詩の読解で得られる「映像化力」の伸ばし方について
国語の素材文の1つ、詩についてお子さんは、どんなイメージを持っているでしょうか。
「難しそう」
「なんとなく苦手」
というお子さんも多いのではないかと思います。
「あまり入試に出ない」という印象もあるため、なかなか本腰を入れて学習する気持ちになれない、という声も聞きます。
しかし実は詩の勉強を通して、国語力を上げるのに必要不可欠な力を養うことができるのです。
今回は、詩の魅力やその読解に関する技術などについて考えてみたいと思います。
詩から学べる事
詩に関しては
「どうすれば詩の読解力がつくかわからない」
「入試にもあまり出ないのに勉強する意味はあるの?」
といった声も少なくありません。
しかし、詩を正しく読み取る力がつくということは、すなわち読解力がついたということであり、国語の成績にも必ず反映されます。
なぜかといえば、国語の読解に必須の能力である「映像化力」を身につける事ができたといえるからです。
「映像化力」とは、詩に書かれている表現から具体的に季節や景色、登場人物の心情を絵に描いたように頭に映し出す力のことです。
三好達治の「雪」という詩があります。
その中での表現を例に出してお話をしていきます。
『太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。』
どんな景色が浮かぶでしょうか。
「太郎を眠らせ」とありますが、太郎を眠らせたのは誰でしょう。
お母さんでしょうか。
親御さんたちならご経験のあることかと思いますが、子どもを寝かしつけるのはけっこう骨の折れる事です。
おおらかな親の愛情を、この二行から読み取った方もおられるかもしれません。
元気な子どもたちが寝静まり、静かな夜となりました。
温かい我が家の布団の名で眠りについた太郎の部屋の外では、静かに雪がしんしんと積もっています。
太郎と次郎は、同じ家に住む兄弟なのでしょうか。
あるいは遠い街に住む、まったくお互いのことを知らない少年たちなのでしょうか。
詩の読解には絶対の「正解」はありませんが、作者はこの「温かな家と、雪の降る静かな町の様子」の対比を伝えたかったのかもしれません。
断定する事はできませんが、詩の表現から想像し、連想していく事が国語力をつけるポイントなのです。
詩ならではの学び
物語や論説文からも連想はできます。
しかし、詩にははっきり言葉にしない表現がたくさんあり、その中から心情や景色を深く想像させる魅力があります。
表現を自分なりに噛み砕いていき、作者が何に感動しているのか、詩の中の世界感を想像し、連想していくことができるのです。
詩の学習に「学ぶ」という気持ちで取り組むと億劫になるお子さんも多いですが、漫画を読んだりゲームを進めていくように楽しめるといいと思います。
連想していく力が身につけば、詩の魅力にも気づけ、いつのまにか物語や論説文の設問にもすらすらと答えられる様になります。
映像化力を発揮する手順
1.詩に書いてある事を具体的にイメージしてみる
・アニメのように色をつけて想像してみる
・登場人物の顔を具体的にしてみる
2.周囲の様子を付け加える
・何が見えるか
・どんな音が聞こえるか
・その場所の雰囲気や気温を想像してみる
3.時間の移り変わりを考える
・過去には何があったのか
・未来はどうなりそうか
最初から想像する事ができなくても、手順を追っていけば大丈夫です。
何度か繰り返していくと、だんだん映像化力が身についていきます。
詩を楽しみながら、学びに変えていきましょう。