塾の夏期講習は通うべき?夏期講習で偏差値5UPを達成するための夏の学習の進め方 まとめ
中学受験の天王山とまで言われる夏休みの夏期講習。
塾の夏期講習は大変とばかり聞く一方で、夏期講習に参加すれば成績が上がるのかどうかはわかっていない方が多いようです。
結論から申しますと、ただ塾の夏期講習に参加するだけでは、今年の夏休みに成績を上げることはかないません。
このようにお話すると、
「成績を上げるために、夏期講習に参加するのに、どういうこと?」
「夏期講習には参加しないほうがいいの?」
といったようにも考えられると思いますが、
中学受験において、夏休みに成績を上げるためには、家庭学習を工夫することで、塾の夏期講習を上手く使うことが必要となります。
この記事では、夏休みに成績を上げるには、どのように夏期講習を受ければいいのか?夏休みに必ず押さえておくべき単元から、家庭学習のやり方はもちろんのこと、膨大な学習量の中からお子さんに必要なものを選び出し、成績UPを達成しながら、お子さんたちが十分休みも充実させることのできる夏休みの学習の進め方をまとめています。
目次
1. 夏期講習は受講するべき?
そもそも塾の夏期講習を受講すべきなのかどうか?ということで悩まれる方もいると思います。
結論から申しますと、大部分のお子さんにとっては、夏期講習の受講は必須です。
「新しい学習が進む夏期講習」は受講必須
昔の中学受験では、サピックスなど一部の塾をのぞいて、夏期講習はこれまでの学習の総復習を行う期間でした。
ところが中学受験の競争が激化する中で、塾も取り扱うべき問題が年々増えているため、現在はカリキュラムの進度を上げることを目的に、夏期講習でも平常授業のカリキュラムを進める方針を取っている塾が増えています。
その顕著な例が最大手進学塾の四谷大塚です。
四谷大塚は2022年まで、これまでの復習を軸にした夏期講習(一部予習)を行っていましたが、現在はサピックスと変わらないほど、すごいスピードで新しい単元を学習するカリキュラムを採用しており、夏期講習の中でも新しい単元を扱うようになっています。
四谷大塚の方針転換に伴い、四谷大塚準拠塾、早稲田アカデミーなど私立中学受験の塾の多くが、夏期講習も新しい単元を扱う方針に切り替わっています。
そのため、夏期講習に参加しないと通常授業についていけなくなるため、夏期講習の参加は、大部分のお子さんにとっては必須となっています。
夏期講習を受講しなくていいケースとは?
反対に、これまでの学習を総復習する夏期講習を扱っている塾では「受講しない」という選択肢も出てきます。御存知の通り、復習型の夏期講習は日能研などが該当します。
ただし、復習型の夏期講習であっても、参加を見送ることで成績が上がるお子さんはごく一部のみです。
具体的には…
1. 塾に行かなくても家でしっかり勉強ができる性格のお子さん
2. 夏期講習の復習では、効果があまり出ないお子さん
3. 6年生以外
という3つの条件に当てはまっているなら、復習型の夏期講習は見送ることも選択肢に入れるべきです。
3の6年生以外というのは、6年生の夏期講習は、とにかくテスト問題になれる問題演習がベースになるため、試験で確実に点数を採るための実践的な力を育てるために参加が必須だからです。
上記の条件で考えると、夏期講習の参加を見送って成績が上がるお子さんは2つのタイプにわかれます。
1つは、成績優秀なお子さんで、自学の習慣があり、より高い志望校を目指すために、塾の総復習ではなく、自分に必要となる復習だけを行い、残った時間は今後の先取り学習に当てるお子さん。
つまり成績上位層の中でも特に優秀で、おうちでも十分勉強できる習慣がついているお子さんですね。
もう1つは、授業の内容がほとんど理解できておらず、講習に参加しても授業が理解できないまま夏休みが終わってしまうお子さんです。
ただ後者の場合は、ほとんどのお子さんが、既に勉強に対するモチベーションが下がってしまっているので、単純に夏期講習を取らないだけでは、塾を休むだけになり、全く効果が上がらないことになります。そのため、夏をプロの講師による個別指導などの対策にあてる場合のみ該当すると考えていください。
6年生の特別講座は受講すべき?
