中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

成績が上がる宿題のやり方と復習テスト対策

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公開: 最終更新日:2021年07月26日

同じように中学受験の進学塾に通いながら、成績が自然に伸びる子と、全く伸びない子が存在するのはなぜかご存知ですか?自然と成績が伸びる子は、成績が上がる勉強法を身につけて実践しています。その方法を、5つの視点から解説しました。

1.塾の宿題が成績アップにつながるのか確認する

大手塾の特徴として、莫大な宿題量、毎週のように行われるテスト、そして成績による席替えやクラス替えがあります。
このうち、宿題については与えられる「質と量」の両方をよく検討することが大切です。

「質と量」の検討の前に、事前準備としてまず注意していただきたい事があります。

それは、宿題の与えられ方が、

  • クラス帯によって分けられているのか
  • どのクラス帯でもほとんど変わりがないのか

という点の確認です。

宿題の内容がクラス帯によって分けられている場合、その宿題はお子さんが所属しているクラス帯の中で最上位のグループがなんとかこなしていける「質と量」に設定されていることが多いでしょう。

お子さんの現在の位置はどのあたりでしょうか?

もしクラス帯の下位に属しているのであれば、与えられた宿題を全てこなそうとするのは避けた方が良いと考えられます。
宿題をこなすことに力を入れるよりも、毎週の単元の中で取り組む問題をしぼるほうが成績アップにつながりやすいことが多いのです。

例えば授業で取り扱われた問題を中心にして宿題をし、テストで確実に得点できる問題をひとつずつ増やしていく方が効果的だったりするわけです。
また、お子さんが今のクラス帯の中では上位にいて、ここからさらに上のクラス帯に入っていくことを目指しているのであれば、上がった後に困らないよう、上のクラス帯の課題量に合わせて学習していくことが望ましいわけですね。

一方で、クラス帯によって宿題内容が分けられていない場合、授業を担当されている講師から、宿題レベルや宿題に期待している効果などに関しての情報をしっかりと聞き取っておくことが必要になってきます。

といいますのは、クラス帯で課題を分けていない塾では、最上位のお子さんに合わせて課題を設定しているのか、中間層に合わせているのかが判断しにくいことが多いからです。

さらに、そういう塾ではたいてい宿題指示が、授業中に口頭で行われます。
つまり事前に配られているであろうカリキュラム表に印刷されていないため、お子さんが聞き洩らすとその週の宿題をどう行えば良いのかよく分からない、ということが起きてしまいます。

こういうスタイルはどちらかといえばベテランの講師が好むもので、クラス内の子供たちの理解度に応じて柔軟に宿題を調整してもらえるメリットもあります。

その良さを引き出すためにも、お子さん任せにせず、不明な点があれば保護者の皆さんから塾の講師に質問していくようにしましょう。

2.宿題を何度も繰り返してやっても成績が上がらない

さてがんばって宿題に取り組んだ後は、確認のテストが実施されます。
首都圏では、サピックスのデイリーチェックテストのように毎週授業の前に前回の基本確認を行う所もありますし、四谷大塚系の塾では週例テストを土曜日か日曜日に毎週行い、成績表をきっちりと出すところや、日能研のように、2週毎に行う所があります。
関西では、浜学園や希学園のように、授業のある日にその科目の復習テストが毎週実施される塾もあります。

いずれにせよ
「授業内容、宿題内容を十分に習得しているのかどうか」
が問われるテストですから、日ごろの学習方法がどのようなものかによって結果は変わってきます。

中には復習テストに向けて、その週の宿題を何度も何度も解くようにしているお子さんもいらっしゃるようです。
この宿題のやり方を推奨している塾も数多くありますが、正直なところ、ただただ同じ問題を繰り返し解いてもあまり劇的な効果がありません。
むしろ、
「復習テストでは得点できるのに、公開テストになると全く得点できない」
というお子さんになってしまう可能性もありますので積極的におすすめは出来ません。
大手塾で成果を上げていきたいのであれば、宿題を何度も繰り返しこなすだけの方法は早めに卒業していくようにしましょう。

実際のところ、小4までは宿題を2回、3回と繰り返すことができるかもしれません。
スピードのあるお子さんでしたら、小5でも繰り返し学習を続けることは可能でしょう。

しかし小6になれば、宿題を繰り返し解いている余裕など決してありません。

ですから、繰り返し解いて確認するのは「特に重要な問題」だけにしぼりたいものです。
そしてテストでの得点をあげていくために、宿題に取り組むときから制限時間を意識した学習を心がけましょう。

制限時間を意識してと言っても、なにも時間を計って制限時間内にあわてて解いてほしいというわけではありません。
「お子さんがその問題を正解するのには何分かかるのか」を正確に知っておいてほしいのです。

3.成績を上げる、かしこい復テの使い方

塾の復習テストやカリキュラムテストは、実際の入試に比べてひどく短い時間設定になっていたり、極端に難しい問題を含んでいたりすることがあります。

これは、通常復テは宿題の範囲から出題するため、普通の時間設定にすると時間が余ってしまうお子さんが出てくるからです。

関東では、サピックスが制限時間の割に出題量が多くしかも難しくなっています。
日能研のカリキュラムテスト内の発展問題や、四谷大塚のC問題には授業レベルを超えた難問が出題されることがあります。
関西の浜学園や希学園では制限時間の割に極端に出題量が多いテストが見受けられます。

理由がわかればなるほどとも思えるのですが、出題量が多いテストを見てしまうと、
「答えを覚えておかないと間に合わないのでは??」
とついつい錯覚してしまいそうなります。

