるようになります。
さて、ここまで5年生の秋から冬の学習カリキュラムについて説明をしてきました。こうして見ていくとおわかりのように、中学受験に必要な単元のほとんどは、5年生のうちに学習し終えることになります。そして、いよいよ6年生の春を迎えます。
Point3 大手進学塾 6年生の秋~入試直前までの学習カリキュラムはこうなっている
最後に、受験本番を迎える6年生の秋から入試直前までの学習カリキュラムを紹介します。ここでは、四谷大塚のカリキュラムを紹介しますが、受験本番までの半年間は、各塾によって内容が異なります。お子さんが通われている塾のカリキュラムの内容とその学習ポイントについて知りたい方は、こちらをご覧ください。
6年生の9~10月カリキュラム
国語の9月以降の『予習シリーズ下』は、入試頻出の文章テーマをおさらいしつつ、記号問題や記述問題の解き方を点検する内容になっています。9月から始まる志望校別コースでは、各校の出題傾向を踏まえた演習をくり返すことと過去問演習で、受験する中学校に対応した実践力を養っていきます。
志望校別コースが始まると、実際の過去問を扱った演習の時間は増えるものの、併願校のことなども考えると、どうしても演習量不足になりがちです。これが結局、文章を読むスピードを奪ってしまうので、どのように補うか考えて学習を進めましょう。志望校、併願校の出題傾向をよく吟味して、学習プランを立てていきましょう。特に併願校対策については、家庭の力が試されますので、1月校を含めた事前の設計を9月までに進めておきたいところです。
算数は、9月から総仕上げの段階に入ります。入試頻出の「速さ」「割合」「規則性」「平面図形」「立体図形」などで、苦手分野がある子は、ここでもう一度しっかり学習をしましょう。文章題でつまずく場合は「図」を書く、図形でつまずく場合は「補助線」を引くなど、これまで学んできたことを面倒くさがらずにやることで、改善できるはずです。
理科の『予習シリーズ下』は、小4上から小6上までの総復習です。生物(動物の体と生活)から始まり、地学(地球と宇宙、気象)、化学(気体と水溶液)、物理(燃焼)と各分野を一通り復習します。
暗記系の内容を学習する場合、この時期になったら、効率よく覚えましょう。語呂合わせなどでも構いませんから、とにかく覚えることです。
9月後半から11月にかけての社会は、「知識の定着・補充」と「問題演習」の2本立てで進みます。「知識の定着・補充」は、『四科のまとめ』を軸に進めていきます。「問題演習」に関しては、その問題の性格と解く目的を意識して取り組みましょう。問題の性格というのは、「満点をとるべき問題なのか、7割でよい問題なのか」「今年の受験生として解けなくてもよい時事問題は含まれているか」といったことです。解く目的は、「弱点分野の発見」です。解けなかった問題を解けるようにするには、『四科のまとめ』のどのページを再度確認すればよいのかという視点で、弱点補強を進めていくのが効率的です。
6年生の11月~1月カリキュラム
国語は、読解の総まとめを行います。『予習シリーズ下』では、論説文・物語文・随筆・詩・短歌・俳句それぞれについて、単元冒頭に基本的な解法と考え方の道筋が図解入りで整理されているので、自分の解法をチェックし、不十分なところは最終修正をしていきましょう。
6年生の11月から入試本番までの時期は、新しいことを身につけるのではなく、今知っている方法、使っている考え方の精度を上げていく時期です。問題数をこなすより、解いた問題の振り返りを丁寧に行うことをおすすめします。具体的には、間違った問題の解説を読んで納得できるか、本文のどこを読めばよかったのか、次にどうすれば最初から正解できるのかなどを考えることです。
算数もこれまで学んできた内容の総復習になります。「変化をとらえる問題」「場合に分けて解く問題」「入試直前総合演習」で、『予習シリーズ下』を終了します。冬期講習・正月特訓を経ながら、入試総合問題を完成させていきます。
これまで『予習シリーズ』で学習してきた成果を、志望校の過去問演習をメインに完成させていく時期です。過去問は第3志望の学校まで10年分を3回解くことをひとつの目安に取り組みましょう。そして、設問数、出題傾向を体感しておくのです。そうすれば、本番でも慌てることはありません。
理科は、入試頻出の物理分野の総復習をします。「てこ」「滑車」「輪軸」「浮力」などの物理分野が苦手な子は多くいます。最初の「てこ」を疎かにしていたり、苦手意識を持ったままにしていたりすると、「滑車」や「浮力」を組み合わせた装置が出たりすると、太刀打ちできなくなります。物理分野の組み合わせた装置についてはよく出題されますが、ひとつずつ基本の解き方で絡んだ紐を解いていくようにすれば問題ありません。基本をもう一度振り返りましょう。
社会は、『予習シリーズ』の学習と、『四科のまとめ』の演習と、過去問演習の3本立てで進みます。『予習シリーズ』は、「自然」「歴史」「地域」など、大きなくくりで重要事項の振り返りをします。原則として復習中心のカリキュラムになりますが、冬休み中の授業は、「時事問題」にも時間を割きます。実際に受験する中学では、毎年時事問題をどれくらい出しているのか、早めにチェックをしておきましょう。
この時期は、「しなければならないこと」が多いので、どうしても「こなすこと」が優先の学習になりがちです。しかし、2月の勝敗を分けるのは、この先、目の前の作業が「本当に自分の受験に活きるのか」という意識をもって勉強できたかどうかです。塾で学んだことを丁寧に一通り振り返っている時間はありません。志望校の過去問を見ながら、頻出している内容を重点的に復習し、得点に結びつく勉強をしていきましょう。
さて、ここまで4年生~6年生の秋から冬の学習カリキュラムについて解説してきました。次からはさらに内容を掘り下げ、この時期の学習ポイントやつまずきなど、意識して取り組んでほしいことをお伝えします。
Point4 6年生 夏休み明けから秋にかけてやるべきこと
夏休み明けのテストの「重み」が違うわけ
受験生にとって、6年生の夏休みは”中学受験の天王山”。これまで一生懸命勉強してきた子はもちろん、なんとなくここまで来てしまった子も、さすがにこの時期は朝から晩まで勉強をしてきたことでしょう。その成果を見るのが、8月末または9月の初めに実施される組分けテストです。組分けテストは今までも何度も受けてきたと思いますが、6年生のこの時期の組分けテストは、これまでのテストとはその重みが違います。なぜなら、その後の志望校別コースの受講資格にも大きく影響するからです。また、9月末には合否判定テストもあり、この夏の頑張りを試すときがやって来ます。
ところが、夏休み中にあんなにたくさん勉強をしてきたにもかかわらず、夏休み明けのテストで成績が上がる子は全体の約4割で、半分近くの子は成績が下がってしまうのです。
それはなぜでしょう?