6年生になると、サピックス・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミー・浜学園などのほとんどの大手塾で、夏の後半に夏期講習以外にも、プラスで特別授業を用意しています。
もちろん塾の先生は受講を勧めてきますが、多くのお子さんは受講を見送った方が、結果として成績が上がりやすい傾向があります。
ただこれは、特別授業の内容が悪いわけではありません。
夏期講習の内容が十分消化できている一部のお子さんは、こちらの授業にも参加したほうが成績は伸びやすいですが、ほとんどのお子さんは夏期講習の内容を完全に消化しきれていないため、特別授業に出る時間を、夏期講習で苦手だったことの復習に当てたほうが、9月以降の志望校合格へ向けた演習中心の学習がスムーズに進み、成績が上がりやすくなります。
上記の理由から、特別授業は参加しない選択肢も積極的に考慮するとよいでしょう。
ただし、特別授業を取らなかった場合に、家で勉強せずに遊んでしまうというお子さんは、塾の授業に参加した方がよいです。
2. 中学受験をするなら、夏休みはどのくらい勉強すればいい?
夏期講習以外に、夏休みは家でどれくらい勉強すればよいのか?
その目安が知りたいというご質問もよくいただきます。
中には、「空いている時間はとにかく勉強させたい」という方もいらっしゃいますが、勉強量を増やすばかりではモチベーションが低下し、机に向かっていても、頭に定着する知識は少なくなってしまいます。
そのため、決められた適度な時間で、可能な限り理解できることを増やすことが大切です。
その一方で、学年が進むにつれて、学習時間は増やしていかなくてはいけません。
下記に大まかな夏休みの夏期講習以外のご家庭での学習時間の目安をご紹介します。
お盆は休んでいい?休みの取り方と目安
上記にお盆休み中の1日の勉強時間目安も記載しました。
もともとお盆は、4年生・5年生は完全にオフでよかったのですが、2022年の四谷大塚のカリキュラム改訂以降、お盆も勉強時間に当てるスケジュールで動かざるを得なくなっています。
一方であまりに詰め込みすぎても学習効率が下がるため、4年生・5年生では、お盆休みの半分は基礎トレのみ。6年生でもお盆の1日は完全に休みを取ることを目指してください。
とはいっても休みを取りにくいため、少しでもお子さんの気持ちをリフレッシュできる工夫が大事です。
上記の勉強時間を目安に、休みの間は午前中に勉強を行い、午後は思いっきりリフレッシュできるように、メリハリをつけて動けるようにしてあげる
6年生であっても1泊くらいの旅行であれば、全く問題ないです。
ご家庭によって事情はあると思いますが、上記の休みを確保するのが難しい場合は、お子さんの学習全体を見直し、無駄な勉強を削ることで、余裕を持たせてあげることが必要です。
とにかく全部の勉強をやりきることばかりに目が行ってしまうと、どんどん効率が下がり、成績UPは絶対にかないませんので、必ず学習全体を見直してください。
3. 夏に成績を上げるための、夏期講習の学習ポイント3選
冒頭でもお話しした通り、塾の夏期講習に通い、授業を受け、出された宿題をやる。
残念ながら、これだけでは、今年の夏休みに成績を上げることは絶対にできないと断言できます。
なぜかというと、理由は単純です。
塾の夏期講習の授業スピードが早すぎる上に、取り扱う課題が多すぎて、とても小学生のお子さんが消化できる量ではないからです。
塾に通うこと。授業に出ること。宿題をやること。
これが目的になってしまう、つまりは、「勉強をやること/終わらせること」が目的になってしまうと、成績は上がらなくなってしまいます。
「そんなことはわかっている」と思われるかもしれませんが、大半のご家庭が、夏休みに入る前から既に手一杯になっていて、「塾に通って塾カリキュラムに従い、できる限り全部終わらせること」が勉強の主目的になってしまっています。