例えば、国語であれば、本文を読んでいてはとうてい制限時間内ではこなせないようなテストであることは珍しくありません。
算数でも、入試レベルの難問を1題あたり1分間ぐらいでこなさなければならないことがあります。

ですから、宿題に取り組んでいる時に、自分が本当はどれぐらいのペースで解けるのかを知っておかないと、復習テストであわてて問題を解くクセがついてしまい、テストでの時間配分の練習ができなくなります。
さらにもっと困ったことには、いわゆる「ケアレスミス」をするクセもついてしまうのです。

こういう困ったことに陥らないよう、復習テストについては次のような点を研究するように心がけてください。

  • 平均して何題ぐらい出題されるのか。
  • 宿題範囲からどれぐらい出題されているのか。
  • クラスを上げるには何点とる必要があるのか。
  • どのような時間配分で解き進めるのが効率的か。

4.テスト直しもやり方しだいで効果が違う

塾では、受けたテストは「直し」をしましょうと指導することが普通です。
この「直し」ですが、間違った問題をただ解きなおすことだと思ってらっしゃる方が少なくありません。

大切なことなので、よく知っておいてください。

問題が解けるようになるだけでは、テストの点数は上がりません。

テストで安定して得点していくためには、

  • 普段通りの気分で、落ち着いてテストが受けられること
  • 問題が解けること

の二つがそろう必要があります。

ですから、テスト直しで最初に行わなくてはいけないことは、
「家でなら解けるのにテストでは間違えた問題」
がないかをチェックすることです。
テストの結果が満足のいく点数でないなら、必ずこういう失点があるはずです。

次に、お子さんにこう問いかけてみてください。
「テスト中の気分や、様子や、雰囲気を思い出して」
「どんなことをすれば、この問題をあのテスト中に正解させることができただろう?」
「そうするには、どれぐらいの時間がかかりそう?」

テストで悔しい間違いをすると、
「次はがんばる」
「もっと集中して解く」
といったふわっとした具体的ではない反省をするお子さんがとても多いようです。

残念ながらこれでは改善しません。

具体的に何を行えば「がんばった」ことになるのか、
「集中している」時ならどんな解き方を行っているのか
を確認してください。

復習テストの成績は、多くの場合塾のクラス替えに直結するため、点数が悪いと当然あせります。
ですが、その不安定な気持ちのままで勉強に取り組めば、むやみやたらに問題を解き散らかすことになりがちです。
そしてテストでも肩に力が入って、ますます「ケアレスミス」を重ねることになります。

「ケアレスミス」とされている間違いのほとんどは、実際には不注意によるミスではないのです。
テストが持つ制限時間の圧力に押されて、解き方が完全には定着しきっていない弱点が表れたものなのです。

ですからテスト直しで真っ先に取り組むべきなのは、
「解けるはずなのに間違えた問題」
の研究なのですね。

5.公開テストで点数を上げる方法

では復習テストの学習方法は分かったとして、公開テストなどのいわゆる「大テスト」に対してはどのように取り組めば良いのでしょうか?

基本的には復習テストに対する学習と変わるところはありません。
まずはテストの研究を行いましょう。
そして、日々の学習の中で、
「自分にとって得意な単元」

「そうでない単元」
とを整理します。

問題によっては、何度取り組んでもなかなか正解できないものもあるでしょう。
その問題が解けるようになる必要は本当にありますか?

テストの研究では、自分が必要な得点が何点ぐらいなのかも探るようにしましょう。
復習テストと同じですね。

ただ「大テスト」と復習テストとでは一点だけ異なる点があります。

それは、復習テストは対象となる学習期間が一週間から二週間と短いのに対し、大テストは月単位・年単位の学習を対象としている点です。

注意が必要なのは、一夜漬けの感覚で復習テストを乗り越えているお子さんです。

その週の宿題を解くだけは解いて、でも答え合わせを通じた研究は十分に行わず、ぱぱっと○×だけをつける。
そしてテストのある日の前日・当日にあわてて見直しをして(ひどい場合には答えを覚えて)塾にいく。
テスト中は答えを思い出すようにして解いている。

こういう学習を日常的に行っているお子さんは、復習テストが終わったとたんその週の学習内容がどんどん頭から抜けていくことになります。
そのため、大テストがあるころにはすでに習ったはずの単元もあやふやになっていて、復習テストでの得点とはまるで違った惨憺たる得点をとってしまう。

これだけでも問題なのですが、さらに悪いことには、大テストの結果にショックを受けたお母さん、お父さんが
「今まで勉強してきたことの総復習をしなくては!」
と思い込んでしまうことがよくあります。

いきなり総復習に入ってはいけません!

その前に、まずは毎週の学習方法を改善することが先決です。
その場しのぎの学習状況をそのままに、総復習を重ねてしまえば、学習のペースも方法も無茶苦茶になってしまいます。

大量に勉強しているはずなのに、ちっともテストで成果が出てこないようであれば、まず目の前の一週間の学習を修正してみましょう。
過去を振り返る前に、まず目の前のことを確実に身につけることが重要です。

それができるようになった段階で、これまで学習してきた単元の振り返りを追加するようにしてみてください。

塾のカリキュラムの中で重要なポジションである、
宿題、復テ、公開テスト
それぞれを上手に、お子さんの成績を上げるための、効果のある方法で取り組むことで、お子さんの塾の成績は必ず上がります。
是非取り組んでみてくださいね。

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