中学受験の成功と失敗とは 第一志望校に合格したら成功?
2年、3年、長い場合だとそれ以上の受験勉強期間を経て臨む、中学受験。
できればお子さんにも親御さんにも、受験してよかった、させてよかったという経験にしてほしいですが、そもそも「中学受験の成功・失敗」とはどんなことでしょうか。
今回は、そんな中学受験の「成功」「失敗」とは何かを考えてみたいと思います。
第一志望校に合格できれば成功?
子どもたちが一生懸命受験勉強に取り組んできたのも、親御さんがそれをサポートしてきたのも、なにより志望校合格という目標に向かってのこと。
もちろん第一志望校に合格できればいいのですが、1回勝負の入試、当日ベストコンディションとも限りませんね。
考えたくはないですが、どんなに「確実」と言われている子でも、不合格という結果になることはあります。
もちろん、多くのお子さんは一校だけを受験するのではなく、併願校を数校受験し、合格した学校の中から進学先を選ぶことになります。
では、第一志望校に合格できれば中学受験は成功で、併願校にしか合格できなかった子の受験は失敗だったのでしょうか?
私はこれまで数千というご家庭の中学受験のお手伝いをしてきましたが、第一志望校の合否と受験の成功、失敗は、関係はあるものの「イコール」ではないと思っています。
中学受験を成功させるご家庭の共通点
では、中学受験の成功とは何かを考えてみると、およそ以下のような状態なら成功と呼べるのではないかと思うのです。
- ① 親子とも「中学受験をしてよかった」と思える
- ② 進学先は、我が子を6年通わせる学校としてふさわしいと感じている
- ③ 中学受験を通して親子とも成長したと感じられる
- ④ 子どもが、中学以降もがんばろうという前向きな気持になっている
- ⑤ 中学受験を通して学習習慣がついたと感じている
塾に通い、がんばって勉強して中学受験を終えた多くのお子さんが、上記のようなことを感じていると思います。
中学受験の勉強は、学校の勉強とはかけ離れています。そんな難度の高い内容の勉強を、何年も、しかもかなりの量やってきたわけですから、お子さんには学ぶ力や相当の学習習慣もついているし、「これだけやった」という自負もあるでしょう。
それでも、もしも第一志望校が不合格という結果になれば、少なからずお子さんの気持ちは挫かれるものです。
中学受験を成功させるご家庭は、そのような「もしもの場合」にもお子さんが前向きでいられる、立ち直れる雰囲気があるのです。
それは、どの受験校に進学することになっても、上記の②を親子ともに感じているということです。
そのために、ふだんから第一志望校以外の学校の情報に触れ、その良さを親子で共有しているのです。
その意味では、中学受験を成功させるご家庭は併願校選びも入念です。
併願校を「滑り止め」と呼んではいけない
受験ではよく「滑り止め」という言葉が使われます。
もしも本命の学校が不合格だった場合の「安全策」という意味ですが、私はこの言葉は使わないようにしています。
「第一志望校が不合格だったので、不本意にもこの学校に行く」といったイメージをちょっとでもお子さん、親御さんに持ってほしくないからです。
第一志望校もその他の学校も、選んだのには理由があり、その学校なりの良さがあるはずです。
逆に言えば、受験校すべての魅力をしっかり吟味した上で受験計画を立てることがとても大切ということです。
その意味では、親が「○○中学校に合格できなかったら受験勉強してきた意味がなくなる」といった視野の狭い状態になるのがもっとも危険です。
いちばん良くないのは、子どもの受験結果に親が落ち込んだり傷つくこと。
自分の不合格で親が打ちひしがれる姿を見ることほど、お子さんを傷つけることはありません。
多感な時期のお子さんを最低6年間通わせることになる学校。
いろいろな面から光を当てて、その魅力や校風など、しっかり情報を集めてお子さんに伝えていってあげたいですね。