このまま夏休みに突入してしまうと、夏期講習の授業に出て、時間を使って勉強をしても、お子さんの頭に知識が定着せずに夏休みが終わり、成績が伸び悩んでしまうことになります。
成績を上げるために大切なことは、授業を受けることではなく、「できる範囲で、可能な限り知識を理解し、頭に定着させる」ことです。
膨大な学習量を取り扱う夏期講習で成績を上げるには、下記3つの点に気をつけて、学習を進めることが重要です。
夏期講習のポイント1. 夏期講習攻略の鍵は家庭での予習と復習
通常授業では、基本的に1週間に1単元を扱います。
一方夏期講習では、1週間のうちに、同じ教科の授業が何回もあるため、3つ以上の単元を扱うことも珍しくありません。
お子さんは、非常に短い期間に次々と新しいことを勉強することになります。
そのため、習ったことが頭に定着するまえに、また新しいことを学習することになるため、予習と復習がしっかりできていないと、本当に何も覚えてないまま、ただ授業に出ただけになってしまいます。
実際に毎年、多くのお子さんが、一杯勉強したけど、何にも頭に残っていないため、夏終わりのテストで大きく成績を下げてしまいます。
そこで重要なことが、授業の内容を確実に頭に定着させるための「予習と復習」の習慣です。
ご家庭で十分に予習と復習ができていたなら、夏の膨大な課題量の中でも、確実に多くの知識を頭で理解し、テストで1人だけでも正答ができるレベルの理解が身につきます。
なので、授業で学習した内容を定着させる復習。
そして、授業で理解できる幅を増やす予習が大切です。
授業に出て、ただ宿題をやっているだけでは、不十分です。
必ず、予め授業内容に目を通しておくこと。そして、授業が終わったら、何が理解できていて、何が理解できていないかを確認し、少しの努力で理解できそうなことに集中して順に理解を深めていくことが大切です。
夏期講習のポイント2. 授業中の「子どもの自己チェック」を
夏期講習の授業内容が頭に入り、理解できるようになるためには、復習が大切というのは前述のとおりです。
とはいっても、全部の問題がどれくらい理解できているか?を毎回お父さん・お母さんが確認するのは、現実的ではありません。特に夏期講習は連日新しい内容を学習してきていますから、お子さんの勉強を見る以外も忙しい親御さんは、どうしても手が回りきりません。
そこで大事なことが、お子さんが授業で解いた問題に、自分自身でチェックをつけてもらうことです。
◯ = 授業で聞いて、理解できた問題
△ = 答えは出たけど、不安な問題/わからなかったけど、もうちょっとで理解できそう
✗ = ちんぷんかんぷん/全くわからない問題
という大雑把な基準で構いません。
家で集中して復習するのは△の問題です。反対にその他の◯✗は切り捨てて良いです。
△を対策すればするほど、理解できることが増えていくからです。
夏期講習の宿題は、次の授業までのスパンが短く、宿題全部に手が回りきらなくても仕方ありません。だからこそ、上記のような基準で、やるべき問題・やらなくていい問題を識別することで、夏休み中に勉強した分だけ成績が上がる学習習慣を実現することができます。
特に6年生は、夏前までに基礎知識の習得は全て済んでいて、夏休みは、その知識を実際に使う力(演習力)を鍛える期間に入ります。
そのため、「理解が浅い問題」を適切に対策できるかどうかが、今後成績をあげられるかどうかに直結します。
6年生になると、問題が複雑になっているため、お父さん・お母さんが隣で見ていても、「この問題は本当に理解できているのか?」は全くわからなくなってきます。
学年が進むにつれて、お子さん本人の自己判断でしか、「理解できている・理解できていない」を切り分けることができなくなってくるのです。
だからこそ、この夏休みをきっかけに、お子さん自身が「理解できていない問題」を授業中にピックアップできる習慣をつけましょう。