理由は3つ考えられます。
- ①夏の暑さと勉強量により、体力を消耗した
- ②頑張り方を間違えてしまった
- ③塾の宿題が多すぎて、アタフタ勉強になってしまった
いかがでしょうか? あなたのお子さんはこの中のどれかに当てはまりませんか?
テストは”水もの”なので、どんなに万全に準備をしていても、その日の体調がすぐれなかったり、問題を読み違えてしまったりなどの理由で、思うような結果が出せない場合があります。それは、どんな優秀な子でも同じです。ですから1回のテスト結果で落ち込む必要はありません。でも、もし、8月、9月と続けて成績が下がってしまったら要注意です。
上記の中で、最も陥りやすいのが、”アタフタ勉強”です。6年生の夏休みは宿題が多く、またこの時期を利用して苦手分野の克服もしていかなければなりません。前の章で紹介したように、夏休み前の6月からきちんと計画を立てて勉強ができれば理想的ですが、どんなご家庭でも現実は思うようにはいかないものです。
でも、今やらなければいつやる? そうやって気持ちだけが焦ってしまうのです。そして、結局、あれもこれもと手を付け過ぎて、”アタフタ勉強”になってしまう・・・。時間に追われて気持ちが焦ると、問題文を最後までじっくり読むことができなくなってしまいます。じっくり読まないから、普段なら解ける問題も読み間違え、ミスが出てしまうのです。
そうならないためには、問題を鉛筆や指でなぞりながら読む習慣をつけるといいでしょう。とにかく落ち着いて問題を読む。それだけで大きく違ってきます。
理科や社会など暗記が必要な教科は、ただひたすら覚えても、時間が経つと忘れてしまいがちです。一度学んだことを忘れないようにするためには、覚え方にも工夫が必要です。例えばひとつの地方について覚えるときは、地理・歴史と分野を分けて覚えるよりも、「この地方についてはこの引き出しに」といったように、頭の中にある断片的な記憶をまとめ直し、知識を整理しておくと忘れにくくなります。
とはいえ、一度下がってしまった成績を上げていくのは、それほど容易なことではありません。なぜなら、この時期になると、周りの子もみんな頑張り出すからです。
でも、あきらめるのはまだ早いですよ!
各塾では、9月~12月までの毎月1回(計4回)、合否判定テストが実施されます。合否判定テストは、現在の学力で志望校に合格することができるか否かを判断するもので、入試までに何を克服すればよいのかを知る判断材料にもなります。
ここで気になってくるのが、”合格可能圏のパーセンテージ”でしょう。もし、あなたのお子さんが志望校の合格可能圏が30%だったら、どんな印象を受けますか? 絶対合格が100%なら30%という数字は、おそらく絶望的に感じることでしょう。
実際、多くの親御さんがこの数字を見て、「やっぱりウチの子にはムリね・・・」とあきらめてしまいます。または、なんとかしなければと子どもに渇を入れ、今以上に学習量を増やしてしまう親御さんがいます。
あきらめるのは早い?
でも、それはどちらも望ましい対応ではありません。
実は、中学受験では最初から合格ラインにいる子はごくわずかにしか過ぎません。ほとんどの子が合格可能圏30~70%のところにいます。この可能圏30~70%の子達がチャレンジをして、最終的な合否が決まるのが中学受験。ですから、可能圏30%は「学力の伸び途中」だと捉えて、挑戦していいのです。もし、国語と算数で10点ずつ、理科と社会で5点ずつ、計30点が取れたらどうでしょう? それだけで80%ラインに届いてしまうのです。
中学受験は、わずか12歳の子どもが挑む受験です。どんなに優秀な子でも、当日の体調やメンタルで思うように力を発揮できない場合があります。つまり、誰一人絶対に合格できるという保証はないのです。逆に言うと、どんな子にもチャンスがあるということです。
けれども、可能圏20%になってしまうと、話は違ってきます。なぜなら、可能圏20%の中には、「それ以下」もすべて含まれているからです。つまり、現状は合格にはほど遠いことを意味します。
でも、秋の段階ではまだあきらめる必要はありません。きちんと対策をとれば、お子さんの成績は必ず上がります。
対策としては、合否判定テストでは、基本問題は確実に点を取れるようにしましょう。テストの結果から、どの単元のどの項目が苦手かを見極め、苦手の克服を急ぎましょう。また、「もう少しで得点できる」というレベルの問題に焦点を絞って学習を強化していきましょう。今まったく手に負えないような難問は、ひとまず置いておき、1点でも多くの点が取れるようにすることが先決です。
夏休み明けから9月にかけて、優先的に取り組むべき学習は、苦手分野の克服です。苦手分野の克服は、11月までを目安とします。苦手分野の学習は子どもにとってはつらく、またそれに時間をかけるぶん、一時的に成績が下がることもあります。でも、ここはグッと我慢です。ここで、しっかり学習しておくことで、10月以降の成績が変わってくると信じて頑張りましょう。
夏休み明けから本番までのもっていき方としては、9月で一時成績が下がっても、10月を境に上昇させていければ問題はありません。秋は夏の疲れや運動会などで体調を崩しやすく、また苦手分野に取り組む期間であるため、一時的に成績が下がってしまう子は多くいます。でも、そこでたっぷり充電をして、10月を境にパワーアップできれば、入試直前まで伸びていく可能性があります。
合否判定テストは12月が最終となり、そこから本番までの1カ月半は何もジャッジするものがありません。判断材料がないというのは不安ですが、でもそこであきらめずに頑張れば、逆転合格のチャンスはあります。実際、9~12月に実施される4回の合否判定テストのうち3回は見込みなしでも、最後の1回でグッと成績が上がって本番で合格する子はたくさんいます。
夏休み明けから本番までの半年間、走り続けるのは危険です。途中で息切れしてしまわないように、9月は少しペースを落として体調を整え、10月から徐々にペースを上げていく。この”合格への曲線”を頭の中でイメージできれば、多くの子がスランプに陥りやすい9月も焦らず、自分のペースで学習を進めていくことができます。そして、その時期にじっくり取り組んできた苦手分野が、10月以降のテストの得点へとつながっていくことでしょう。
Point5 4年生 つまずいている子は授業の聞き方に要注意!
