中学受験 中高一貫校にはどんなものがある?その選び方は?
中学受験において、人気のとどまらない”中高一貫校”。
「興味はあるけれど、タイプや実施形態が色々あって、よく分からない・・・・・・」
「学費はどうなの?」「大学受験に有利なの?」
今日は、そんな”中高一貫校”の気になるタイプや実施形態、そのメリット・デメリットについてお話しします。
1. 中高一貫校とは?
いきなりですが、ひとくちに中高一貫校といっても、その実施形態やタイプには様々な種類があります。
また、正確には、「中高一貫校」と「中高一貫教育学校」の2つのくくりがあることを確認しておきましょう。
中高一貫校
・・・私立などで「私学の独自性」に基づき、中高を一体で運営している形態。
中高一貫教育学校
・・・日本の「中高一貫教育制度」に基づいた形態。
※「中高一貫教育校」の場合、6年一貫で教育を行う「中等教育学校」の前期課程・後期課程の内容は入れ替えが可能です。
また、「併設型中学校・高校」でも、中高の内容は入れ替えが可能です。
これらは教育課程の特例として認められており、「連携型」中学・高校には認められていません。※これら3つのタイプの違いについては、以下で詳しく説明します。
ただし、この2つのくくりを意識しなければならないのは、ルールにのっとってカリキュラムを組まなければならない学校側であって、受験生の皆さんにとっては、「中高一貫校」か「中高一貫教育校」か、ということはたいした問題ではありません。
ここでは、ひとくくりに「中高一貫校」として、話を進めて行きましょう。
(1)中高一貫校は、「一人一人の能力・適性に応じた教育を進めるため」導入された
そもそも、中高一貫教育制度はなぜ導入されたのでしょう?
文部科学省のホームページには、以下のように示されています。
心身の成長や変化の著しい多感な時期にある中等教育において,一人一人の能力・適性に応じた教育を進めるため,中学校教育と高等学校教育を6年間一貫して行うことについて,考えられるその利点や問題点を挙げつつ,大きな幾つかの利点を持つ中高一貫教育を享受する機会を,子どもたちにより広く提供することが望ましく,中高一貫教育を導入することが適当であるとの結論に達しました。
(中略)
子どもたちや保護者などの選択の幅を広げ,学校制度の複線化構造を進める観点から,中学校と高等学校の6年間を接続し,6年間の学校生活の中で計画的・継続的な教育課程を展開することにより,生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的として,中高一貫教育制度が平成11年度から選択的に導入されました。
(文部化学省ホームページより)
(2)中高一貫校は、どれくらいあるの?
中高一貫校は、2005年の時点では国公私立合わせて約170校でした。
そこから、たった2年で約260校に増え、2013年の時点では、なんと約440校が設置されるほどになりました。今後も、その設置数は増えていくと考えられています。
(3)中高一貫教育学校には、3つのタイプがある
それでは、ここ数年人気上昇中の、「中高一貫教育校」の実施形態について、くわしく見てみましょう。
中高一貫教育校の実施形態には、以下の3つのタイプがあります。
A:中等教育学校
→中学・高校を一つの学校として、一体的に6年間の中高一貫教育を行うタイプ。
B:併設型の中学校・高等学校
→Aの中等教育学校タイプよりも、ゆるやかな形態で、中学校と高校を併設するタイプ。高校入学者の選抜は行わない。同一の設置者による中学校と高等学校を接続する。
例えば,県が県立中学校と県立高等学校を,市が市立中学校と市立高等学校を,学校法人が私立中学校と私立高等学校を併設する場合等が該当する。
C:連携型
Bの中等教育学校タイプよりも、さらにゆるやかな形態で、Bと同様、高等学校入学者選抜は行わない。中学校と高等学校が,教育課程の編成や教員・生徒間交流等の連携を深めるかたちで中高一貫教育を行っていくタイプ。Bの場合と異なり,設置者が異なっても実施できる。例えば,市と県,市と学校法人,異なる二つの学校法人などで実施することも、同一の設置者が実施することも可能。
(3)公立・私立中高一貫校では、学費はどう違うの?
ここで、気になる学費について、見てみましょう。
公立中高一貫校・私立中高一貫校では、どう違うのでしょうか?