2学期以降の学習も円滑に進むようになりますので、一石二鳥です。
ぜひ習慣化していきましょう。
夏期講習のポイント3. お子さんに負担をかけない、夏の苦手教科対策
夏期講習のように忙しくなると、苦手教科はどうしても後回しになります。
特に6年生になると、「もう苦手教科は諦めるしかない。得意教科で取り返そう。」というように考えてしまう方が増えますが、これは中学受験最大の悪手です。
受験の本番試験は、ほとんどのお子さんが解答ができない難問が必ず出題されます。
簡単に言えば、80点以上を採るのが極端に難しく設計されています。
そのため苦手教科の「ほとんどのお子さんが正解できる問題」を落としてしまうと、得意教科の「ほとんどのお子さんが正解できない問題」で正答を出す必要があります。
これが得意教科でカバーすることが難しい最大の理由です。
そのため、苦手教科の対策を夏休みに行うことが大事です。
苦手教科対策のポイントは、苦手教科の中にも「得意と思える単元」を2つ作ることから始めることです。
苦手な教科であっても、お子さんが理解できる単元は必ずあります。
そこで、比較的得意にできる単元を予めピックアップしておき、夏休み中に対策する時間を確保しておきましょう。
「え?算数苦手だと思ってたけど、これはできるな」とお子さんが、正しく勉強すれば理解できるという成功体験(喜び)を積み重ねていく事が大事です。
夏休み中に、このような苦手対策を行うことで、苦手意識を軽減することができ、苦手教科に対する学習モチベーションが上がります。
精神論のように聞こえるかもしれませんが、「やってもできない」という気持ちを解消してあげることが最重要で、これは実際に中学受験専門のプロの講師が指導時に実践しているノウハウの1つです。
苦手教科を完全に捨てるのではなく、「やればできる」という気持ちの転換が夏休み中にできるようにしてあげましょう。
4. 【塾別・学年別】学習の進め方と、必ず押さえておくべき夏期講習の重要単元
夏期講習は授業を受けるだけでなく、授業内容確実に理解できるように家庭学習でカバーすることが大事というのは前述の通りですが、夏期講習に取り扱う単元には理解が浅いと、2学期以降の授業が理解できない重要単元が集中します。
そこで、ここでは、塾別・学年別に特に押さえておきたい単元を紹介します。
4年生の夏期講習重要単元と学習の進め方
早稲アカ・四谷 | サピックス | 日能研 | 浜学園 | |
---|---|---|---|---|
算数 | ■約数 ■倍数 ■規則性 ■小数の和差積商 ■分数の和差積商 |
■約数 ■倍数 ■規則性 ■小数・分数(全員にとって大事) ■立体図形(難関校志望者) ■場合の数(難関校志望者) |
■平面図形の求積(面積と体積) ■平面図形の性質(主に角度) ■規則性 |
■計算の順序(四則混合計算) ■概数(四捨五入)とおよその数 ■小数と分数 ■曲線図形〜長さ〜 ■曲線図形〜面積〜 |
国語 | ■物語、小説 ■同音異字、同音異義語、同訓異字 ■慣用句、主語述語 |
■物語文(7回ある物語文の中で、登場人物の心情がとらえにくかったものを3つ選ぶ) ■同音異字・同音異義語・同訓異字・慣用句・主語・述語(語句の学習を優先する。) |
■文学的文章(物語・小説) ■同音異字、同音異義語、同訓異字、慣用句、主語・述語 |
■文学的文章(物語文・小説)① 詩の味わい方 ■文法の基本 |
理科 | ■星座の動き ■電気のはたらき ■太陽・月の動き ■季節と生物 |
■おりひめ星とひこ星 ■みかけで考えよう(星の動き) ■星座早見を使ってみよう! ■べんりな3点セット(支点、力点、作用点) ■つり合うって、何?(てこの釣り合い) ※ 上記から3つ |
■こん虫と節足動物 ■物の重さと体積、物の体積変化 ■水の三態変化 |
■太陽(太陽の動きを中心に)(年周運動と日周運動)(影の動き)(南中) ■星(恒星:金星を中心に)(大3角)(星の動き:北の空と南の空) |
