中学受験の偏差値とは?偏差値の正しい受け止め方と、上げる方法 まとめ
中学受験において「偏差値」を気にならないという方は、まずいません。
ただ今目にしている「偏差値」がどういう意味を持っているのか?を正しく捉えないと、「偏差値」ばかりが気になって、正しい勉強ができなくなったり、お子さんにあった中学校を選択できなくなり、中学受験自体が失敗してしまうリスクが高くなっていきます。
そこで、この記事では中学受験の偏差値の仕組みから、お子さんの現在の「偏差値」 の捉え方、そして、お子さんの偏差値を上げるにはどうすれば良いのかまでを解説します。
目次
1. 中学受験の偏差値とは?中学受験の偏差値の目安
中学受験偏差値は、高校受験偏差値+20。中学受験の偏差値と高校受験偏差値の違いとは?
中学受験の偏差値の話題になると、「わざわざ受験したのに、偏差値50の中学校に行く意味なんてあるの?」と考える方は少なくありません。
特に親御さんが高校受験の経験者で、偏差値60以上の優秀な成績を修めている方は、このように考えてしまうことも珍しくありません。
1点強調したいのが、中学受験の偏差値は、高校・大学受験とは全く違うという点です。
2024年の中学受験者数は
関西:約1万7000人(中学受験者率10.17%)
関東:約5万2000人(中学受験者率18.12%)
となっています。
この数字からもわかるように、中学受験に挑戦するご家庭が増えているといっても、全体の2割に満たないくらいのお子さんが受験しており、関西に至っては1割程度となっています。
つまり同学年全体のお子さんの中でも、上位1割〜2割のお子さんの中で偏差値を測っていることになります。
(もちろん中学受験に挑戦しないお子さんにも優秀な子はたくさんいますが、中学受験のために人一倍勉強しているお子さんだけで競っているという意味です。)
そのため、中学受験の偏差値50とは、上位1〜2割の中での真ん中となります。
より多くのお子さんが受験する、高校受験・大学受験の「偏差値50」とは全く違う数字であることがわかるでしょう。
中学受験で偏差値50の中学校の「高校受験での偏差値」は、+15〜20高くなる傾向があります。これが、中学受験で難関下位〜中堅校と言われる学校が、高校受験では難関校になる理由です。
より、わかりやすいように、中学受験の偏差値を、どう見ればよいのか。
簡単に数字ごとに解説していきます。
※ 注意
下記は最も標準的な偏差値として、四谷大塚の偏差値を目安にしています。
各塾の偏差値が四谷大塚と比較して、どの程度違うのかについては、第2項の「なぜ塾によって偏差値が変わるのか?各塾の偏差値目」も合わせて参考にしてください。
中学受験の偏差値30台とは?
中学受験の偏差値30台は、中学受験者層では下位層といえます。
繰り返しになりますが、小学生全体で見た場合は低いわけではありません。
実際にお子さんが偏差値30台の成績を取ってしまったご家庭からは「うちの子本当に大丈夫でしょうか?」という質問もよくいただきます。
結論から申しますと、小学校の勉強についていけてるのであれば、塾の試験や模試の偏差値で30台が出ても、「学力」という観点でいえば、問題視することはありません。
ただ「中学受験に挑戦する」という観点からは、お子さんの成績と向き合わないといけません。
偏差値が30台になってしまうという原因は大きく2つあります。
A. そもそも勉強していない(授業に出ただけになっている)
B. お子さんが中学受験向きの性格ではない
という2つです。
A. そもそも勉強していない(授業に出ただけになっている)
偏差値が30台となってしまうと、
授業内容を理解できていないというより、授業を聞けていない。
宿題ができないというより、宿題を考えて解けていない。
ということになります。
過度な詰め込み学習や、テストのプレッシャーなどから、勉強に対するモチベーションが低下してしまっていて、そもそも勉強が手についていない可能性が高いです。
このような場合は、勉強量を増やしたり、やり方を変えたとしても、肝心のお子さんが勉強ができる状態ではないため、まずはやる気の回復から始めなくてはなりません。
学習量を減らし、今習っていることより簡単なことからやり直して、自信を取り戻すという作業が必要になってきます。
B. 中学受験より高校受験向きのお子さん
周りの子と比較して、精神的な成長が緩やかなお子さんで、そもそも中学受験には、あまり向いていない子も一部います。
成長が緩やかというのは、あくまで「中学受験」に対してであり、中学校以降で勉強に身が入るようになり、高校受験・大学受験の方が向いているという意味です。
決して「学力が低い」「学ぶ力がない」というような話しではなく、まだ「中学受験の勉強をするには、精神的成長が追いついていないだけ」という表現が正しいでしょう。
どちらのケースでもお伝えしたいのは、中学受験の偏差値で30台という場合は、「学力」に問題があると考えるのではなく、「気持ち・心」のケアをすることが大事だという点です。
中学受験の偏差値40台前半とは?
