中学受験の算数で鍛える論理的思考力。親ができることは
中学受験の算数は論理的な思考を鍛えてくれ、将来きっと役に立ちます。
でも、勉強していくうちに「算数嫌い」になってしまう子も少なくありません。
ここでは、それを防ぐにはどうしたらいいか、親ができることについて考えてみたいと思います。
中学受験の算数の勉強で培える力
中学受験は、子どもにとっても親にとっても、過酷な体験かもしれません。
どんなに努力しても、合格するとは限りません。
すべての志望校に不合格という厳しい現実を突きつけられる可能性もあります。
中学受験は終わってみないと結果がわからないのです。
さらに、志望校に入れたからといって、それで終わりではありません。
中学校の勉強が始まり、また新たな道を踏み出すだけです。
でも、これまでたくさんの親子を見てきて、合格・不合格の結果にかかわらず、中学受験という経験がかけがえのない宝物になっているご家庭が、とても多いと感じます。
実際にそういう声もたくさんいただきました。
指導する側としてはもちろん、全員を第一志望校に合格させてあげたい気持ちがありますが、そうはならない場合もあります。
合格できてもそれが第一志望の学校ではなかった子もいます。
でも、子どもの「自分はこれだけがんばることができた」という自信は、のちの高校受験、大学受験に確実につながっていきます。
特に算数の勉強からは、「今わかっていることから、次に何を求めることができるのか」「答えを出すためには、何がわかればいいのか」という思考方法が自然に身につきます。
これは社会に出てからの大きな糧にもなります。
多くの大企業の入社試験のSPIに算数の問題が入っていることからも、そのことがわかると思います。
「どうやって解いたのか」を説明する力
算数の勉強を進めていくうえで、子どもが本当に理解しているかを確かめるのはとても大切です。
そのためにも、子どもに先生役になってもらい、大人が生徒役をする「ミニ授業」は有効です。
これは、子どもの「論理的に説明する力」も養うことになるので、ぜひ実践してみてください。
学校の教科書は、たくさん問題をやらせるのではなく、「どうやって解くのか」「なぜその解き方をするのか」「ほかの解き方はないか」ということを重視しているので、問題の数がとても少ないです。
それに宿題を加えても、子どもの理解を定着させるという意味では不足しています。
それをカバーするためにも、低学年のうちから「今日やったこの問題をお母さんに教えて」と声をかけ、子どもに先生になってもらって説明をしてもらいましょう。
そうすることで子どもは自分が理解したことを「他人に、わかりやすく、論理的に伝える」ために工夫するようになります。
学校や塾の授業を聞くときも「帰ってからお母さんに説明するためにちゃんと聞いておかなきゃ」という気持ちになるかもしれません。
この「説明する力」は将来の役にも立つので、家庭での「ミニ授業」をぜひ試してみてください。
親がしてはいけないこと
算数を勉強することで論理的思考力を伸ばすことができるのですが、せっかくのその機会を親が奪ってしまうことがあります。
それは、子どもを算数嫌いにさせてしまうこと。
たとえば低学年のうちに、無理やり子どもに計算問題をたくさんさせる親御さんもいるようですが、本人が嫌がっているときにやらせても、まったく意味がありません。
子どもの文字が極端に汚いなら要注意。嫌で仕方ないからとにかく終わらせたい証拠です。
ある程度ていねいに書いている分量やレベルを維持するようにしましょう。
また、学校の宿題でもテストでも、とにかく誰よりも早く終わらせたいと考える子どももいます。
ミスが多くてもいいのです。とにかく終わらせることに一生懸命なのです。
そういう子は小さいころから「早く宿題を終わらせなさい」と常に親に言われてきた可能性が高いです。
「早く終わらせること」ではなく「ていねいにやること」を優先させ、子どもが宿題や計算問題をていねいにやったことに対して褒めてあげるようにしてください。
また「終わったらゲームやっていいよ」と言うのも考えものです。
「とにかく終わらせたらすぐにゲームができる」と、雑に取り組むことになってしまいます。
その結果、算数で思うように成績が伸びず「算数は苦手」「嫌い」という気持ちにつながってしまうのです。
学校のテストについても、点数を見るより、まちがった問題をよく確認してあげてください。
設問がきちんと読めてなかったり、自分で書いた文字を読みまちがえるなどの原因でミスをしていたり、その子なりの癖が出ます。
どういう風に解いたかを子どもに説明させ、自分のまちがいに気づかせるのもいい方法です。
勉強は終わらせることより、どういうやり方をしたかが大切だということを親御さんもしっかり意識してくださいね。