社会 | ■地図の見方 ■北海道・東北地方 ■近畿地方 |
■北海道の旅 ■東北地方の旅 ■関東地方の旅 ■中部地方の旅 ■近畿地方の旅 ■中国地方の旅 ■四国地方の旅 ■九州地方の旅 ※上記から2つ選ぶ |
■日本の地形(主だった地名を覚える) ■都道府県と都市(県庁所在地を覚える) ■市区町村と政令指定都市 |
– |
4年生で特に注意していただきたいのが、算数の分数・小数を含んだ四則混合計算です。
実は既に4年生の現段階で、受験最後まで使用する計算に必要な力は習得済みです。
分数・小数を含んだ計算スピードを上げることは、算数はもちろん、理科にまで影響が出てきますので、夏休み中も計算力のトレーニングを続けてください。
問題文自体はまだまだレベルが高くないため、国語については、語彙力・漢字の力が読解力に直結します。漢字語句のトレーニングと音読をコツコツやることが国語力の礎になりますので夏期講習中も継続して、トレーニングを続けましょう。
5年生の夏期講習重要単元と学習の進め方
早稲アカ・四谷 | サピックス | 日能研 | 浜学園 | |
---|---|---|---|---|
算数 | ■比の表し方 ■比例式と逆比 ■相似 ■速さ ■底辺の比と面積比 ■物体をしずめる問題(図の書き方練習) ※ 青字はマスト |
■約数 ■倍数 ■規則性 ■立体図形(1)(2) ■比と割合(1)(2)(3)(4) ※ 比は全員。難関志望者は立体も。 |
■ 割合 ■数の性質 ■四則計算(小数と分数の入った物・逆算も) |
■比 ■整数 ■小数・分数の計算(逆算も) ■ 計算の工夫 ・文章題(比と割合) ※ 上記から最大2つ |
国語 | ■説明文、論説文 ■同音異字、同音異義語 ■類義語・対義語・敬語 ■随筆文 ※ 随筆文は、読解問題が得意な人だけ。 |
■説明文 ■同音異字、同音異義語 ■類義語・対義語・敬語 ※ 時間が無ければ語句の学習だけにする |
■説明文 ■随筆 ■同音異字、同音異義語 ■類義語、対義語、敬語 |
■説明的文章12(説明文・論説文) ■文法の基本 ※ どちらか1つ |
理科 | ■物の燃焼 ■電流と抵抗 ■気体 ■水溶液の濃さ ■実験器具 |
■天体の動き⑤⑥ ■大地の変化①②③~ ■物質の性質と変化④~ |
■太陽、星、月 ■気体 ■水溶液 ■物体の運動 ■ばね、てこ (難関志望者は、赤字が大事) |
■太陽系(太陽,月) ■宇宙(星) ■エネルギー(熱) ※ 上記から1つ |
社会 | ■九州 ■中国・四国 ■近畿 ■中部 ■関東 ■東北・北海道(2つ選んで学習) ■ 歴史へのいざない(歴史上の人物/時代・年代の区別、歴史学習の前に、全体を俯瞰する) |
■日本の第一次産業(1)(2) ■日本の工業(1)(2) |
■ 地方別地理 九州・中国・四国・近畿・中部・関東・東北の自然/産業(2つの地域を選んで学習) ■地形図 |
– |
5年生は中学受験算数の最大の山場である「比」を取り扱う段階に入ります。
比の単元を十分に理解するには、「割合」と「倍数・約数」の概念を理解していることは必須です。そのため、夏休みに入る前から「割合」と「倍数・約数」の復習には力を入れてください。
これは夏休みが始まったあとでも、講習までには必ず復習しておきたい単元です。
また社会は9月以降は歴史に入ります。
地理はしばらく扱わなくなりますが、「なぜ、そうなっているのか?」という因果関係を考えることは歴史にも重要になります。単純な丸暗記ではなく、どうしてその地域でその産業が栄えるのか?というレベルまで考えられるようにましょう。各地の産業のランキングは上位3位までを中心に覚えたいですが、その際には、必ず「なぜ、その地域で盛んなのか?」までを考えられるようにしていきましょう。
また歴史の授業が始まるまでに、「漫画日本の歴史」は最初から最後まで読んでおきましょう。