3年生の2月からスタートした受験勉強も半年が経ち、4年生も夏休み明けからは重要単元の学習が続きます。受験本番まではまだ先ですが、この時期に習う単元は、5年生で習う単元の基礎となるので、しっかりと吸収しておきたいところです。
4年生でのつまずきは、勉強のしかたが原因
4年生の授業に内容は、比較的まだ易しく、大きく落ちこぼれるということはありません。しかし、夏休み明けの秋以降から、徐々に成績の開きが生じてきます。
それはなぜでしょう?
4年生の段階で勉強につまずいている子は、勉強のやり方を間違っている子がほとんどです。ですから、勉強のやり方を変えれば、伸びる可能性は十分にあります。例えば、算数なら「計算力を鍛える」「国語なら言葉の学習を習慣づける」「理科・社会は暗記に頼らず、つながりで覚える」など、ほんの少し勉強のやり方を見直すだけで、効果が出るものです。
ただし、それはこの時期だから言えること。今のやり方を見直さず、このままのやり方で5年生、6年生と学年が上がってしまったら、それが習慣づいてしまい、途中でやり方を変えるのは難しくなります。
また、授業の受け方を間違えている場合もあります。
塾の授業の受け方を間違えている子というのは、黒板を写すことばかりに意識が向いている子です。授業中、先生が黒板に書いたことを一生懸命写していて、先生の大事な話を聞き逃してしまっているのです。また、女の子に多いのが、ノートをキレイに書きすぎる子。いろいろなカラーペンを使って、自分なりにまとめているのかもしれませんが、授業中は「書く」ことよりも「聞く」ことが優先です。授業の内容はテキストにも書いてあるから、復習や宿題は家に帰ってからやればいいと思っているかもしれませんが、授業のポイントを聞き逃しているので、いざ自分で解こうと思っても解けないことの方が多いもの。そのため、家庭学習に時間がかかり、やるべきことが終わらないまま、次の授業を迎えることになってしまうのです。
そうならないためには、その日に習う単元の基本は、塾の授業中に「理解し、記憶できるまで」にしておくこと。それには、授業を受ける前に、今日習う単元は何かを知っておくことです。とはいえ、しっかり予習をする必要はありません。今日習うページをさらりと見ておく程度でいいでしょう。でも例えば、社会や理科などで、「この図は授業で先生が描きそうだな」と思うところがあれば、あらかじめテキストをコピーしておいたり、自分で書いておいたりしておくと、板書を写すのに時間と取られず、先生の説明をしっかり聞くことができます。
そして、なんとなく頭に入ったところで、授業に臨みます。授業では先生の解説を集中して聞きましょう。それを聞いて、「ああ、なるほど」と納得できれば、「理解し、記憶できる」状態になったと言えます。大事なのは、まっさらな状態で授業を受けないことです。
ただし、授業が分からない子には2パターンあり、授業の受け方を修正すれば克服できる子と、そうでない子がいます。
授業の受け方を修正しても、勉強が分からないという子は、初めから知識不足で、先生が何を話しているのかが分からない子、つまり塾とのレベルが合っていない子です。
その場合は、早めに転塾を検討することをおすすめします。よくあるケースは、SAPIXの授業についていけない子です。SAPIXは、中学受験の最難関校といわれる男女御三家への合格者を多く出す塾です。そのため、授業のカリキュラムも成績上位の子に焦点を当てて進めていきます。それはどの塾でも同じなのですが、それが最も顕著に表れているのがSAPIXです。ですから、「何がなんでも御三家に入れたい」というわけでなく、近場の私立中学に入れたいと思っているのであれば、この塾にこだわる必要はありません。むしろ、ここで受験勉強を続けていくことが、お子さんにとって悪影響を及ぼすこともあります。
中学受験は長い人生の中の一部に過ぎません。お子さんのレベルと合っていない塾で、無理やり勉強をやらせても、それは意味のないことです。この時期に大切なのは、”勉強はつらいもの”と思わせることではなく、”勉強は楽しいもの”と教えてあげることではないでしょうか。
よく親御さんは「本人のやる気次第で、どうにかなる」と思い込んでいますが、気持ちの問題はさておき、学習能力があるかどうかの判断こそ、冷静に下してほしいと思います。
Point6 5年生 中学受験を「あきらめる」という選択
一般的に中学受験の勉強は小学3年生の2月から始まり、そこから6年生の本番まで3年間必要とされています。第4章と第5章のはじめに、4年生から6年生までの3年間の学習カリキュラムを紹介しました。それを見て、親御さんはどう感じたでしょうか?
