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アクティブラーニングって、どんな勉強?中学受験とどんな関係がある?

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公開: 最終更新日:2021年07月20日

近年「アクティブラーニング」という言葉をよく聞くようになりました。
2020年の教育改革に関する文部科学省の資料の中にも、この言葉が度々登場します。

そもそもアクティブラーニングってどんな勉強のことを指すのでしょう。
そしてそれはお子さんたちの中学受験に、どのように関わってくるのでしょう。

「アクティブラーニング」という言葉の意味

アクティブラーニングという言葉の意味をひとことで言うと「能動的な学び」です。
これまでの日本の教育は、先生から生徒に一方的に知識が伝えられるのが中心でしたが、それを変えようというのです。
具体的には、あることがらについて先生から教えてもらうだけではなく、自分たちで調べたり、議論したり、教え合ったりといった参加型の授業に変えようということです。

確かに、45分の授業(小学校の場合)中、ずっと先生の話を聞かされっぱなしでは、子どもたちも疲れてしまいます。
そのため、先生方も工夫をします。
説明を聞くばかりではなく、自分たちの手を動かして作業したり、意見を言ったりといった機会を授業の中にとりいれて、45分の授業時間中、お子さんたちの集中が続くように「授業計画」を組むわけです。

ここまで読んで「え、すでにアクティブラーニングって行われていない?」と思われた方もいるかもしれませんね。
・・・そのとおりです。
みなさんが学生だった頃のことを思い出していただきたいのですが、「いい先生だった」「あの先生のおかげで数学が好きになった」というような印象がある先生は、授業時間中ずっと教え続ける先生だったでしょうか。

アクティブラーニングはすでに存在していた!?

こう考えてくると、「すばらしい先生」と言われる先生の授業は先生が一方的に伝えるだけの授業などではないし、多くの生徒たちが能動的に参加しているものなのです。

つまり、日本の教育にアクティブラーニングの要素を大きくとりいれるということは、研究熱心で素晴らしいい授業を展開する先生(とそれを可能にする環境)を用意しようじゃないかということになると思います。

その点で、御三家をはじめとする難関中学校は、以前からこの2点をクリアしている学校が多く、アクティブラーニングが叫ばれ始める以前から「自分で考え行動する」「能動的に授業に参加する」ということが行われています。
「銀の匙」を3年間かけて学ぶ灘校の「伝説の国語教師」橋本武氏の授業などあまりにも有名です。

進学校だから勉強だけがんばる、というイメージを持つ方もいるようですが、学校行事も手を抜きません。
開成や麻布の体育祭は、生徒たちが中心となって運営し、非常に盛り上がることで知られています。

中学受験にどんな影響がある?

上記のように、難関校には以前からアクティブラーニングの要素が濃い教育が行われているところが多く、それが入試にも反映されています。
武蔵中の理科の恒例「お土産問題」はよく知られた問題です。
机の上の袋に入った品物(年度によってねじだったり、液体だったりさまざまです)を観察し、その使い方や気づいたことなどを文章や図を使って説明させるというもの。

2018年の開成中の国語では、ある商事会社の2つの支店のお弁当の仕入れと売上などから、その評価のポイントを問うという、ユニークな問題が出題されています。

中堅校以下の学校でも、こういった動きは出てきています。
かえつ有明中では、受験生がグループに分かれて話し合い、表現力や思考力、協働力をみる「アクティブラーニング思考力特待入試」を行い、話題になりました。

また、先生と生徒の対話文から、さまざまな話題について考えさせるような形式の問題も、特に理科や社会の分野で増えています。

これからの受験生は、今まで以上に「解き方を覚えて実行する」といった勉強のしかたにならないように注意しなければなりません。
「どうしてそのように解くのか」を常に考え、「どうすれば問題を解決できるか」という姿勢でいることが大切です。

そのような勉強法で中学受験を乗り切れば、中学校以降の勉強も楽しく、充実したものになるでしょう。

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