中学受験の偏差値40台は1つのボリュームゾーン(多くのお子さんが属すること)になります。
塾ごとの模試によって偏差値は変わりますので後半で詳しく説明しますが、サピックスや浜学園など偏差値が低くでやすい塾で、偏差値40台であれば、中学受験者層の中でも真ん中以上に位置すると考えて差し支えないです。
偏差値40台は、ある程度、塾カリキュラムの学習サイクルを回せていると言えます。
ただ、1つ1つの問題が理解できているというよりは、「まじめに繰り返しやっていて、暗記に頼っている部分が多い」ともいえます。
「なぜ、そうなるのか?」と仕組みを理解する勉強ができるようになれば、今後偏差値のUPが期待できます。
中学受験の偏差値40台が決して悪い成績でないことは、四谷大塚の偏差値で40台の学校を見てみると、はっきりとわかります。
下記は四谷大塚の偏差値40台の学校の例です。
偏差値40台の学校例:獨協・実践女子・駒込・順天・目黒日大・穎明館・桜美林・佼成学園・宝仙学園・跡見学園・光塩女子学院
そもそも難関校を志望校として想定していないご家庭であれば(特に地方受験など)、偏差値40台でも十分な例も多く、短絡的に「平均以下」と考えないことが、お子さんのやる気と成績をあげていくポイントです。
中学受験の偏差値40台後半〜50台前半とは?
中学受験で偏差値50のラインを超えることは、1つ大きな目標です。
中学受験で、偏差値50のラインを維持し、最終的に偏差値50以上で受験を終了することが大きな意味を持つからです。
目安として、偏差値50というのは、膨大な中学受験カリキュラムについていくことができ、基本的なことは理解できていて、応用問題までの理解はもう一歩。と考えるとわかりやすいです。
中学受験の学習をしっかり回せているという経験は、中学以降、高校はもちろん大学受験までお子さん1人で学習ができる習慣を身につけることにつながります。
中学受験カリキュラムには、SPIなどの就職試験で使われる知識も多分に含まれるため、偏差値50ラインを超えて中学受験を終えることができたご家庭は、一生涯にわたり使える知識・学習習慣をつけることができたことになり、多くのご家庭が「中学受験に挑戦して良かった」と思えるラインになります。
志望校の選択肢にも人気かつ、進学実績の高い進学校が増えてきます。
参考までに、四谷大塚偏差値で50ラインの学校の例は下記となります。
偏差値50台の学校例:城北・巣鴨・法政大学・東京都市大附属等々力・芝浦工大附属・高輪・帝京大学・成城学園・かえつ有明・成蹊・山手学院・横浜雙葉・品川女子学院・田園調布学園・共立女子・国学院久我山・立命館・同志社・関西学院・帝塚山・大阪桐蔭・清風
中学受験の偏差値50台後半〜と60台前半とは?
中学受験で偏差値50台後半、特に60を超えると、中学受験者層の中でもトップクラス。
各塾の発表する偏差値にもいわゆる「難関校」が並び始めます。
そのため、塾毎の「志望校別特訓」に個別のコースができるラインが偏差値60以上とも、いわれています。
参考までに、四谷大塚偏差値で60ラインの学校の例は下記となります。
偏差値50台後半〜60台前半の学校例:芝・早実・慶応(普通部)・フェリス・吉祥女子・大阪星光・神戸女学院・洛星・四天王寺・清風南海・白陵・高槻
中学受験の偏差値65以上とは?