中学受験の勉強も半分を終えた5年生の秋。6年生の本番まではまだ先ですが、毎回の授業では入試に直結する重要単元の学習が続きます。
中学受験、山場は5年生の秋〜冬
実は、中学受験で一番しんどいのは、この5年生の秋から冬の時期。この時期は、重要単元が続く上、学習量が膨大になり、こなすだけで精一杯になってしまいがちです。しかし、難関校を目指すのであれば、6年生から始まる志望校特訓の受講資格を何としてでも取らなければなりません。それには、5年生の段階でとにかくクラスを上げていくことが必須となります。
しかし、実際は思うように成績が上がらない子が多くいます。そんな中、5年生の半ばになると、中学受験そのものをあきらめようか、どうしようかという相談を受けることが増えてきます。結論から言うと、5年生の半ばまで頑張ってきたのなら、志望校、併願校のレベルを下げることを視野に入れながら、最後まで挑戦を続けることが望ましいと思います。最初に望んでいたほどの高いレベルに到達できなくても、最後まで中学受験をやり切ったという経験は、必ず将来力になるからです。
ただ、「私立に受かればどこでもいい」という考えなら、本末転倒です。どこかに入学できたとしても、入学した途端、まったく勉強をせず、学ぶ意力すらなくなってしまう子もいるからです。
また、このまま受験勉強を続けていくことで、お子さんの精神状態が不安定になるようでしたら、それはお子さんからのSOS信号だと思ってください。その場合は、中学受験を「あきらめる」という選択をしてもいいと思います。
しかし、子どもの精神状態、モチベーション、学力、親の精神的・時間的・金銭的余裕などの理由から、「やはり中学受験はやめよう」と判断した場合でも、いきなり「今日から勉強しなくていいよ」というやめ方はさせないでください。また、「そんなにやる気がないなら、受験なんてやめちゃいなさい!」「こんな成績ならもう塾なんて行かなくていい! これまで塾にいくら払って来たと思っているの!」と、親が逆ギレしてやめさせてしまうようなことは、絶対に避けてください。
今、この時期にお子さんが受験をやめたいと思っているなら、それはそれまで相当つらかったのだと思います。子どもは親の期待に添いたいと思って、一生懸命頑張ります。小学生であればなおさらです。ですから、あなたのお子さんもお子さんなりに頑張ったのだと思います。それでも、うまくいかなかった・・・。
塾通いも受験も途中でやめてしまうと、多くの子どもはその後、勉強に対するモチベーションが下がってしまいます。実際、公立中に通っても、成績が伸び悩んでしまう子が多くいます。
中学受験の勉強で、勉強そのものがイヤになり、「二度と勉強なんてしたくない」と思ってしまったり、塾で中途半端に覚えた「暗記学習」「パターン学習」が身に付いてしまい、そこそこにやればいいと思い込んでしまったり・・・。
一度始めた中学受験を断念するのであれば、やめ方には十分な注意が必要です。「もう何もしなくていいよ」「これまでのことはなかったことにしなさい」ではなく、「今はまだ○○にはちょっと時期が早いようだから、1年半後の受験はやめておこうか」「3年延ばして高校受験の準備を今からゆっくり始めるつもりになればいいよ」など話してあげて、高校受験に向けた発展的な方針に変えてあげましょう。
中学受験をあきらめることで、お子さんが無駄な挫折感を感じたり、逆に「もう何もしなくていいんだ!」と勘違いしたりしないように、言葉がけには十分に気をつけてほしいと思います。
一方、基礎的学力がいまひとつしっかりしていないようなら、「勉強をやめる」ではなく「質を変える」ことで、立て直すことは十分に可能な時期です。例えば大手進学塾から質の高い個人塾に転塾し、基礎をじっくりやり直し、大手受験塾の授業レベルについていけるまで伸ばしてもらうというのもひとつの選択です。また、大手進学塾に通いつつ、中学受験専門の個別指導塾を併用し、その子にとっての苦手を集中的に学び直すこともおすすめします。
Point7 6年生 志望校特訓のかしこい使い方
6年生の9月から、いよいよ「志望校別特訓」がスタートします。大手進学塾には、通常の「学習カリキュラム」のほかに、受験校別に分かれた「志望校別特訓」という6年生対象の講座があります。そして、この「志望校別特訓」を受講できることこそが、大手進学塾に通う最大のメリットだといえます。
志望校別特訓は資格制であることが多い
多くの塾では、「志望校特訓」は、ある一定以上の成績をとった生徒だけが受講できるシステムになっています。この受講資格の判定は、1学期の終わり頃か8月中に実施されるテストの成績で決まります。SAPIXなど、資格制ではない塾でも、「志望校別特訓」を受講できる1組に入れるかどうかは成績次第です。
つまり、ある一定以上の成績をとっていなければ、「志望校別特訓」を受講できず、志望校の入試対策をとることができなくなってしまうということです。これは、受験生にとって非常に不利な状況です。
もちろん、「志望校別特訓」を受講したからといって、絶対にその学校に入れるという保証はありません。しかし、「志望校別特訓」を受講できなかった場合、合格の可能性はかなり低くなることを知っておいて欲しいと思います。
その理由のひとつは、志望校別コースの定員です。例年その塾から合格している人数の2~3倍が志望校別コースの定員になります。多くの難関校の受験倍率も2~3倍ですから、志望校別コースに入る資格を得たということは、例年の受験者レベルに達していることを示しています。したがって、その資格が得られなかった場合、残念ながら現時点の学力では、例年の受験者レベルに達していないということになります。それなら今から猛勉強すればいいじゃないか!と思う方もいるかもしれません。しかし、今の学力から5カ月間で合格ラインまで上げていくのは、容易なことではありません。
もうひとつの理由は、その充実した中身です。というのも、「志望校別特訓」は、各塾が最も教務力においてしのぎを削っている場だからです。問題傾向の分析をはじめ、授業で扱う問題の選択や解説内容の検討、家庭学習の課題の吟味、そして出題予想に至るまで、徹底的に考え抜かれた合格のためのカリキュラムになっているのです。
他のコラムでも説明しましたが、大手進学塾にとって最も大切なことは、「何人の生徒を難関校へ合格させたか」という実績です。極端な話、偏差値50レベルの中学に100人の生徒を合格させるよりも、偏差値70以上の難関校へ1人の生徒を合格させる方が、塾にとっては重要なのです。ですから、「志望校別特訓」は、その塾のエース級の講師が投入されます。
いかがでしょうか? これを受講しない手はないですよね。つまり、大手進学塾に通う最大の目的は、この「志望校別特訓」を受講することにあるのです。
ところで、ひとくちに「志望校別特訓」といっても、首都圏と関西ではその進め方が違うことはご存じでしょうか?
