中学受験 国語 効果的な漢字の覚え方
中学受験の国語において、漢字の配点はそう高くありません。
せいぜい1問1~3点程度で、漢字によって大きく差が開くことはありません。
しかし、たかが漢字、されど漢字。
特に人気の高い上位校では、このわずかな差が合否を左右するのです。
今回は、漢字の効率的な学習方法、学年ごとにおすすめの問題集などについて
お話します。
1.なぜ、漢字が覚えられないのか
よく、「やってもやっても漢字が覚えられません」
「毎週のテストではなんとかなるのですが、すぐ忘れてしまいます」
といったご相談を受けることがあります。
「もしかしたら、何かの能力が欠けているのではないか」
「いくらやっても、出来るようにはならないのではないか」
そんな風に悩んでしまう方もいらっしゃいますが、ご安心ください。
多くの場合、これらの原因は単純に、漢字の学習方法そのものにあるのです。
まず、以下の項目をチェックしてみましょう。
こんな覚え方をしていませんか?
~身につかない学習法~
- ひたすら文字を書き写す。
- 答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた暗記法のみで、実際に書くことをしない。
- 分からない漢字や熟語の意味を確認せず、丸暗記する。
- 問題集にあれこれ手を出す(同じものは1度解いたらおしまい)。
- 毎週のテスト範囲を、テスト直前に必死に覚える。
- 授業やテストで間違えた漢字を放っておく。
以上のようなやり方では、漢字は決して覚えられません。
どれもその場しのぎで、漢字を定着させる工程が一切踏まれていないからです。
仮に毎週のテストでは何とかなったとしても、肝心な受験当日にはすっかり
抜け落ちているでしょう。
では、漢字はどのように学習するのが効率的なのでしょうか?
2.漢字を定着させるために必要なこと
1.体で覚える
当然といえば当然ですが、覚えるために最も有効な手段は「反復」です。
あれやこれやと新しい問題集に手を出しても効果はありません。
また、答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた、「目」だけの学習をいくら
繰り返しても、書けるようにはなりません。(読み取りの暗記には有効です)
自転車やそろばんを身に着けるのと同様、漢字が書けるようになるには、これと決めた相棒(問題集)にひたすら向き合い、実際に手を動かし、演習を繰り返すことが重要なのです。
2.意味を理解して覚える
漢字が覚えられない子に多いのが、ひたすら新しく出てきた漢字を書きまくるだけで、意味を理解する作業を怠っている場合です。
英文を覚える時に、単語の意味や文法、和訳を理解している方が覚えやすいのと同じで、漢字も部首や成り立ち、その意味を理解している方が覚えやすいのです。
もしもお子さんが4~5年生で、漢字がなかなか覚えられずに悩んでいるなら、ぜひ、漢字の部首や成り立ちの学習からやり直しましょう。
もしもお子さんが6年生ならば、時期的にそのやり方は効率的とはいえません。この場合は、のちほど紹介する問題集で、実践演習を何度も繰り返しましょう。
3.毎日繰り返し演習し、間違いノートを作る
大切なのは、毎日やること。
朝食前のたった5分でも良いのです。
毎週、確認テストの直前に1~2時間必死で覚えるより、
1日5分間の学習を、7日間欠かさず行った方が、ずっと効果があります。
その際、やりっ放しではなく、必ず間違いノートを作ること。
毎日演習を繰り返せば、自分がしょっちゅう間違える漢字に気が付くはずです。
これを、ノートにストックしていきましょう。
授業やテストで間違えた漢字も間違いノートに記録し、再度それを間違えた場合には印をつけていきます。
時間がない時や確認テストの直前は、何度も印がついた漢字だけを見直せば
良いのです。
「うるし塗り」のように、何度も何度も丁寧にカバーすることで、確実な力が付いていきます。
3.漢字の学習におすすめの参考書・問題集(学年別)
最後に、漢字の学習におすすめの参考書・問題集をご紹介します。
4年生におすすめの問題集
~漢字が苦手・大嫌いな場合~
『日本一楽しい漢字ドリル うんこ漢字ドリル小学校4年生』(文響社)
漢字が大嫌いな4年生(特に男子)に、とっかかりとしておすすめです。
「博」……「ナウマン象のうんこを見に、博物館へ行った」というように、
例文も、小学生が面白おかしく漢字練習に取り組めるよう、工夫してあります。
~漢字が普通・よくできる場合~
『漢字マスター1095題 4年』(日能研)
漢字が普通に出来るのならば、こちらがおすすめです。
書き込み式で、日付を書く欄があり、分量も調整しやすいよう工夫されています。
毎朝の学習には、特に向いています。
(大変よくできる場合は、同じシリーズの5年生に取り組んでも良いでしょう)
5年生におすすめの問題集
『漢字マスター1095題 5年』(日能研)
4年生におすすめの問題集でご紹介した書籍の5年生版です。
『SAPIX 国語の要 その2』(サピックス小学部)
サピックス校舎で販売されている、読解・知識・漢字の学習が4冊セットになった問題集です。ケースに入っており、必要なものだけ取り出して持ち運ぶことができます。
漢字の問題集では、見開きで片面が知識、片面が漢字となっており、合わせて学習できます。分量的にも、無理なく毎日学習しやすいでしょう。
6年生におすすめの問題集
『漢字マスター1095題 6年』(日能研)
4年生におすすめの問題集でご紹介した書籍の6年生版です。
最高学年の時点で漢字が普通レベルならば、こちらで基礎の定着を図りましょう。
『中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2606問』(旺文社)
基礎はしっかり身についている、という場合に、大変おすすめです。
入試を分析し、頻出度の高い順から並べているのが特長で、入試において本当に
重要なものから学習できる、実践型問題集です。1ページ当たりの問題数も多いので、
基礎が出来ていないと嫌になってしまうでしょう。レベルに合わせて選んでください。
おすすめの参考書(全学年)
『SAPIXの漢字学習字典 SAPI漢』(サピックス)
小学校で習うすべての漢字が学年別に収録されています。イラスト付きで、4年生でも十分見やすく、漢字学習が楽しくなる知識も紹介されています。こちらはサピックスの校舎だけでなく、書店でも購入できます。
『小学漢字 1006字の正しい書き方』(旺文社)
小学校で習うすべての漢字が、書き順も分かりやすいように、一画ずつ示されています。
ポケットサイズで持ち歩きやすく、熟語も豊富に掲載されています。すべての漢字に、成り立ちに関するコラムもあり、大変重宝する参考書です。
漢字を学習することは、単に読み書きだけでなく、熟語・対義語・類義語などの知識や、語彙力をつけることにも繋がります。
また、一生懸命取り組んだ暁には、課題に向かってコツコツ努力を重ね、結果を出すことの喜びも知ることが出来るでしょう。
受験生の皆さんが、漢字の学習を通じて、様々な発見・成長を楽しんでくれることを願っています。