「天声人語を要約すると成績が伸びる」という勘違い
天声人語を要約できる子どものレベル
受験に限らずですが、すべての勉強の基本は国語だと言われます。
どの教科の問題も日本語で書かれていて、それを読んで考えるべきこと、答えるべきことを理解しなければ、テストで点数はとれません。
文章を要約するには、文章の話題を理解し、また筆者が何を言いたいのか読み取る力が必要です。
要約ができるということは、文章の内容、意味、筆者の意図を理解しているということで、内容が理解できていれば、国語の問題としてその文章が出題されても解くことができるということになります。
つまり、小学生で天声人語を適切に要約できる子は成績も良いだろうという推測が成り立ちます。
おそらくこの推測は正しいでしょう。
天声人語は朝日新聞のコラムの名前ですが、読売新聞、毎日新聞など他の新聞にもある社説のようなものです。
602文字というかぎられた文章量の中で世の中の情勢に関する話題をまとめたものです。
それ自体が限られた字数にまとめられたものなので、それをさらに要約するとなると、かなりの読解力と要約力、作文力が必要です。
ですから、天声人語を要約できる子どもの国語力は、かなりのレベルだということができます。
国語力に不安がある子に天声人語は適さない
しかし、まだ読解力や知識が十分でない子が、適切なサポートもなしに天声人語を要約しようとすれば、膨大な時間をかけたあげく自分でも何を書いているか分からない状態に陥る可能性がとても高いのです。
そもそも大人向けに欠かれた社説であるということもあり、難度が高い勉強法なのです。
国語力に不安のあるお子さんが天声人語を要約することによって国語の成績を上げようとすることは、他の方法によって成績を上げるよりもはるかに難しいことです。
文章を要約することで読解力をつけたいなら、子ども向けの新聞の社説(朝日小学生新聞には「天声こども語」という社説があります)を利用するほうが現実的です。
こちらは子ども向けに欠かれた文章なので、国語が苦手な子どもでも、大人向けのものにくらべるとずいぶん読みやすいはずです。
また、すべての漢字に読みがながふってあるので、低学年の子どもでも大丈夫です。
その他、新聞のコラム以外にも、塾のテキストや市販の問題集、エッセイ集や物語文など、何を使って訓練するかは、塾の先生に質問、相談などして決めるのがよいでしょう。
続けやすく効果が見込めるものを選びたいものですね。