一般的に首都圏の大手進学塾では、平日に通常授業を行い、「志望校別特訓」は週末に開催されます。対象となる学校の数は、塾によって異なりますが、おもしろいことにどの塾においても、6年生の9月に「志望校別特訓」が始まる前までは、志望校別の対策は一切行われないことは共通しています。「志望校別特訓」で初めて、対象校の出題傾向に沿った指導が行われるというわけです。
関西の塾の志望校別特訓
一方、関西の大手進学塾では、灘・東大寺・洛南といった最難関中学校を対象にした「志望校別特訓」が、早い場合には小学1年生の平日授業に設定されています。それらの講座には志望校の名前ではなく、「最高レベル特訓」や「選抜特訓」などといった名称がついています。これらの講座は、名称や受講資格の変更などを行いながら入試まで継続的に開催されることになりますが、5年生の2月からは「志望校別特訓」として、各志望校の出題傾向を意識した授業内容になっていきます。そして、6年生の7月以降は、より実践的な志望校別対策授業が実施されます。
このように、同じ「志望校別特訓」でも、首都圏と関西では大きな違いがあります。特に首都圏の場合、志望校別の対策期間が短いぶん、「SS志望校別講座」(SAPIX)や「NN特訓」(早稲田アカデミー)などの「志望校別特訓」を受講できるかどうかが、合否に大きく影響します。ですから、大手進学塾に通わせるのなら、この講座を受講する資格を得ることを目標にして、お子さんの受験勉強のスケジュールを立ていくことが大事なのです。
Point8 併願校を決めるのは、6年生の9~12月初旬
6年生の9月になると、各塾では毎月1回、志望校の合否を判定する合否判定テストが実施されます。合否判定テストは9月~12月に合計4回実施され、その結果をもとに第一志望校を受験するか否か、併願校をどこにするかなどを決めていくことになります。
併願校の過去問にどう取り組むか
併願校の過去問に取り組むタイミングは、10月からというのが理想です。併願校というと、万が一の”おさえ校”、または”滑り止め”という位置付けになりますが、だからといって過去問を解かなくてもいいというわけではありません。第二志望校なら過去5年分、第三志望校・第四志望校でも過去3年分は解いておきたいものです。そう考えると、9月~10月には決めておいたほうが、スムーズに取りかかることができます。
また、女子校を受験する際には、学校から成績や欠席履歴などが書かれた「調査書」が必要になることがあります。小学校では冬休み中に先生がそれを作成するので、どんなに遅くても12月初旬には決めておきたいものです。
では、併願校はどのように決めていけばよいのでしょうか?
ポイントは3つあります。
- ①その学校の雰囲気はお子さんに合っているか
- ②その学校の入試問題が、第一志望校の入試問題と傾向が似ているかどうか
- ③受験スケジュールに無理がないか
受験生にとって、併願校は万が一のときの”おさえ校”という感覚でしょう。しかし、現実は、中学受験で第一志望校に行ける子というのは、全体の約3分の1に過ぎず、残りの多くは第二志望校、第三志望校へ通うことになるということをご存じでしょうか? 内申点である程度の受験校が決まってしまう高校受験と違って、中学受験はある意味どこの学校でも受験することはできます。小学生なので、まだ未知数なところもあり、親としては希望を大きく持ってしまいがちです。けれども、所詮12歳の子どもです。これまで成績が安定していた子でも、入試当日の雰囲気に圧倒されてしまい、十分な力を出し切れない子は大勢います。つまり、どんな子でも第一志望に絶対受かるという保証はないのです。
ですから、併願校を選ぶときは、「もしかすると、うちの子がこの学校に通うことになるかもしれない」ということを念頭に置き、学校説明会や文化祭など最低でも2回は訪れるようにしましょう。そして、その学校がお子さんに合っているかどうかを見極めるのです。
しかし、本当にしっかり見極めるのであれば、学校説明会や文化祭などの特別な日よりも、普段の学校の様子を見たほうがいいでしょう。例えば、登下校の列に交じって、その学校の生徒がどんな服装でどんな会話をしているのか聞いてみるといいでしょう。そのとき、違和感を覚えたら、もしかするとあなたのお子さんには合わない学校かもしれません。もちろん、本人の希望は第一優先ですが、わが子をよく知る親御さんが感じたことというのは、あながち間違ってはいないものです。親子で感じたことを伝え合い、しっかり話し合ってから決めるといいでしょう。
偏差値だけで併願校を決めてはいけない
よく併願校を偏差値だけで決める家庭がありますが、それは絶対におすすめしません。校風もよく知らずに受験をし、入ってから「こんなはずじゃなかった・・・」とつらい思いをするのはお子さんです。例えば、男子難関校(偏差値65以上)を第一志望とする子の併願校として、巣鴨・本郷・芝の3校が挙げられます。3校はともに偏差値55~60の男子進学校ですが、巣鴨はスパルタ型、芝はのんびり型、本郷はその中間といったように、その校風は違います。のんびりタイプの子が、巣鴨に入ったら、それこそ大変です。入学後のギャップに苦しまないように、納得のいく併願校選びをしましょう。
併願校として、気になる学校がいくつか挙がったら、その学校の入試問題を見てみましょう。ひとくちに中学受験といっても、各校の入試問題の中身はさまざまです。選択問題が多い学校、記述問題が多い学校、問題の数が多くスピードを求める学校、教科横断型の問題を出す学校など、その中身が異なれば対策も違ってきます。
中学受験の入試範囲は膨大です。一般的に中学受験では、第一志望校から、第二志望・第三志望の”おさえ校”、本番前の1月に受験する”お試し校”まで、1人あたり平均約5校を受験します。もしその5校の入試問題の傾向がまったく違っていたら、それぞれに対策を取らなければならず、勉強量をさらに増やすことになります。
また、入試問題の傾向が違うと、頭の使い方も違ってくるので、その切り替えにも苦労することになります。ですから、併願校を選ぶときは、第一志望校と入試問題の傾向が同じ学校を選ぶようにしましょう。
このときに気をつけたいのが、「入試傾向が同じ学校なら校風も同じである」と勘違いしないことです。併願校の選び方として望ましいのは、まずその学校に行ってみて、「通いたい」と思うかどうかです。そして、その後に第一志望校と入試問題の傾向が似ているかを確認します。この順番を間違えてはいけません。
そして、最後にチェックしなければいけないのは、受験日です。
学校も気に入った。入試問題の傾向も同じ。ところが、その受験日が第一志望校の二次試験日と重なってしまっている!