偏差値65以上は、中学受験者の最上位層になります。
開成・御三家・灘などの最難関校に挑戦できる目安になるラインですが、そもそも最難関校の受験問題のレベル・クセにバラツキがあるので、最難関校に確実に合格するには、偏差値65以上のラインを超えた上に、各学校の受験問題を個別に対策する必要があります。
参考までに、四谷大塚偏差値で65以上の学校の例は下記となります。
偏差値65以上の学校例:開成・麻布・武蔵・桜蔭・女子学院・雙葉・栄光学園・聖光学院・灘・東大寺・西大和・東大寺学園
2. なぜ塾によって偏差値が変わるのか?各塾の偏差値目安
中学受験では特に、大手進学塾ごとに、偏差値が大きく違うこともあり、「今の偏差値で志望校に合格できるのか、よくわからない」と思われる方も少なくありません。
そこで、ここでは、塾によってどうして偏差値にズレが出るのか?ということから、各塾の偏差値をどのように受け止めればいいのか?その目安についても解説していきます
なぜ塾によって偏差値が変わるのか?
大手進学塾の開催する模試ごとに偏差値にバラツキがでるのはなぜなのか?
サピックス・四谷大塚・日能研・早稲田アカデミー・浜学園・馬渕教室・グノーブル…
大手の進学塾は皆、最難関校合格の実績を持っていて、どこの塾も中学受験に挑戦するご家庭を広く集めているのに、模試の偏差値の数値に、どうして大きな差が出るのか?
その答えは単純です。
各塾ごとに通っているお子さんの特徴・性質に、どうしても偏りが出てしまうからです。
各塾ごとに、どのような特徴があり、他塾と比較した際に偏差値をどのように見ればよいのか?
その目安を下記にまとめます。
四谷大塚偏差値
四谷大塚は中学受験の偏差値を、最も正確に出せているといっても過言ではありません。
準拠塾も合わせて、日本全国の中学受験者が一斉に試験を受けるため、とにかく受験者のデータが多いのが特徴です。
そのため、地方の中学校から、首都圏・関西圏の最難関校・人気校まで、あらゆる学校の志望者データが取れるため、中学受験者全体の志望校・人気校データをもとに、偏差値を算出しています。
そのため、お子さんが、どんな中学校を受けるにしても、偏りが少なく、信頼のできる合格判定データを見ることができるのが特徴です。
下記は、四谷大塚偏差値で各中学校の偏差値例です。
四谷大塚の中学校偏差値例(2024年)
関東(共学) | 関東(男子) | 関東(女子) | |
---|---|---|---|
偏差値40台 | 駒込(44) 順天(44)目黒日本大学(44)穎明館(44)桜美林(43)宝仙学園(42)佼成学園(41) | 獨協(49) | 跡見学園(43)光塩女子学院(43)実践女子(46) |
偏差値50台 | 芝浦工業大学附属(55) 法政大学(56) 東京都市大学等々力(56) 帝京大学(52) かえつ有明(52) 山手学院(52) 成城学園(51) 成蹊(女子55 男子 50) 国学院大学久我山(50) | 城北(55) 巣鴨(55) 高輪(53) | 横浜雙葉(53) 品川女子学院(53)田園調布学園(52) 共立女子(51) |
偏差値60台 | 早稲田実業(男子 64) | 芝(60) 慶應義塾普通部(64) | フェリス女学院(64) 吉祥女子(64) |
偏差値65以上 | 早稲田実業(女子 68) | 開成(71) 麻布(66) 武蔵(65) | 桜蔭(71) 女子学院(69) 雙葉(67) |
※ 初日の受験を基本にし、共学校は男女で誤差あり。より詳細なデータは下記のページも合わせてご参考ください。
四谷大塚の各中学校偏差値の詳細を見る(https://www.yotsuyaotsuka.com/njc/deviation_top.php)
以降、この記事ではわかりやすく、四谷大塚を基準にして、各塾の偏差値が±どれくらいの開きがあるのかを解説していきます。
早稲田アカデミー偏差値(四谷大塚偏差値と同じ)
早稲田アカデミーは、四谷大塚のカリキュラム・模試をベースにしているため、早稲アカの偏差値は四谷大塚に完全準拠となります。
偏差値例も四谷大塚のものを参考にしてください。
日能研偏差値(四谷大塚偏差値+5が目安)
日能研も四谷大塚と同じく、全国で幅広い受験者を揃えているため、首都圏・関西圏の難関校から
地方の中学校まで幅広く偏差値データを提供しています。
ただ、四谷大塚と比較すると、最難関・難関上位校に挑戦するお子さんが少し少なく、上位層の受験者データが四谷大塚に比較すると少なくなっています。
