塾だけでは成績が伸びない?中学受験における家庭教師の役割とは
中学受験をするために塾に通い始めたのはいいものの、思うように成績が伸びないという悩みを抱えるご家庭も少なくありません。
そこで塾と併用するご家庭があるのが家庭教師です。
週1回だけでも効果を出すのはどのように利用したらいいのでしょうか。
長年の塾講師、家庭教師の経験から、塾と家庭教師の併用について「塾ソムリエ」西村則康先生にアドバイスをいただきます。
中学受験における家庭教師の役割
中学受験を控えた小学6年生は、1週間に4日は塾に通います。すると残りは週3回。
そのうちの2日は自分で勉強する時間とし、週1日を家庭教師とともに勉強するというのが、塾と家庭教師の併用でいちばん多いパターンです。
そこでは、受験勉強をいかに効率的にやるかをアドバイスしながら、塾の授業だけでは十分理解ができていない箇所をきちんと定着させ、テストなどで成果をあげられる状態にしていきます。
塾だけでは成績が伸びない、もしくは、より高い学力をつけたい場合に家庭教師を併用するご家庭が多いようです。
週に2回も3回も家庭教師が来てしまうと、子どもが自分で勉強する時間を確保できなくなるので、週1回くらいがいいと思います。
逆に、家庭教師だけで中学受験を乗り切るというのはとても稀なケースです。
中学受験に対応できるレベルの家庭教師に、数年連続で週に3回以上来てもらうとなると、費用がかなりかさんでしまうからです。
家庭教師を利用するときに気をつけたいこと
必ず一定以上のレベルのプロの家庭教師に頼みましょう。
よくあるのが「知り合いの東大生に家庭教師を頼む」というもの。
1週間に一度、遊びの延長レベルで、大学生活の話を聞かせてもらったりしながらちょっと勉強を見てもらうのは楽しいかもしれませんが、そのやり方は中学受験には向きません。
家庭教師というのは、本来なら学生のアルバイトではできない仕事だと考えています。
いつも教師本人が、学問や勉強に対して真摯に向き合う努力が必要だからです。
その姿勢を常に子どもに見せなければ務まらない仕事なのです。
「何をやらせるか」ではなく「どのようにやらせるか」
特に中学受験においては、その勉強内容はもちろんですが、それをどのようにやるかの過程や考え方、思考力が大切です。
家庭教師が問題をたくさん解いて見せるだけ、暗記の語呂合わせを教えるだけといったスタイルだと、子どもの理解はなかなか深まりません。
ましてや、中学入試問題の解き方となると、最近の傾向やそれぞれの学校の特徴などを把握できていないと教えることは難しいと思います。
塾対策だけではない、家庭教師の使い方
中学受験の直前1年間だけ週1回家庭教師に来てもらい、合格をより確実にするというケースも一般的です。
また、塾で成績が伸び悩み、クラスが下に落ちてしまったりすると、子どもの気分も落ち込んでしまうかもしれません。
そんなとき、優秀な家庭教師ならその雰囲気を変えて明るくしてあげることもできるでしょう。
それだけではなく、たとえば幼少期に早期教育をやりすぎて、小学校低学年ですでに勉強がきらいになってしまった場合など、それを修正するのに家庭教師を使うのも、とても有効です。
なお、個別指導塾という形もありますが、これは家庭教師とはだいぶ異なります。
個別指導塾に中には、先生と生徒が1対1になるとは限らず2対1や3対1という場合があります。
学習の習慣付けに効果が出る場合もあるようですが、家庭教師と同じ役割を求めるなら選ばないほうが無難でしょう。
家庭教師をうまく使いこなして
成績が伸び悩む、勉強がきらいになってしまったなど、親も塾もどうすることもできないときは、家庭教師に来てもらうのもひとつの方法だと思います。
まずはその目的を明確にし、一定のレベル以上のプロの家庭教師を選ぶようにしてください。