そんな場合は、その学校の2回目、3回目の試験日程を調べてみましょう。首都圏では御三家以外の学校は、試験を複数回実施しています。
ほとんどの学校の入試日程は、サンデーショックに当たる年以外は、毎年同じです。特に1回目の試験は、よほどのことがない限り変わりません。2回目、3回目の試験や午後の試験日程はその年にとって変わることもありますが、毎年夏休み前には発表されるので、早めに受験スケジュールを確認しておきましょう。
午前中に1つの学校を受けて、午後に別の学校を受けることが可能な場合もあります。上手に予定を組めば、受験校を増やせるため、そのぶん合格の可能性を上げることができます。しかし、第一志望校の受験日を翌日に控えている場合は、無理のないのようにしましょう。前日の試験に疲れ切って、翌日の本番で力を出し切れないのでは本末転倒です。大事なのは、第一志望校の受験日を最高のコンディションにもっていくことです。
以上、3つのポイントをおさえながら、併願校を決めていきましょう。
Point9 6年生 受験直前期は闇雲に勉強をしない
夏休みが終わり、9月からの合否判定テストを3回受け終えた11月末には、おおよその志望校が見えてくるころだと思います。本番まであと少しと思うと、やり残していることがいっぱいで気持ちが焦ってしまうかもしれません。でも、6年生の冬休みは、新しい情報を詰め込む時期ではなく、入試本番までどう仕上げていくか、どの分野や問題に自信を持つ状態にしていくかなどを形にしていく時期です。ですから、冬休み前の時点で、その子がどのレベルにいるかによって対策は違ってきます。
受験直前期は「捨てる」勇気も必要
ここまで順調に進んでいる子であれば、冬休みは自分にとっての”穴”を潰す時期です。できているつもりでも、しばらく時間が経って忘れてしまっているものはないか、再度確認をしておきましょう。
逆にまだ自信が持てていない子は、自分の武器にできる得意分野をより確実なものにし、その分野が出たら必ずや得点がとれるようにする学習へと切り替えていく必要があります。つまり、合格を意識した学習にシフトチェンジするのです。
ところが実際は、「まだ自信がない」という子のほとんどが、冬休みも苦手分野の克服に時間をかけようとしてしまいます。「自信がないから、やらなきゃ」というその気持ちはわかりますが、わずか2週間の休みに、苦手分野すべてを克服することなど到底できません。この時期になったら、確実に点を取れる分野の問題に取り組み、できない分野は「捨てる」という覚悟を持つことも必要です。入試は総合点で合否が決まります。どの分野もまんべんなくできれば理想的ですが、そんな子はごくわずかです。今はもう苦手分野の学習に時間をかけている余裕はありません。1点でも多く点を取ることを優先していきましょう。
冬休みを迎える前に、自分が今どんな状況で、どちらの対策を取るのがベストなのか考えてみましょう。
苦手分野を見極めるには、テストの成績表が参考になります。例えば、正答率が80%の問題で間違ってしまったという場合は、基本を理解できていないことを意味するので、その基本をすぐに会得しておかなければなりません。また、正解率60%の問題は、偏差値50以上の学校を狙うのであれば、できていないと厳しいでしょう。なぜなら、その問題を正解できるか否かが、今後の合否にかかってくるからです。難関校を狙うのであれば、正答率40%のものも正解できるようにしておきたいものです。
課題の解決は夏までに終わらせ、9月は少しペースを落としてそれを整え、10月から受験に向けてラストスパートをかけるというのが理想のシナリオです。とはいえ、10月から一気に力を出し切る必要はありません。10月におすすめの学習は”守りの学習(=埋めていく学習)”です。自分ができているところをもう一度振り返り、ノートにまとめ直すなど、頭の中にあるバラバラの知識を整理するのです。算数や理科など単元数の多い科目なら、ちょっと不安だなと思うところをもう一度やってみるといいでしょう。
11月は苦手分野に集中して取り組める最後のときです。ここでしっかり穴を潰しておきましょう。一方で、応用問題の対応、志望校対策も進めていかなければなりません。つまり、「合格に直結する学習」を始めていくのです。
こうして10月~11月に自分が何にポイントを絞って学習をするかを決めておくと、闇雲に学習量を増やすことなく、今やるべきことに集中できます。そして、冬休みを迎えるときもアタフタせずに、自分の今の状況を見極め、順調に進んでいると思ったら「苦手分野の問題を潰して高得点を狙っていく」、まだ自信が持てなかったら「得意分野の問題に目を向け確実に合格を目指す」という判断が素早くでき、冬休みを有効に使うことができます。
冬休みが終わると、いよいよ1月は関西エリア、千葉県・埼玉県の入試が始まります。
Point10 4・5年生の冬休みは、次の学年を意識した対策を
冬休みは期間が短い上に、間にお正月休みを挟むため、勉強に集中できる日が限られています。期間が長い夏休みなら、途中で多少中だるみしても立て直すことはできますが、冬休みはそうはいきません。
4・5年生の冬休み
本番を間近に控えた6年生であれば、この冬休みは必死に勉強するでしょうが、4・5年生にとってはいまひとつやる気が出にくいもの・・・。
冬休みを有意義に過ごせるかどうかは、秋のうちに冬休みの目標を明確に立てられるかにかかっています。「冬休みが終わったときに何ができるようになっていたいのか?」「各教科、どのくらいできるようになっていたいのか?」といった目標を立てておけば、ついダラダラと過ごしてしまいがちな冬休みを意味のあるものにすることができます。