そのため、偏差値としては四谷大塚の偏差値より、日能研偏差値のほうが少し高め(+5程度)になる傾向があります。
日能研の中学校偏差値例(2024年)
関東(共学) | 関東(男子) | 関東(女子) | 関西 | |
---|---|---|---|---|
偏差値40台 | 駒込(49) 順天(49) 穎明館(45)桜美林(48) 宝仙学園(43) 佼成学園(44) | – | 跡見学園(44) 光塩女子学院(42) 実践女子(45) | 同志社(48) |
偏差値50台 | 目黒日本大学(50) 芝浦工業大学附属(55) 法政大学(56)東京都市大学等々力(54) 帝京大(51)かえつ有明(50) 山手学院(51) 成城学園(53) 成蹊(男子50 女子51) 国学院大学久我山(50) | 獨協(55) 城北(57) 巣鴨(55)高輪(55) | 横浜雙葉(52) 品川女子学院(51)田園調布学園(52) 共立女子(51) | 高槻(59) 清風南海(57) 白陵(56) 立命館(53) 帝塚山(53) 関西学院(50) 清風(49) 大阪桐蔭(47) |
偏差値60台 | 早稲田実業(男子 64) | 芝(61) 慶應義塾普通部(66) | フェリス女学院(62) 吉祥女子(62) | 四天王寺(64) 洛南(64) 大阪星光(63) 須磨学園(62) 神戸女学院(61) 洛星(60) |
偏差値65以上 | 早稲田実業(女子 67) | 開成(72) 麻布(67) 武蔵(67) | 桜蔭(69) 女子学院(67) 雙葉(65) | 灘(71) 東大寺(67) 西大和学園(67) 向陽学院(66) |
日能研の各中学校偏差値の詳細を見る(https://www.nichinoken.co.jp/np5/schoolinfo/r4/expectr4.html )
サピックス偏差値(四谷大塚偏差値−5〜10が目安)
サピックスの偏差値は、中学受験模試の中でも、最も低く出ることが有名です。
これは、サピックスは最難関校・難関校向けの進学塾と認識されていることから、もともと志望校のレベルの高いお子さんが入塾していることに加え、カリキュラムの進度・量ともに早く、中学受験の大手進学塾の中でも、成績上位層が多く所属していることに起因します。
難関校以上の学校を志望しているお子さんが集中しているため、最難関校・難関校の学校のデータは揃っているのですが、反面、それ以外の学校、特に併願校として選択される学校の偏差値・合格率データについては、データ不足は否めません。
具体的には、地方の学校のデータが少なすぎて、極端に高い偏差値がついていたりすることがあります。
首都圏で最難関・難関校・人気校を受験する場合は、サピックスの偏差値は信用できますが、それ以外の学校を希望される場合は、他塾の模試の活用も視野にいれましょう。
中学受験の進学塾の中でも、特に上位層が集中する塾ですので、サピックスの偏差値は他塾に比べると、低めになります。
四谷大塚偏差値と比較すると、かなり低め(−5〜10)になる傾向があります。
そのため、サピックス偏差値で45以上を取れているお子さんは、中学受験者全体でみれば、平均以上といえます。
サピックスの中学校偏差値例
関東(共学) | 関東(男子) | 関東(女子) | |
---|---|---|---|
偏差値50台 | 早稲田実業(男子 57) | 武蔵(59) 芝(58) 慶應義塾普通部(58) | 雙葉(58) 吉祥女子(55) フェリス女学院中学校(53) |
偏差値60台 | 早稲田実業(女子 60) | 麻布(61) | 慶應義塾中等部(64) 桜蔭(62) |
偏差値65以上 | 聖光学院(66) 渋谷教育学園幕張(65) | 開成(68) | – |
サピックス偏差値(男子)(https://resemom.jp/pages/sapix/202504/men.html)
サピックス偏差値(女子)(https://resemom.jp/pages/sapix/202504/women.html
※ サピックスは公式が外部向けに偏差値を公開していませんので、毎年更新されている「リセマム」のデータを御覧ください。サピックス偏差値50までの人気校が掲載されています。
浜学園偏差値(日能研偏差値−10が目安)
浜学園も最難関校・難関校向けの塾のため、成績上位層が多く集まる塾になります。
そのためやはり模試の偏差値は他塾と比較して「低め」に出る傾向があります。
浜学園の偏差値の目安としては、日能研関西の偏差値より10程度低い数値が出ます。
