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5年生からの中学受験準備は遅い?

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公開: 最終更新日:2021年07月21日

5年生からの中学受験準備は遅い?

近年、中学受験の準備は4年生から、とよく言われます。大手進学塾のカリキュラムが、4年生~6年生でひととおり必要なことをすべて扱う、というスタイルになっているからです。では、5年生からの受験準備は遅すぎるのでしょうか。

ここで、塾カリキュラムの4年生~6年生のおおまかな位置づけを、大まかにまとめてみます。

4年生・・・

塾に慣れる。学習習慣をつける。計算力、解き方、考え方の基本的な知識をつける時期で、図や表を使って「見える化」して問題を考える基礎を学びます。

5年生・・・

4年生で習ったことを踏まえ、より高度な解法の学習や整理の力をつける学習になります。応用、発展問題も多くなります。

6年生・・・

科目によって若干の差がありますが、4年生、5年生で入試問題を解くのに必要な知識はすべてつけてしまったはずなので、それらを使ってより実戦的な(入試問題に近い)問題を解く力をつける。

 

こうやってまとめてみると、5年生から中学受験の準備を始める場合に注意すべきことがわかってきます。

スケジュールを作る際に、まずはじめにやることは

進学塾の意図として、4年生で学習習慣をつけ、「塾のある毎日」に慣れて、より高度で負担が高い5年生の学習に対応できるよう準備させるという流れになっているので、5年生から受験勉強を始めるなら、そのあたりを意識しておかなければなりません。

お子さんは5年生の2月から塾に入り、「塾通いに慣れる」というところから始めるわけですが、塾では4年生までで「塾のある毎日」「塾の宿題のある一週間の過ごし方」にはもう慣れているものとして授業が進み、宿題が出されるわけです。

だから、毎週の予定をスムーズにこなしていけるよう、まずは入塾の時点で一週間のスケジュール表を作り、それを週単位で更新していきましょう。

平常の授業が何曜の何時から何時までか、その曜日の科目は何か、その曜日までに宿題を終わらせるには、宿題はいつやるか・・・。それらを一週間のタイムスケジュール上に書き込んでいきます。そして、それらを書き込む前に真っ先に書き込んでおかなければならないのが「生活の時間」です。何時に寝て何時に起きるか、これがもっとも大切な時間確保です。眠い目をこすって勉強しても成果は上がりません。

お子さんの成長に必要な時間を十分確保した上で、受験勉強のスケジュールを組んでいきます。

スケジュールは「その通りにいかないのが当たり前」くらいの気持ちで最初は作りましょう。できたこと、できなかったことを一週間単位で見直し、お子さんと相談しながら実行可能なスケジュールへと改良していきます。

4年生内容を意識した学習を

多くの進学塾では「スパイラル式」といって、同じ単元を繰り返し、レベルを上げながら学習します。だから、今習っている単元の基礎を前の学年で習っている、ということが多いのです。指導する先生の方もそのことを意識しています。

前の学年で習ったことをしっかり覚えているか、確認しながら授業は進められます。だから、ちょっとだけ前に戻って復習してから新しく学習する部分に入ったりと、工夫はしてくれるのですが、やはり「前に習ったことがない」状態だと、理解がうまく進まない場合が多いのです。

授業で今ひとつわからないことが多い、ということが多いなら、お通いの塾の4年生用のテキストを用意し、同じ単元を4年生で習う場合の説明、解説を参照してから(しながら)宿題をするとはかどりやすくなります。

すでに5年生で塾に通っているお子さんにもこれは有効で、実力テスト対策に4年生の教材(特に理社)を使っているお子さんもいます。

5年生からの中学受験準備は塾選びも慎重に

4年生の基礎がない状態で進学塾に入る場合、塾選びにも注意が必要です。その塾は4年生で何を習っているのか、その単元を5年生ではどのような形で習うのかを、しっかり塾の先生に説明してもらうのがいいでしょう。

また、入塾時のサポート体制についても確認が必要です。新入塾生のための補習などを行ってくれる塾、教室もありますから、問い合わせたときから入塾を決めるまでに確認しておきましょう。

カリキュラムの作り(どれくらいの早さか、レベルはどうなのか、カリキュラムの中に復習の機会はどれくらいあるのかなど)も確認が必要です。たとえばサピックスは、年間のカリキュラムを夏休みや冬休みを含めてどんどん進めていくスタイルです。こまかな「振り返り」の仕組みはありますが、「夏期講習でこれまでの総復習」といったスタイルではありません。ですから5年生スタートの受験勉強には向かないかもしれません。

またサピックスは通塾しているお子さんの平均学力も高く、5年生入塾で下のクラスからなかなか上がれないとなると、子どものモチベーションも上がらない可能性もあります。

一方、大手塾の中でも日能研や四谷大塚は、講習会が復習の機会という位置づけになっています。4年生部分の不足をカバーしながら勉強するには、サピックスよりは負担が軽いでしょう。

勉強が「苦行」にならないよう注意を

どこの塾も、4年生の間はカリキュラムの進度もゆっくりで、宿題も少ないのですが、学年が上がるごとに量も多くなり、進み方も早くなってきます。4年生の間は習うことも基本的なことが多く、家庭学習に「落ち着いて考える」という時間が取りやすいのです。

しかし5年生の学習になると、覚えるべきことも4年生のときより飛躍的に多くなります。すると、4年生という「基礎」が足りない場合、どうしても「まる覚え」のような勉強になりがちなのです。

そうなると勉強が「覚えるだけの苦しくて辛いもの」になってしまって、宿題もなかなか進まなくなってしまいます。特に5年生から受験準備を始めたご家庭は、この部分にも注意を払ってください。

宿題を「考えて」やっているか、授業の内容をしっかり思い出して復習しているか(そもそも宿題の前に授業を「復習」しているかも、とても大切なことです)など、親の細かな声かけで様子をみてあげるなど、家庭の協力で受験を乗り切りましょう。

 

以上、「5年生からの中学受験準備は遅い?」というテーマの記事でしたが、いかがでしたか?5年生スタート、いくつかの注意点を意識しておけば、遅すぎるというわけではありません。受験に向け、しっかり準備を続けていきましょう。

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