冬休みの過ごし方で、特に意識したいものに、1月上旬に実施される模試があります。この模試は、4・5年生にとっては、次の学年のクラスを決める大事なテストです。このテストの結果によって、次の学年をどんな立ち位置でスタートできるかが決まってきます。
第1章でも説明しましたが、大手進学塾は上位クラスに入れる子ほど、受験に有利になる仕組みになっています。例えば、下位クラスでは基本問題しか習わないけれど、上位クラスなら発展問題にも取り組め、同じテキストを使っても進度が早いぶん、より多くのことを学ぶことができます。模試などのテストでは、クラスのレベルにかかわらず統一問題が出されます。その中には応用問題や発展問題も含まれており、上位クラスにいる子は習っているけれど、下位クラスでは習っていないような問題が出されます。つまり、一度クラスが決まると、その後、上位クラスに入るのはとても大変なのです。
しかし、ここで頑張らなければ、後々までクラスが上がらず、結果的に、大手進学塾に通う最大のメリットである「志望校特訓」の受講資格を逃してしまいかねません。
ですから、この冬の頑張りで、なんとかクラスを上げたいものです。
4・5年生は冬期講習を受講すべき?
4・5年生の冬期講習は、それまで習ったことの復習が中心です。その学年の総仕上げをするという意味合いがあります。つまり、2月からスタートする次の学年を迎える前の最後のチェックポイントの期間となります。
冬期講習は塾に通う多くの子が受講しますが、必修ではありません。ただし、その学年で習ったことをまとめて復習できる唯一の期間なので、それなりの効果は期待できます。
4年生の場合、これまでの学習が順調に進んでいる子は、冬期講習では復習をやりつつも、少しチャレンジ的な問題にも取り組むことになるので、やはり受講した方がためになります。また、受験生の6年生が必死になって勉強している姿が見られるときでもあります。4年生にとってはまだ先のことですが、受験本番の空気を味わっておくのもよいでしょう。2年後の自分をイメージするよい機会となります。
ただし、「分数や複雑な計算ができていない」など、できていないことの方が多い子は、冬期講習を受けてみたところで理解ができないので、あまり意味がありません。こういう子は「冬期講習を受講しない」という選択をおすすめします。代わりに家庭学習で、まだ身についていない「基礎」や「苦手分野」を克服する時期に充てましょう。ここで苦手を克服しておかないと、5年生でまったくついていけなくなってしまうからです。
大手進学塾では、5年生のカリキュラムが始める4年生の2月から、勉強の内容が徐々に難しくなってきます。新しく習う単元は、入試によく出る重要単元だったり、4年生で習った単元の応用だったりとどれも気が抜けません。さらに、学習量が4年生の1.5倍にも増えるのです。この状況は、ここまで順調に学習を進めてきた子でも、かなりハードに感じることでしょう。4年生の段階でつまずいている子ならなおさらです。ですから、苦手をたくさん残している子は、ここで一旦塾から離れて、家庭学習でしっかりフォローしていきましょう。4年生で習う単元はまだそれほど難しくないので、親が見てあげることもできます。けれど、教え方に自信がないという場合は、中学受験を専門とする個別指導塾で勉強のやり方から学ばせた方が、この先の学習にも活かせるのではないかと思います。
そして、5年生のカリキュラムが始まる2月には、「4年生で習った基本はできて当たり前」の状態にしておきましょう。
5年生の冬は重要
5年生の場合は、この冬の過ごし方はとても重要になります。5年生は秋の段階で、受験に出題される試験範囲の約8割を終了します。各塾の冬期講習では、その基本をしっかり押さえ、6年生から始まる演習問題に備えるための期間として充てられるので、5年生の場合は受講をおすすめします。単元を超えて、まんべんなく学習をするので、中学入試に必要な全範囲をおおよそ捉えることができます。
そして、年明けの模試で成果を出すことを意識して、取り組んでいきましょう。1つでもクラスを上げ、最終的に秋の段階で「志望校別特訓」の受講資格を獲得する。そのためには今何をするべきかしっかり考えながら、進めていきましょう。
Point11 6年生 受験直前期にやっておきたい4つのこと
冬休みが終わり、いよいよ6年生にとっては、入試はもう目の前です。小3の2月から始まった受験勉強の成果を試すときがやって来ました。これまで頑張ってきた結果が、たった一度の試験で決まってしまうと思うと、穏やかな気持ちではいられないと思いますが、親が不安になればなるほど、その気持ちは子どもに伝わってしまいます。ここはグッと堪えて、”いつも通り”を心がけましょう。
入試直前期に入ったら、もはやジタバタしても仕方ありません。不安要素が多いと、あれもこれもやらせたくなりますが、この時期は何か新しいことを「やる」のではなく、今身に付いているものを「整える」ことが大事です。
入試直前期に「整える」ことは、次の4つです。
- ①体調を整える
- ②心を整える
- ③学力を整える
- ④得点力を整える
詳しく説明していきましょう。
体調を整える
入試直前期になると、誰でも最後の力を振り絞って一生懸命勉強をします。しかし、どんなに頑張っても、受験当日の体調が悪ければ、今ある実力を最大限に発揮することはできません。入試直前はやり残していることが気になり、つい夜遅くまで勉強してしまいがちですが、この時期は早め早起きの規則正しい生活を心がけましょう。