ぼんやりでも頭に入っている状態で2学期以降の授業を聞ければ、授業の理解は段違いになります。
6年生の夏期講習重要単元と学習の進め方
最難関志望 | 難関志望 | |
---|---|---|
算数 | 場合の数 規則性 速さ 立体図形 |
速さ 平面図形 規則性 比を使う文章題 |
国語 | 麻布や駒東志望者は物語文 他は物語文と説明文の記述問題が大切 |
志望校合わせ、記述問題・選択問題のどちらが多いかによって問題を選択 |
理科 | 志望校合わせ、記述問題・選択問題のどちらが多いかによって問題を選択 | 【男子・共学】力学・化学計算・電気 【女子】植物・動物・天体(の動き) |
社会 | 歴史(江戸~現代)公民事件や現象の因果関係を考察する問題を中心に。 | 資料の読み取り問題 (知識不足の項目は、重要な事だけを覚え直す) |
6年生は各塾で既に基礎知識の習得は終了しています。
夏休みは、習ってきた知識を使って、実際に問題を解く練習をする「演習力」を鍛える期間になります。なので、塾に関係なく重要単元は一緒になります。
やらなくてはいけないことが膨大なため、最難関志望と難関以下志望でやるべき問題を変えて絞り込みをかけましょう。
6年生の詳細は次項でも説明していきます。
5. 6年生の夏休み 過去問は始めるべき?6年生の夏期講習について
6年生の夏休みが近づくと急増するご相談に「そろそろ過去問を始めるべきでしょうか?」という質問があります。
結論から申しますと、過去問はまだやってはいけません。
過去問は早くても9月。基本的には10月から始めることを目標にしてください。
志望校合格にまだまだ届かないご家庭ほど、「過去問対策を早く始めて、何とか本番試験で得点できるようにしたい…」と考えられると思いますが、これには理由があります。
6年夏の目的は演習力の強化
わかりやすいように、夏期講習の塾カリキュラム目的を簡単に説明します。
6年生は7月までの段階で、受験に必要な基礎知識の習得が完了しました。
夏期講習では、これまで習得した知識を思い出しながら、実際に大量の問題を解くことで、問題を解く力(演習力)を鍛えていきます。
【塾カリキュラムの目的】
6年7月まで:基礎知識の習得
6年夏期講習:問題に慣れ、問題を解く力(演習力)を鍛える
6年9月以降:本番試験で確実に正答する力(得点力)を鍛える
といったように、塾のカリキュラムでは各機関で鍛える力が異なります。
演習力が育っていないお子さんに過去問は効果が薄い
6年生の夏休みに夏期講習を通して身につけていく演習力、つまりは1人である程度問題が解ける土台ができていて初めて、過去問対策は効果が出始めます。
そのため演習力を鍛えていないタイミングで過去問をやっても、出題傾向を暗記することはできても、ちょっとひねった問題が出されると、全く太刀打ちができなくなるのです。そのため演習力を鍛えることが不十分なまま、過去問対策を並行しても効果が期待できないのです。
基礎知識が不足していると夏の演習についていけない
つまりは、これまで習得してきた基礎知識の理解が甘いと、授業に出ても問題が解けず、授業内容がほとんど理解できないようになってきます。
「夏期講習の授業は総復習」と考えて、今わからないことは授業内で復習してもらえると考えてはいけません。
授業は「もう習った」ことを前提に進められるため、前回より解説は簡易的になり、かつ取り扱う内容は前回より高度なものになります。そのため基礎知識が抜けていると、演習力を鍛えることを目的にしている授業にはついていけなくなります。
簡単に説明すると下記のような感じです。
土台となる力が不足していると、中学受験に必要な力は育ちません。
お子さんが苦手なこと、理解が浅いことはご家庭主導の対策が必要となります。
この点を気をつけて夏期講習を受講することができれば、6年夏休みからでも成績を上げることは可能です。
6. 夏期講習についてよくある質問
小学校の宿題はやるべきですか?
