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中学受験のじゃまになる「親の先入観」とは。知っておくべき受験の基礎知識と入試問題の傾向

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公開: 最終更新日:2021年07月21日

中学受験を考えるとき、「昔はこうだったのに」という親の先入観や思い込みでなく、まずは現在の中学受験について知ることが大切です。
学校選びと入試問題を例にあげてご説明します。

「中学受験の難関校」は今と昔で異なる

子どもに中学受験をさせてみようと考えて、まず思い浮かぶのは「どこの中学校に入れたらいいのか」ということではないでしょうか。

難関校の代名詞といえば、関東なら開成中学、麻布中学、武蔵中学の「男子御三家」。中高一貫校で東大など難関大学への進学率も高い学校です。
女子なら桜蔭中学、女子学院中学、雙葉中学が「女子御三家」とよばれています。

関西なら、灘中学、東大寺学園中学、洛南中学、女子は神戸女学院中学などです。
偏差値でいうと65〜72でしょうか。しかし、偏差値60〜65になると、昔はあまり難関校というイメージではなかったような学校もたくさんあります。
ご自身が中学校だった当時の難関校と、現在の難関校が大きく変わっているということを、まずは頭に入れておいてください。

都市と地方でも事情がちがう

さらに、地方出身の親御さんなら「中学受験」という考えにすら戸惑うこともあるかもしれません。
中学受験は、東京や大阪など都市だけの現象で、地方ではあまり聞きなれなかった言葉だと思います。
なぜ、わざわざ私立中学を受験するのか、公立ではだめなのか、わからない方がいて当然かもしれません。

中学受験について知りたいと思ったら、まずは、自分たちが中学生だった当時の記憶や、自分たちが育った地方での事情は、今とはまったく異なるということを知っておきましょう。
先入観だけで「昔はこうだった」と決めつけず、その中学校の現在について調べてみることが必要です。

偏差値は、志望校を決めるときの大きな目安になりますが、それだけで志望校を決めるのではなく、学校の方針や校風をよく知るようにしてください。

入試傾向を知ることも必要

さらに、「中学受験ではどんな問題が出題されるか」を親が知っておくことも大切です。
難しいといわれても、なにがどう難しいのか、実際の入試問題を知らなければ想像もつかないでしょう。
もしかしたら「中学受験といっても子ども向けなので、大人が本気を出したら解けるし、自分で子どもに教えられる」と思っている方もいるかもしれません。
でも、本当にそうなのでしょうか。

今回はひとつの例として、2013年麻布中学の入試問題をご紹介します。
関東の御三家のひとつ、麻布中学校の入試問題はユニークで難易度が高いことで知られています。

麻布中学校の理科の入試問題

まず、解答は選択式ではなく記述式です。
理科といえばたくさんの用語を暗記して…というイメージをお持ちの親御さんもいるかと思いますが、この問題は暗記だけでは解くことができません。

  • 質問:99年後に誕生する予定のネコ型ロボット「ドラえもん」。この「ドラえもん」が優れた技術で作られていても、生物として認められることはありません。それはなぜですか。理由を答えなさい。

この問題は「大問2」の「問7」として出題されたもので、「大問2」の問題文にヒントがあります。
そこには、生物について「生きているという状態」について文章で説明されていて、その共通点には3つの特徴があると論じられています。

  • 特徴A:自分と外界とを区別する境目をもつ。
  • 特徴B:自身が成長したり、子をつくったりする。
  • 特徴C:エネルギーをたくわえたり、使ったりするしくみをもっている。

「この3つの特徴をすべて満たしたものを生物という」という論述をちゃんと読み取れていれば、それをもとにドラえもんが生物として認められない理由を記述することができます。
特徴Bがあてはまらないからです。

正解例としては「ドラえもんは、自ら成長したり、子孫をつくったりすることができないので生物とは認められない」「ドラえもんは問題文中の特徴Bを満たしていないので生物とは認められない」となります。

中学受験には独特の経験が必要

この入試問題に求められているのは、理科の知識よりも論理的思考や読解力。
すべての中学でこんな問題が出るわけではないですが、近年、中学受験には知識だけでなく、読書や社会的な経験とそこから得られる身体感覚が求められることがあります。

中学受験に挑戦する場合は、まずは親の先入観を捨てて、新しい情報や価値観を知ることが必要です。
そのことを意識したうえで、子どもが4年生のころには志望校とその入試傾向について正しい情報を親が得ておくことが大切なことではないでしょうか。

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