お子さんの現状に合わせたサピックスの基礎トレへの取り組み方とは
今回の記事では、サピックスの5年生の「基礎トレ」の使い方、基礎トレの演習の様子からわかることについて、事例をあげてお話ししたいと思います。
早いカリキュラムを補足するのが基礎トレによる演習
サピックスの授業で、分数の計算方法について扱われるのは、たった2週です。
4年生の夏期講習で分数のたし算、引き算(通分による計算)、9月に分数にかけ算、割り算を1週ずつ習い、あとは「計算はできて当然」として授業が進んでいきます。
日能研では、5年生でも分数の計算について5週間ほど扱うことを考えると、異例な短さです。
言い換えれば、「分数計算ぐらいは自分で勉強して、もう出来るようになっているよね」と言われているのです。
この「計算くらいはできて当然」というカリキュラムに対応するために大切になるのが、基礎トレによる演習です。
成績がいい子は基礎トレを続けているケースが多い
基礎トレーニングは、毎日1ページずつやることが義務づけられています。
しかし全員がそれをできているかというと、全くそんな事はありません。
しかし言えることは、好成績を維持している子は、自分なりにやり方を工夫して基礎トレの演習を続けているケースが多いということです。
たとえば α やそれに近いクラスを安定して維持しているお子さんの場合、毎日全ての問題をする必要はないでしょう。
1日目は丁寧に、2日目からは1日目に間違った問題だけを演習するなど、省力化に努めましょう。
この方法を、α2クラスのお子さんに実行してもらったときのことをお話しします。
親御さんからは「算数の計算ミスが多く、毎日基礎トレをやらせてはいるが、一向に計算ミスが減らない」と聞いていたので、基礎トレを見せてもらいました。
その子の基礎トレの様子を見て、気になった点は2つありました。
1. 計算や答えを書く数字が乱雑なこと
2. 筆算などのあとが少なく、多くを暗算していると思われること
以上のことから、お子さんが毎日の基礎トレを「無駄な作業の繰り返し」と感じてモチベーションが下がっていると感じた私は、上記のように大胆に取り組む問題を減らす提案をしました。
親御さんいわく「計算ミスがなおらない」状態ですらα2を維持していたお子さんですから、上記のように感じているのは明白だったからです。
お子さんには、量を減らすかわりにできるだけ丁寧に解くこと、途中式や筆算などについてもできるだけ省略しないことを約束してもらいました。
結果どうなったかというと、大幅にミスは減り、そもそも1日目で全問正解という週も多くなったのです。
基礎トレが全く進まないのはサピックスのテンポに合ってない可能性も
上記のようなケースとは別に、アルファベットクラスの中位から下のお子さんや、あまりに間違う問題が多い場合は、まず全問演習させてみましょう。
そもそも基礎トレを10問10分で解き切ることが、お子さんのテンポにあっているのかをみるのです。
このことを試してみていただいた事例として、Bクラスのお子さんの例をあげます。
御本人の志望校は女子の中堅校、親御さんの希望としては「せめてマンスリーの大問1や2は解けるようになってほしい」というものでした。
そのご希望を叶えるために、毎日基礎トレに取り組ませてきたのですが、時間がかかりすぎて1日の学習時間の大半をそれに取られてしまう、という状態でした。
そこで実際に目の前で問題を解いてもらい、授業をしたのですが、ゆっくり解説してもらえれば理解できる問題も多く、繰り返して説明すればより理解が深まる、というお子さん。
このタイプのお子さんの場合、「基礎トレ1日10問」もそうなのですが、そもそもサピックスの授業スピードが合っていない可能性も大きいと判断したため、思い切って四谷大塚準拠の塾への転塾を勧めました。
結果、転塾当初はテストコースも一番下でしたが、6年生になるころには上位のCコースのテストを受けるまでになり、第一志望高合格に成功しています。
この記事を書いている2023年時点では、四谷大塚のカリキュラムもかなりスピーディーになっており、このお子さんのようなケースの転塾先は、また違ったところになるかもしれませんね。
このように、基礎トレの進み具合から、学習のテンポ(=塾)を変える必要性などが見えてくることもあります。
お子さんは基礎トレ、毎日続けているでしょうか?
ぜひチェックしてみてください。