結局「公民」って何を勉強するの?
塾で「公民」に充てられる時間と労力はじゅうぶんか
6年生になると、塾の社会科の学習では、地理・歴史と並ぶ「公民」の学習が始まります。
子どもたちにとって、地理や歴史にくらべてはるかに抽象度が高い(身近でない)公民の学習。
地理や歴史に比べて、カリキュラム上与えられている時間と内容とのバランスはどうなのでしょうか。
たとえば、四谷大塚の「予習シリーズ」の6年生上 第2回「国会のはたらき」をとりあげてみると、1回の授業で「国会の地位や二院制、衆議院の優越、国会の種類、政党政治など、「国会のすべて」を学ぶというメニューになっています。
これまで国会の「こ」も考えたことがない子どもたちに、いきなり1回の授業(塾によりますが、実質週あたり1時間程度しか純粋な社会の授業時間がない場合もあります)で「国会のすべて」を伝え、理解させるのは容易なことではないでしょう。
この傾向は、四谷大塚に限らず他塾でも似ています。
塾側もそのあたりは心得ていて、夏休みやそれ以降の入試対策の授業で繰り返し出てくるというカリキュラムになっています。
でも、このハイペースなカリキュラム展開によって「公民=わからない・むずかしい」という先入観をもってしまうのはもったいないことですね。
「公民」が中学入試に実際に出題される割合は?
筑波大付属駒場中のように、地理・歴史・公民からバランスよく出題する学校もありますが、多くの学校では、公民分野の出題は、地理・歴史とくらべると少なくなっています。
しかし、開成中のように時事問題に敏感な学校もあります。
このような学校の対策の場合は、TPPなど大きな国際問題や集団的自衛権など近年話題になった問題に関しては、理解を深めておく必要があります。
特に近年「時事問題など、世の中の出来事に対してアンテナを張っているか」を試す出題をする学校は増えています。また、分野を横断しての出題も多くなっています。
時事問題を正しく理解し、その問題の本質をつかむベースとして、政治の仕組みやこれまでの国際情勢などを知っておくことは必要で、大切なことです。
このような理由からも、公民の学習は疎かにはできません。
塾のカリキュラムに沿いながら、どう理解を深めるか
先述の通り、塾の公民のカリキュラムは「駆け足&繰り返し」によってだんだん知識を定着させようというもの。
しかし、「駆け足」の部分で公民に「わからない」という先入観を持ってしまうお子さんが多いということも述べました。
公民の学習は、これまで子どもたちに馴染みがなかった分野の学習ということで「とっつきにくい」という気持ちが、塾カリキュラムの速さによって「わからない」に結びついてしまいがちなので、特にスタート時期に理解を深めておくことが大切です。
公民の導入時期だけ、プロの講師(家庭教師や個別指導)を検討するのも1つの手です。
中学受験の公民分野の中心は「政治」です。学習内容のほぼ9割を占めます。残りの1割が経済です。
ですから、まずは「政治とは何か」をしっかり理解することです。
政治とは、簡単に言えばルール作りのことです。
そのルールの中で最も大切で、ちょっとやそっとでは変えられないのが「憲法」です。
だから、憲法第9条や集団的自衛権に関する問題があれだけ話題になっているのです。
そうやって「政治」を分解して理解することが、公民の勉強を成功させる第一歩になります。
公民の学習が始まって何回か授業が進んだあたりで、お子さんに
「公民って、要は何を勉強しているの?」
「政治って、結局何のこと?」
なんて質問してみてください。
「ルール作りのことだよ」みたいな返答がきたら立派なものですね。