年度末 理科暗記のまとめ
「念じ覚え」ばかりしていませんか?
塾の年度替わりが近づいてくると気になるのが、やっぱり「積み残し」と言われるもの。理解できないままになっていたり、理解が浅いままになっている単元があると、なんとか新しい学年が始まるまでに習得させておきたいと思うものです。
理科や社会の暗記分野に関しても同じで、どうしても覚えられない単元があるとか、そもそも暗記分野と呼ばれる分野の学習に面白味を感じることができないとか、いろんな悩みがあると思います。
理科に関していえば、植物や動物、人体、天体などが暗記分野と呼ばれ、なかなか興味を持って学習できないために、必死で「念じ覚え」をしているお子さんが少なくありません。たとえば植物の名前や特徴を「マツヨイグサ、マツヨイグサ・・・」と何度も念じて覚えるような方法のことです。
印象に残り、忘れない暗記法
多くのお子さんは(実際に声に出すかどうかはともかく)上記のようにして何度も念じたり、紙に書いたりしてものの名前を覚えるようです。塾にもよりますが、語呂合わせなどを除けば、意外に「暗記法」というのは教えてもらうことができません。
ものを覚えるのにもっとも適している方法は「強く印象に残す」ということです。強く印象に残れば忘れにくく、時間がたっても思い出しやすいからです。つまり理科でも社会でも、強く印象に残して暗記させることができれば、長期にわたって忘れにくく思い出しやすい記憶をお子さんの中に残すことができるのです。
具体的な暗記方法
では、具体的に強く印象に残す方法にはどんなものがあるのか考えてみましょう。
名前の由来を覚える
名前だけでなく、それがどんな性質を持つのか、なぜそのような名前なのか、そのものにまつわるエピソードにはどんなことがあるのかを覚える方法です。
「名は体を表す」という言葉があるように、ものの名前には由来があります。その由来とともに名前を覚えると、忘れづらいものです。たとえば先に出た「マツヨイグサ」ですが、これは漢字で書くと「待宵草」です。「宵」という言葉はお子さんにはあまり馴染みがないですが、それでも「今夜のこと、『今宵』って言ったりすることがあるのは知ってる?」といった声かけをしてあげることで、頭にスッと入っていきます。
「マツヨイグサ」は、夜を待っている草なのですね。こうやって覚えると、マツヨイグサという花の名前とともに、夕方から夜に花を咲かせる草だということまで頭に入り、その記憶は簡単には消えてしまうことがありません。またこのようなことを知ると、人に教えたくなるものです。この行動が、また記憶の糸を太く、強くしてくれるのです。
エピソードとともに覚える
実際に経験したことや、誰かから聞いた経験談が興味深いものであれば、お子さんに記憶に強く残ります。
お父さんやお母さんが子供の頃に経験したことや、先生から聞いた話、インターネットなどで見つけた話、なんでもいいので、エピソードを集めてみてはいかがでしょうか。
たとえば星座の名前や形はギリシャ神話に由来していて、オリオンと彼を刺したサソリの話など、知っておくといつでも思い出せそうなエピソードがいくつもあります。親子で学んでみてもいいのではないでしょうか。
覚えるべきものを一覧化し、全体像をつかむ
「覚えるべきことがたくさんあって大変」と暗記に抵抗を感じているお子さんは多いものです。しかし、整理して全体像を掴むと、そう大変ではないことがわかったりします。たとえば植物の仲間分けだと、単子葉植物、双子葉植物、多子葉植物とありますが、多子葉植物はマツやスギの仲間くらいなので、単子葉と双子葉の区分けをはっきりさせておくのが得策です。
では全部覚えるのかというと、実は単子葉植物を覚えるのがよいのです。なぜなら中学受験の理科で出てくる植物では、単子葉植物の方が少ないからです。少ない方を覚えるというのは暗記の鉄則です。しかも、単子葉植物の多くはイネ科。イネ科の植物をがんばって覚えて、あとはユリ科を少しとツユクサなど。これくらいを覚えておいて「それ以外は双子葉植物」と考えればいいですね。
このように、工夫次第で暗記は「面倒なもの」ではなくなります。ぜひ試してみましょう。