小学校の宿題をやることは必須です。
夏期講習が忙しいため、小学校の宿題まで手が回りきらないというご相談があります。
結論としては、小学校の宿題をやることは必須です。
もちろん内申点の問題もありますが、小学校の宿題に手が回らないなら、塾の学習の取捨選択から見直すべきです。
理想としては7月中に宿題が終わるようにスケジュールをつくりましょう。< 小学校の宿題は、決まった時間に、勉強を当たり前として終わらせる基本です。 また自由研究については、理社を好きになる絶好の機会ですので、ぜひ取り組んでいただきたいです。
夏期講習でやるべきことが多すぎて、手が回りきりません
お子さんの学習習慣そのものを見直しましょう。
夏期講習の授業に加えて、個別に苦手対策までするとなると、どうしても課題が多すぎて、手が回りきらないということになります。
実際、毎年睡眠時間を削って、何とか夏期講習の宿題を全部終わらせている…というご家庭もあるくらいです。
その様な場合は、お子さんの学習習慣そのものを見直しましょう。
第一に塾の宿題は全部やる必要はありません。計算力などの基礎トレーニングを除いて、もう十分理解できていることや、今はどれだけ頑張っても理解できないハイレベルの問題に時間をかけても成績は伸びません。
大切なことは夏期講習の授業内容で理解が浅い部分で、簡単に理解できるようになりそうなことから順番に対処していくことです。
手が回りきらない…寝る時間が無い…という状態になったら、まず、今必要な勉強が何かを考え直すことが、中学受験の夏期講習を乗り越える秘訣です。
夏期講習に参加しているけど、子供が勉強をとにかく嫌がります
適度なお休みが取れているかどうかを見直してください。
こちらも非常に多いご相談なのですが、夏期講習の学習は多すぎて、お子さんが学習に対するモチベーションを失ってしまうことがあります。
そのような場合は、適度なお休みが取れているかどうかを見直してください。
4年生・5年生はお盆休みはしっかり取りましょう。旅行に行くのも非常にオススメです。
また午前中にある程度勉強を終えてしまって、午後は遊べる時間を確保してあげるというようなメリハリをつけることも効果的です。
特に学習に対するモチベーションが低下しているお子さんは、朝学習ができていないことが多いです。まずは朝勉強を終えれば、お昼はゆっくり過ごせるという習慣を作ってください。
【まとめ】夏期講習は講習内容を確実に理解できるように家庭のサポートが必須
以上、中学受験の夏休みの過ごし方と、夏期講習の対策方法についてまとめました。
夏期講習は本当に課題が集中し、小学生のお子さんがとても回しきれない量の課題が出されます。
そのため、今お子さんが理解できそうなことから、順に授業内容を理解できるようにご家庭主導で、授業内容の補足をしていくことが大切です。
予習・復習をバランスよく行い、ぜひ、夏休みを成績UPの機会に変えていきましょう。