また、風邪やインフルエンザが流行する時期です。予防接種などは前々から受けているとは思いますが、外から帰ったら「うがい・手洗い」をするのはもちろん、日頃からマスクをするなど、体調には十分に気を付けましょう。これは家族全員に言えることです。
一方、意外と見落としがちなのが、運動です。外に出たら風邪やインフルエンザをもらってくるかもしれないと、部屋の中で勉強ばかりさせ、塾までの往復も親が車で送迎をしていたら、気がついたら3~4kgも太っていた、というのは受験生にはよくある話です。
実は、肥満は受験の大敵であることをご存じですか? 肥満になると、血液の流れが悪くなり、脳の働きにも影響が出てくるからです。「最近、ちょっと運動不足だな」と感じたら、無理のない範囲で体を動かす時間を作りましょう。例えば、マンションに住んでいるお子さんなら、エレベーターを使わずに階段を使うようにしましょう。家で犬を飼っているなら、受験勉強に差し支えない程度に散歩に連れていくといいですね。平地でも約20分早歩きをするだけで効果があります。
心を整える
入試直前期の子どもの心は、大きく分けると2つの危険をはらんでいます。一つは「絶対に合格するぞ!」というやる気の空回り。もう一つは「どうせ今さら頑張っても・・・」という自信の喪失です。
「やる気の空回り」は、心が強い子が陥りがちな状態で、やる気を出すこと自体はよいことなのですが、問題はそのやり方です。「たくさん勉強することがよいことだ」と思い込み、闇雲に手を出そうとしてしまわないよう注意しましょう。この時期の学習は”量”よりも”質”が大切です。問題をたくさん解くことよりも、「なぜそうなるのか?」「この問題を解くには、あと何が分かれば解けるのか?」など自問自答しながら、じっくり問題に向き合う姿勢を意識させましょう。それが「納得する勉強」です。
「自信をなくしている子」へのフォローは、親の声かけの内容に気をつけなければなりません。直前期なのにやる気が感じられないわが子を見て「そんなことでは合格できないわよ!」とつい言いたくなる親御さんの気持ちもわかります。でも、それを言われたお子さんはどう思うでしょう? やる気を見せられないのも、実は不安の表れ。今この時期に発破をかけてみたところで、何の意味もありません。かえって、お子さんのやる気を奪うだけです。
でも、親御さんの気持ちをどうにか伝えたいのなら、声かけの内容を少し変えてみましょう。例えば、直前期になってもエンジンがかからない子には「今からでも大丈夫よ」「これからが勝負よ」と言ってあげるだけで、子どもの気持ちは前向きになります。大事なのはポジティブな声かけです。
6年生は12月のテストを最後に、本番まで約1カ月半の間、合否の判断に使える材料が何もない中で、最後の追い込みへと入っていきます。手応えのない中での勉強は、たとえそれまで順調に来られた子でも不安になるものです。まして、最後のテストがいまひとつだった子は、不安でいっぱいなはずです。親御さん自身も穏やかな気持ちではいられないでしょうが、そんなときこそ、笑顔を忘れずに、お子さんに温かい言葉をかけてほしいと思います。
この時期に必要な言葉は「頑張れ!」ではありません。だって、どの子もみんなすでに頑張っているのですから。替わりに「毎日、頑張っているね」と日々の頑張りを認めてあげましょう。それが何よりもお子さんにとっては嬉しい言葉になるはずです。
学力を整える
直前期になると、「できていないこと」が気になるものです。でも、もうこの時期になったら、”苦手”に目を向けることはやめましょう。「苦手分野の克服は11月まで」と線引きをし、12月からは4教科全体のバランスを整え、確実に点数が取れる学習へとシフトチェンジしましょう。
中学入試は、4教科の総合点で合否が決まります。極端な話、算数の「割合」がどうしても理解できなくても、国語の記述で高得点が取れれば、合格できる場合もあるのです。また、中学受験では、満点を取って合格する子はほとんどいません。1~2点の差がその合否を決めるのです。ですから、この時期は解けるか解けないか分からないような難問や、時間がかかってしまいそうな苦手分野は「捨てる」覚悟も必要になってきます。
正解すべき基本問題は、正解率を高める。得意な分野では確実に点数を取る。そうやって、1点でも多く点を取ることに気持ちを集中させましょう。
ただし、ここでひとつ気をつけたいことがあります。というのは、実は得意な分野ほど、本番でミスをするケースが多いのです。子どもは「分かった!」と思った瞬間から、速く解こうとします。しかし、この「分かる問題」こそ、落ち着いて取り組み、確実に点を取る必要があります。こうした点にも意識を向けることが大事です。
得点力を整える
試験には制限時間があります。限られた時間の中で、「何を」「どのくらいのはやさで」解くかというのは、実はとても大切なこと。合格に達するためには、戦略も必要です。
塾からも指導があると思いますが、「テスト用紙が配られたら、まずどこから見るか?」「どの問題から先に解いていくか?」など、自分なりの戦略を立てておくことをおすすめします。試験中は緊張が高まり、どんなに心が強い子でも、普段通りにはいかないものです。だからこそ、本番で慌てることがないように、自分なりのルールを作っておくのです。
特に試験の終了までの「ラスト10分」とどう向き合うかは、合否を大きく左右します。「とにかく埋めなきゃ!」と焦ってしまうと、問題を解くのが雑になり、本来なら正解できるはずの問題を間違えてしまう、なんてこともあります。「ラスト10分」は、あと5点積み上げる気持ちで、1問1問を丁寧に解き、確実に正解できるようにしましょう。すでに解答欄を埋めた子なら、自分が自信のある問題こそもう一度見直し、計算ミスはないかなど念入りにチェックをしましょう。