浜学園の中学校偏差値例
関西(共学) | 関西(男子) | 関西(女子) | |
---|---|---|---|
偏差値50台 | 白陵後期 (59) 洛南(58) 高槻(57) | 大阪星光(59) 洛星(56)六甲(55) 清風(55) | 神戸女子(58) 四天王寺(57) 神戸海星女子(57) |
偏差値60台 | 西大和学園(60) | 灘(64) 東大寺(61) | – |
※ 浜学園の偏差値は、内部生向け及び、説明会参加者のみに公開されています。
参考データ
浜学園偏差値(男子)(https://resemom.jp/feature/hamagakuen2020_men/)
浜学園偏差値(女子)(https://resemom.jp/feature/hamagakuen2020_women/)
希学園の偏差値(日能研偏差値−10が目安)
希学園も最難関・難関向けのため、成績上位者が多く集まります。
そのため浜学園と同じく、模試の偏差値は他塾と比較して「低め」に出る傾向があります。
希学園の偏差値の目安としては、日能研関西の偏差値より10程度低い数値が出ます。
馬渕教室偏差値(日能研偏差値-5が目安)
馬渕教室はもともと、特に奈良の難関校に強いという特徴があり、近年浜学園に続いて最難関に強い塾を目指しているため、受講者に成績上位者が増えている傾向が見られます。
現段階ではどちらかというと、日能研や四谷大塚などの「広く全体に対して強い塾・難関校以上は浜学園に軍配があがる」といったところでしょうか。
そのため日能研偏差値より少し低め(-5程度)の偏差値が出る傾向があります。
【関東】首都圏模試偏差値(四谷大塚+10が目安)
首都圏模試は、高校受験ほど広くはありませんが、模試を実施していない塾に通っているお子さんを中心に、広く実施されている模試になります。
大手進学塾は独自の模試を開催していますので、その受験者がすっぽり抜けた受験になってしまう点は注意が必要です。
実際に人気校、特に難関校以上は、全て「偏差値65以上」と一括りにされてしまい、最難関校・難関校の受験データが不足していることが見て取れます。
その一方で、地域に根付いた地元の人気校などのデータは四谷大塚より正確なデータが出ますので、首都圏の中でも地元の人気校を受験される方には、最も信頼できる偏差値データが出るテストともいえます。
日能研の中学校偏差値例(2024年)
関東(共学) | 関東(男子) | 関東(女子) | |
---|---|---|---|
偏差値40台 | 宝仙学園(49) | – | – |
偏差値50台 | 順天(58) 目黒日本大学(55) 駒込(53) 穎明館(55) 佼成学園(55) 桜美林(54) | – | 跡見学園(52) 光塩女子学院(55) 実践女子(55) |
偏差値60台 | 芝浦工業大学附属(67) 法政大学(67) かえつ(62) 東京都市大学等々力(64) 国学院大学久我山(64) 山手学院(64) 帝京大学(63) 成蹊(男子63 女子67) 成城学園(62) | 城北(67) 巣鴨(66)高輪(64) 獨協(60) | 横浜雙葉(65) 共立女子(63) 品川女子学院(62) 田園調布学園(62) |
偏差値70以上 | 早稲田実業(男子 74 女子75) | 開成(78) 麻布(76) 武蔵(74) 慶應義塾普通部(73) 芝(70) | 桜蔭(78) 女子学院(76) 雙葉(75) フェリス女学院(73)吉祥女子(73) |
首都圏模試の各中学校偏差値の詳細を見る(https://www.syutoken-mosi.co.jp/application/hensachi/)
【関西】五ツ木・駸々堂 中学進学学力テスト会 偏差値
五ツ木・駸々堂 中学進学学力テスト会も、関西圏で幅広く実施されている模試になります。
こちらも、独自の模試を実施していない塾に通っているお子さんを中心に、共通試験として広く受講されるテストになります。
そのためやはり難関校の偏差値データは少し不足気味で、反対に地域の人気校の偏差値データは、大手進学塾より正確な数値が出る傾向があります。
3. 80%偏差値って何?偏差値と志望校合格率の関係性とは?
志望校に合格できるかどうかは、「80%偏差値」が合格ラインですか?という質問もよくいただきます。
ここでは、「80%偏差値とは何か?どれくらい気にすればよいのか?」ということについて解説します。
80%偏差値・Aライン偏差値とは?
