秋から始める受験計画
9月はまだ「志望校=受験校」ではない
夏休みが終わって9月になると、各塾で6年生対象に「志望校別特訓」と呼ばれる講座が始まります。たとえばサピックスでは、SS(サンデーサピックス)がこれにあたります。この講座では、志望校別に学校のレベル、出題傾向に合わせた学習が行われます。
各塾とも、中学校の過去問を研究し、難度や傾向に合わせて対策問題、テキストを作成、この数年間の受験勉強の仕上げとして、志望校に合わせた学習を行っていくのです。
中学受験に備えて進学塾に通わせる最大の目的のひとつが、この志望校別特訓です。各塾が長年積み上げてきた、他では得られないノウハウが詰まった講座だからです。
もちろん志望校が決まっていての志望校別講座ですが、夏が終わった時点では、志望校がはっきり決まっていても、まだまだ変更の可能性があるものです。
それは、9月の時点では必ずしも
志望校=受験校
とはならないからです。
受験校の変更は誰にでもありえる
地域によっても違いますが、実際に中学校に入学願書を提出するのは年末~年始ごろ。それまでのテストの結果などによって、最終的に受験校をどこにするかを決定するのが、通常の受験校(=最終的な志望校)決定のプロセスです。
そんなことも考慮に入れながら、受験する中学校を決めていくのですが、ここで注意すべきことがあります。
たとえば、9月の時点で第一志望校の偏差値に対して、10程度お子さんの偏差値が足りないとします。なんとか残りの数ヶ月で、偏差値10のギャップを埋めて合格というのが理想ですが、もちろんテストなどの偏差値推移を見ながらの方向転換(=受験校変更)の可能性も考慮しておかなければなりません。
9月の時点で志望校に偏差値が届いていて、あとはさらに合格を確実にするために、その可能性を高めておくだけ、というお子さんは、実は少数です。なんとか残りの期間で偏差値を上げ、合格の可能性を少しでも高くしなければならないという受験生が大多数ですから、受験計画の変更は、誰にでも起こり得ることなのです。ですから、いざそうなってから焦らないためにも、あらかじめ心づもりをしておくことは必要です。
受験校変更の最終判断はどのテスト?
受験校の変更に関しては、ご本人、そしてご家庭の考え方として、
- ①どのテストを決断の最終期限にするのか
- ②変更するときの方針はどうするのか
をあらかじめ決めておきましょう。
①に関しては各塾で、夏休みが終わってから冬までに、より入試を意識した実戦的な模試が数々行われるので、そのうちどのテストの結果で判断するかを決めておけばいいでしょう。
代表的なのはサピックスの学校別オープンテスト、合格力判定サピックスオープン、日能研の合格判定テスト、四谷大塚の合不合判定テストなどです。
だいたい月1回くらいのスパンでこういったテストがありますから、どこで最終的な受験校を判断するかを決めておきましょう。
これはもちろんお子さんとも共有しておくことが大切です。
もしも受験校を変更することになった場合に、お子さんに無用な挫折感や徒労感を味あわせないためにも、第二志望校以下についても、その特徴や校風などについて理解し、「いずれの選択でも失敗ではない」という認識をお子さんと共有しておきましょう。
入試戦略の「最終方針」を家庭として持っておく
②に関して、受験校を最終決定する際のルールを決めておくことも、極めて大切なことです。たとえば、首都圏など私立中学校が多い地域では、「第一志望校のみを受講して、もしも不合格だったら公立中学校に進学」という計画で受験するご家庭は少数派なのではないかと思います。たいていは複数校を受験し、第一志望校を含めて合格校の中からベストの選択をして、進学校を決定するのではないでしょうか。
その場合、もしも第一志望校への合格可能性が今ひとつ高くならない場合に、第一志望校そのものを変更するのか、または第一志望校は合格可能性が低くても受験し、併願校で確実に合格を勝ち取りに行くのかなど、どのような戦略で受験するのかを決めておく必要があるのです。
お子さんの第一志望への思い入れの度合いなどを考慮し、ブレることのない、ご家庭としての最終方針を持っておくことは、入試が近づくほど重要になります。早い段階でしっかり話し合って決めておきましょう。
もちろん、目指すは第一志望校合格。しっかりサポートしてあげたいものですね。