【中学受験】4年生の夏休みは、たくさんの「?マーク」を見つけよう
中学受験を視野に入れて塾に通う4年生にとって、夏休みは貴重な時間です。
学年が上がるにつれて勉強で忙しくなるので、4年生の夏休みはたくさんの「体験」をしていただきたいと思います。
今回の記事では、4年生の夏休みの過ごし方のポイントや注意点について考えてみたいと思います。
4年生の親が注意すべきは「勉強のやらせすぎ」
4年生のうちは塾もまだ週2、3回なので、これまでと比べて生活が一変したと感じる方は少ないと思います。
そして、中学受験をすると決めてはいるものの、志望校がはっきりと決まっているわけでもなく、学習の難易度も急激に上がることのない4年生のうちは、習い事も続けられるでしょうし、塾のない日は友だちと遊んでのびのび過ごす子どももいるでしょう。
中学受験をするのに、こんなにのんびりしていてもいいのかと不安になる親御さんもいらっしゃいますが、むしろ4年生のうちに注意すべきことは「勉強をやらせすぎないこと」です。
4年生のうちに習慣化してほしいのは「正しい学習の作法」で宿題などに取り組むこと。とにかく宿題が終わればそれでいい、遊ぶために早く終わらせたい、という意識で勉強をする習慣がつかないように気をつけてください。
あれこれ詰め込んで勉強をやらせすぎると、上記のように「とにかく終わらせる」という学習作法が身についてしまいます。
4年生のうちは塾の宿題と学校の宿題を「正しい学習の作法」でしっかりやっていれば大丈夫です。
「正しい学習の作法」とは、じっくりていねいに(やっつけではく)目の前の学習に取り組むことです。
適量の勉強に対してじっくりていねいに取り組む習慣が4年生のうちに身につくと、5年生以降のつまずきが軽減されます。
この時期は焦る必要はないので、量や時間にゆとりを持って学習を進めるようにしましょう。
4年生の夏休みは「?マーク」をたくさん作る
そんな4年生の夏休みは、ぜひ親子の時間をたくさん作ってください。
平日は仕事で忙しい親御さんも、土日は子どもと一緒に過ごして、夏休みの楽しい思い出を作ってあげられるとよいですね。
「勉強はしなくてよいのですか?」と不安になる親御さんもいらっしゃいますが、もちろん、宿題にはしっかり取り組んだほうがよいです。
夏期講習にも基本的には参加したほうがよいでしょう。
しかし、5年生以降、特に6年生の夏休みは、子どもの時間の「余白」はほとんどなくなります。
それを見据えて、今しかできない体験をたくさんする方がかえって学習に役立つことがあります。
子どもが自分の生活の中でたくさん「はてなマーク」を見つけることは、結果的に5年生以降の学習の理解度につながります。
「なぜ?どうして?」と疑問を見つけることが、好奇心や探究心に直結するからです。
そこで、時間がたっぷりある夏休みに、帰省や旅行でいつもと異なる環境に身を置くことで「あれ?なんでこうなんだろう」と子どもの「はてなマーク」は増えていきます。
たとえば、青森県などの道路には、縦型の信号機があります。
見慣れないので子どもは「なぜ、縦なんだろう?」と疑問を持ちます。
答えは積雪の影響を少なくするためなのですが、身をもって日本の気候の多様性を実際に感じる体験になるでしょう。
大人にとっては当たり前のことや驚かないことも、経験が少ない子どもにとっては「はてなマーク」の対象になります。
帰省や旅行以外でも、たとえば親子で一緒に庭いじりをしたり、台所で料理をすることで「同じ条件でタネを蒔いたはずなのに発芽の仕方がちがうのはなんで?」「キャベツはなぜ炒めたら小さくなるのだろう」など、小さな「はてなマーク」を親子で共有することができます。
親にできるのは「はてなマーク」を育てること
この子どもの「はてなマーク」をそのままにするのはもったいないです。
子どもがなにかに関心を示したり疑問を持ったら、それについて親子で一緒に調べてみましょう。
気軽なのはスマホでの検索ですが、家のリビングに図鑑や辞書、地球儀を常時置いておくと、子どもがより自分で「?マーク」に対する考察を深めることができます。
4年生のうちは、親の声かけで「?ーク」を引き出してあげることもできます。
「今日はなぜこんなに空が青いんだろうね」「ナスを炒めたら焼きそばに色がつくのはなぜだろう?」そんな声かけに子どもは「ほんとだ!なんでだろう」と反応するでしょう。
好奇心の小さな芽であるこの「?マーク」のタネを蒔くために、親の声かけで子どもの行動を促してあげることが大切です。日々の小さな「はてなマーク」をノートに記しておくのもいいかもしれません。
そして一緒に考え、調べた結果をメモするのもよいでしょう。
普段、忙しい日常ではなかなかむずかしいかもしれません。
ですので、夏休みの時間を有効に使ってたくさん子どもの「?マーク」を育ててあげてください。
5年生6年生になって学習を進めていく中で、「あ!これは、あのときお母さんと一緒に調べたやつだ」「これは旅行の時にお父さんと一緒に見たことがある」などという体験に基づいた記憶につながるかもしれません。
旅行や帰省、キャンプは「予習・復習」を楽しむ
子どもの興味関心は、親のちょっとした関わりによって変化します。
印象に残る体験にするためには、子どもが少しでもそれを自分で考えて決めるのがポイントです。
旅行や帰省なら、目的地までのルートや途中で食べるものなど、一緒に調べて考えるだけで、ずいぶん印象がちがいます。
キャンプなら、夕飯のメニューを一緒に考えたり、買い出しの買い物リストを作ったりさせてみましょう。
ただ親御さんの後ろをついていくだけの受け身の姿勢で行くより、子どもにとって印象深い経験になると思います。
そういった「予習」を親子で楽しむことで、旅行や帰省、キャンプがより深い体験になります。
また、行ったあとに写真を見返したり、写真を抜粋してアルバムを作ったりする「復習」もおすすめです。
なにかテーマを決めて、たとえば「旅行先で見かけた花」や「出会った生き物」などの写真を集めて図鑑を作るのもよいでしょう。
おいしかったものの写真でもかまいません。
それを親子で見返して「おいしかったね」とどんな味だったのかを語り合うだけで、子どもの頭の中に「自分の思い出」としてインプットされます。
この「自分の思い出」が子どもの好奇心た探究心、より深い記憶につながるのです。
5年生を見据えて、貴重な夏休みを楽しもう
中学受験の学習は、5年生以降になると量も増え、内容も難しくなります。周囲も徐々に「受験モード」に入るので、時間や気持ちに余裕がなくなるご家庭が多いです。
そういう意味では、4年生の夏休みは親子にとって貴重な時間。受験のためというより、子どもの好奇心や探究心を育むためにも、そして大人の入り口に立っている子どもとの貴重な思い出をたくさん作るためにも、充実した時間を過ごしていただきたいと思います。
4年生のみなさんの夏休みが、実り多き時間になりますように。