80%偏差値とは「ある中学校に80%の確率で合格できる」という意味です。
日能研ではR4偏差値、四谷大塚ではAライン偏差値ともいわれる数字ですね。
「その偏差値の過去の受験者100人を追跡調査した結果、80人が合格している偏差値」という計測をしています。
6年11月で50%偏差値(Cライン・R3偏差値)付近が合格可能性アリ
80%偏差値(Aライン偏差値)を達成できることに越したことはありませんが、80%偏差値に届いていないからといって、志望校を変更する必要はありません。
目安としては6年の11月のテストで、50%偏差値(Cライン偏差値・R3偏差値)の付近にいれば、十分合格の可能性はあります。
「その偏差値の受験者100人を追跡調査した結果、半分の50人が受かっている」といわれるとわかりやすいと思います。
4. 偏差値の高さ = 学校の質の高さなの?
中学受験に挑戦するご家庭が必ず1度は、「偏差値が高い学校ほど、良い学校なの?」と疑問に思われます。
結論から申しますと、「偏差値が高いからといって、良い学校」とは断言できません。
これにはいくつか理由があります。
中学受験の偏差値50の学校は高校受験で偏差値70に
先にも解説しましたが、中学受験に挑戦するお子さんは、同学年全体の1割〜2割程度です。
その中で模試や試験を行い、偏差値を計測しているわけですから、中学受験の「偏差値50」は平均を示しているわけではなく、中学受験に挑戦する上位層の中で真ん中にいるという意味に過ぎません。
このように考えると、同学年のお子さん全体からみると、中学受験の偏差値50は非常に優秀な位置にいると言えます。
つまり偏差値40〜偏差値70まで、どの学校を選んでも、ある程度は優秀な学校であるともいえます。
実際に中学受験で偏差値50の学校でも、高校受験で入学しようとすると偏差値70になるくらいです。
その観点からすると、そもそも「偏差値が低いから、この中学校は良くない」という理論はあてはまらないのです。
中学校の偏差値は「人気」のバロメーター。良い学校の基準はお子さんに合うかどうかが大事
そのため、偏差値だけで学校の良さは測れません。
どちらかというと「偏差値が高い学校」というのは、多くの受験者から「人気が高い」と考えてください。
そうなると、多くの方から人気が高いということは、「当然良い学校である」とも言えるのですが、最も大切なことは「偏差値の高さ」ではなく、「その中学校に通ってお子さんはどうなれるのか?」です。
せっかく中学受験で、偏差値の高い、良い学校に入れたとしても、お子さんがその学校での生活を楽しみにながら、将来に向けてしっかり勉強ができる環境でなければ、中学受験をした意味がなくなってしまいます。
お子さんの偏差値が高いということは、選択できる学校の選択肢が増えるということです。
お子さんに合った本当に良い学校はどこなのか?を、その選択肢の中から選び抜くことが何より大事です。
5. 「偏差値」の意識が成績が伸び悩む理由にも…塾の偏差値は、どの程度気にすべきか?
ここまで中学受験の偏差値が、実際にはどのような意味を持つ数値なのかを解説していきました。
ここからは、そんな中学受験の偏差値をどの程度気にすればよいのか?偏差値をどう受け止めればよいのかについて解説します。
【大前提】偏差値を見てても成績は上がらない
毎回のテスト結果をみて、偏差値が低いとどうしても「まだまだ志望校に届いていない・・・・」と、お父さん・お母さんは気になってしまうと思います。
時には「こんな成績じゃだめでしょ!もっと勉強しなさい。」とお子さんを叱ってしまうこともあるでしょう。
ただ、中学受験を専門にしているプロ講師の意見としては、4年生・5年生の段階で偏差値を過度に気にしてしまうことこそ、成績が上がらなくなる原因と言えます。
偏差値が気になってしまい、「次のテストで偏差値50以上取らないと怒られる」といったようにお子さんにプレッシャーをかけても、成績は上がらないどころか、焦りからミスが生まれるだけで、かえって逆効果になってしまいます。
そのため、思ったように偏差値が伸びないときは、まずは何よりお子さんの精神面のケアが大事です。
偏差値は、これからの勉強の「指針」と考える
一方で、お子さんがテストの結果を全く気にしないで勉強に力が入らないことも問題ですので、現実的な範囲で「偏差値」を一定の目標として「利用」することをオススメします。
偏差値とは、中学受験を目指す子供の中で、お子さんがどれくらいの位置にいるのかを可視化する数字に過ぎません。
最も大切なことは、中学受験の最後の試験で、合格基準点を満たすこと。
つまりは6年生の11月段階で志望校に挑戦できるだけの位置まで成績を伸ばすことが大事です。
そのため、4年生・5年生の段階から、今すぐに、それこそ来月のテストで、志望校の偏差値まで伸ばさないといけないと、到底実現不可能なことを目標にしても、お子さんが「どうせできっこない」と疲れてしまうだけになってしまいます。
偏差値の受け止め方で大事なことは、現状と志望校の差を親御さんが正しく把握し、どうしたら本番試験までに間に合うのか?お子さんにとって実現可能な計画を立てることになります。
6. 中学受験で偏差値を上げるには?