(一般的な例)
公立中高一貫 | 私立中高一貫 |
---|---|
中学校3年間無料 | 中学校3年間200万 |
高校3年間60万 | 高校3年間250万 |
合計60万円 | 合計約450万 |
中等教育学校は、前期課程については中学校と同様に義務教育段階に当たるので、公立の中等教育学校の前期課程においては中学校と同様、授業料は無料です。これは、家計にとってはとても大きなポイントですね。
2. 代表的な中高一貫校にはどんな学校があるの?
ここで、都内の代表的な中高一貫校を見てみましょう。
国立中高一貫校
-
- 筑波大学附属駒場中学校
- 筑波大学附属中学校
- お茶の水女子大学付属中学校
など
私立中高一貫校
-
- 桜蔭中学校
- 三鷹中等教育学校
- 白百合学園中学校
- 開成中学校
- 麻布中学校
- 女子学院中学校
- 駒場東邦中学校
- 栄光学園中学校
- 武蔵高等学校中学校
- 海城中学校
- 渋谷教育学園渋谷中学校
- 渋谷教育学園幕張中学校
- 雙葉中学校
- 早稲田中学校
など
3. 中高一貫校のメリット・デメリット
最後に、よく耳にする中高一貫校のメリット・デメリットについて、くわしく見てみましょう。
中高一貫校のメリット
6年間環境が変わらない
部活に6年間打ち込める。先輩・後輩の年齢の幅も広くなるので、勉強面以外での学びも大きい。
一生涯の友人ができる
※これは高校を卒業し、既に大人になった元生徒さんから特によく聞く話です。
多感な時期を6年間一緒に過ごしたからこその、深い絆ができるようです。
高校受験が存在しないので、早くから大学受験に備えることができる。
高校受験が存在しないので、勉強以外のことを存分に体験する時間ができる。
※ボランティア活動・海外留学・・・・・・。中学3年次に、受験をする代わりに様々な体験をし、この時期に将来の夢をつかむ人も多いようです。
切磋琢磨できる
※同じ受験を経て集まった生徒で構成されているということは、クラスメートの学力が近いということです。そのため、学級崩壊になりにくい、という意見もあります。
大学進学率が良い
※人気の難関大学の合格率は、多くの親御さんの期待通り、やはり中高一貫校が上位を独占していると言えます。
高校で習う分野の勉強でつまずきにくい
※高校分野の学習、特に英語や数学は、急に難しくなるものです。
そのギャップについて行けない子も多いですが、中高一貫校では、基本的に中学2・3年のうちに高校の学習内容に入っていくため、通常より時間をかけてゆるやかに内容が移行し、大きなギャップに苦しまず学習を進めることができます。
大学受験の勉強に取り組みやすい
※公立中高一貫校の中には、中学3年生の段階で高校1年生の分野を終わらせる学校もあります。大学受験に特化した勉強に早めに取りかかることができるため、大学受験の勉強に取り組みやすい環境だといえます。
ちなみに多くの私立中高一貫は、中学範囲を2年・高校範囲を3年・大学受験に特化した学習を1年、という制度をとっています。
中高一貫校のデメリット
6年間環境が変わらない
※これはメリットの裏返しでもありますが、もしもお子さんが通うことになった学校の環境や雰囲気に、本人がなじめなかった場合、苦しい6年間になることもあるようです。
高校受験が存在しないため、だらけてしまう
これもメリットの裏返しですが、受験が無いからこその充実した時間を過ごせる人もいれば、中学でもっとがんばっていればよかったと後悔している高校生もよく見かけます。
理社の学習がおろそかになりがち
高校受験が存在せず、基本的に目標が大学受験となっていますから、高校受験に必要で、大学受験には基本的に不要(国立大学は別ですが)である教科の学習はおろそかになりがちと言えるでしょう。
定期テストが難しく、塾通いが必要
メリットのところでお話しした通り、中高一貫では先取りが魅力のひとつですが、逆に、特に中学の段階で高校の分野を学習することで、中学時代に苦しむお子さんもいるようです。進度の速さについて行くのは大変ですし、定期テストも確かに難しいため、中2,3年生頃から塾に通う子もかなり多いといえます。
最後に
今回は、皆さんからご質問の多い「中高一貫校」について、その特徴やメリット・デメリットを中心にまとめてみました。
学校選びは調べごとも多く労力のいるものですが、自分にピッタリな学校を発見出来ると、受験に対する意気込みは一気に増すものです。
ぜひ、「絶対ここに行きたい!」「行かせたい!」と心から思える学校を、楽しんで探してみてくださいね。
受験の成功と、楽しい中学校生活を願っています!!
公立中高一貫校