最後に、中学受験の偏差値を上げるには、どうすればよいのか?について解説します。
【1】次回のテストで偏差値5UPを目処に計画を立てる
ご家庭でお子さんの偏差値を伸ばすための方法として、まず初めに、「次回のテストで、1教科だけ偏差値5UP」を狙う目標を立ててください。
偏差値5UPと聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、正答数にして2〜3問正解できる問題が増えれば、偏差値5UPは十分狙えます。
このように考えると、お子さんでも「現実的」と思えるようになってきます。
注意していただきたいのは、まずは1教科目標を立てるという点です。
得意教科から始めてもよいですし、苦手教科から挑戦してみてもよいです。
大切なことは、「あれもこれも全部やりなさい!」と一気に全部やろうとしないことになります。
普段の勉強の延長線上で、勉強量を増やすのではなく、お子さんへの負担をかけずに、実現可能な学習計画が必要になります。
【2】次回のテストで正答を伸ばす分野を絞り込む
1ヶ月後のテストで偏差値5UPを狙うことは現実的な話であることは伝わったと思います。
とはいっても、誰もが達成できるわけではありません。
大切なことは次のテストで、「何を確実に正答できるようにするのか?」を絞り込むことです。
全部の問題が解けることに越したことはありませんが、確実に点数を伸ばすために、どの問題が解けるようになればいいのか?を考えて重点的に対策をしましょう。
特に特典が取りやすいのは、お子さんの偏差値と同じくらいの周りのお子さんが正答できているのに、うちの子だけが正答できてない問題が得点源にしやすいです。
具体的には過去のテストの正答率を見て、(100ー自分の偏差値)%以上の正答率でまちがってしまった問題は、すぐに得点源に変えやすいと言えます。(お子さんと同レベルの子の大半が正答している問題だからです。)
【3】わからない理由を正しく解消してあげる
問題を絞り込むといっても、類題をお子さんにひたすら解かせるような勉強方法では効果は期待できません。
むやみに暗記するだけでは、「家であんなに頑張ったのに、テスト本番になると正解できない」という状態からは、どうしても脱却できないからです。
重点的に対策する問題が決まったら、まずお子さんが、
「その問題の何が理解できて来ないのか?」
「どこでわからなくなっているか?」
に注目してください。
それこそが、次回のテストで正答できるようになる核となる勉強のポイントになります。
以上3つの点に気をつけて対策をするだけでも、中学受験の偏差値は十分伸ばすことが可能です。
まとめ
以上、中学受験の偏差値は、どんな数字でどのように受け止めることが大事なのかをまとめました。
中学受験の偏差値は、中学受験者全体の中で、お子さんは現在どれくらいのところにいるのかが明確になる数値に過ぎません。
そのため、大切なことは「偏差値を伸ばす」ことではありません。
お子さんの志望校合格のために、現状の位置から、志望校合格までに必要なアクションを、テスト結果を受けて、偏差値を目にするたびに、毎回明確にしていくことです。
偏差値を気にするのではなく、「志望校合格のために、お子さんが今できていないこと・足りていないこと」は何かをテストの度に特定し、毎月ていねいに対策を行い、お子さん任せにして、問題を解けるだけ解くような勉強ではなく、1回のやり直しで「どうすれば解けるのか?」まで、しっかり理解する勉強方法が求められます。
偏差値ばかりに気を取られず、このような丁寧な勉強ができれば、中学受験の偏差値は自然と伸びていくようになります。