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中学受験で成績が上がらない4つの原因と対策まとめ

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公開: 最終更新日:2024年07月30日

3年間に及び中学受験において、成績が上がらない・成績が伸び悩んでしまうというのは、どのご家庭にも起こり得ることです。

「なぜ、成績が下がってしまったのか?」その原因を正しく捉え、お子さんに合わせたアプローチで解決策を立てれば、どんなお子さんでも成績を上げることは可能です。

一方で、ただ量・時間増やすだけの学習や、他の子の成功例をそのまま真似してみるといった方法では、どうしても成績が上がらないのも中学受験ならではの特徴です。

この記事では、中学受験で成績が上がらなくなる・下がり続ける原因について詳しく説明し、どのようにして成績を上げていけば良いのか?についてまとめました。

現在、お子さんの成績が上がらない・伸び悩んでいるという方は、打開策を見つけていただけますので、ぜひご一読ください。

目次

  1. なぜ中学受験で成績が上がらなくなるのか?
    1. 直近3ヶ月成績が上がっていないなら、黄色信号と考える
    2. やるべきことが多すぎて、「とにかく終わらせる」ことが目的になってしまう
    3. 成績が上がらない4つの原因
    4. 塾の授業を聞けていない
    5. 「理解する」学習習慣の不在
    6. 理解が不足したままの類題演習
    7. 「やらされ感」によるモチベーション低下
  2. 成績が上がらないまま中学受験が終わるご家庭の特徴とは?
    1. 5年後半以降、8割のご家庭で成績が伸びないまま、受験が終わる
    2. 今後成績が上がらないご家庭の特徴とは?
    3. 既に3ヶ月以上、成績が伸び悩んでいる
    4. 勉強量を増やす以外の具体的な対策がない
    5. テスト直しや苦手対策も「子供だけの解き直し」/話題の問題集をやらせるだけ
    6. お子さんが、間違ったやり方を頑なに変えられない
  3. 成績が上がらないときにはどうすればいい?1ヶ月で偏差値5UPを目指す方法まとめ
    1. 1ヶ月で偏差値最大5UPを目安に計画を考える
    2. 目標達成のために、やるべきことを絞り込む(取捨選択)
    3. なぜ、わからないのか?原因を特定し、解消する
    4. まずは「できた」ことを評価する
    5. 様子を見るのは最大3ヶ月。効果が出ない場合、新しい対策を考える
  4. 【教科別】中学受験で成績が上がらない原因と対策
    1. 中学受験算数の成績が上がらない原因と対策
    2. 中学受験国語の成績が上がらない原因と対策
    3. 中学受験理科の成績が上がらない原因と対策
    4. 中学受験社会の成績が上がらない原因と対策
  5. 成績が上がらない不安をどう解消する?親御さんの不安解消とお子さんへの声掛け法
    1. 1回のテストで極端に成績が下がった場合は「気にしない」方が成績が伸びやすい
    2. 5年生までは「偏差値」を気にしすぎない方が、成績が伸びやすい
    3. まずは「できていること」を褒め、最小限の目標設定を

1. なぜ中学受験で、成績が上がらなくなるのか?

なぜ中学受験で成績が上がらなくなるのか?

まずは、その原因について解説します。

直近3ヶ月成績が上がっていないなら、黄色信号と考える

ひとくちに「成績が上がらない」といっても、小学生のお子さんは、その日の気分や体調で、テスト結果がブレやすいという点にも注意が必要です。

1つの目安として「3ヶ月以上成績が上がらない・下がり続けている」状態が続いているなら、今のまま塾に通って、これまで通りの勉強を続けていても、今後成績が上がらないと考えましょう。

勉強を続けているのに、成績が3ヶ月以上上がらないということは、そのやり方ではお子さんが学習した内容を理解できていない、根本的な原因があるからです。

それでは、中学受験の成績が上がらない・下がり続けてしまう原因とは何なのでしょうか?

やるべきことが多すぎて、「とにかく終わらせる」ことが目的になってしまう

中学受験の成績が上がらなくなってしまうのは、塾のカリキュラム内容にお子さんの理解が追いついていないことに起因します。

塾のカリキュラム、すなわち、中学受験の本番試験で合格するための知識は、あまりに膨大で、小学生のお子さんが学習しきるのは至難の業です。

そのため、成績が上がらない、または、下がってしまっているご家庭では、「とにかく塾の勉強を終わらせる」ことが目的になってしまい、1つ1つの知識がしっかり理解できているかどうかまで、手が回らなくなっていきます。

というのも、学年が進むにつれて、1週間で取り扱う学習量はどんどん増え、その難易度も上がっていき、その結果、たくさんの時間をかけて勉強はしていても、「問題を解く」だけになってしまい、1題1題が理解できなくなっていくからです。

何とか全部を勉強しようとするあまり、1つ1つの単元の理解が薄くなってしまいます。

これが中学受験で、頑張って勉強をしているのに、どうしても成績が伸び悩んでしまう最大の原因です。

よりわかりやすくするために、続いて、成績が上がらなくなってしまう具体的な原因を解説します。

成績が上がらない4つの原因

中学受験の成績が上がらなくなってしまう原因は、お子さん1人1人によって異なってきますが、多くのお子さんに共通していることは確かにあります。

成績が上がらなくなってしまったお子さんには特に下記の4つが共通します。

塾の授業を聞けていない

「成績が上がらなくなってしまっているお子さんの多くが、実は、塾の授業が正しく聞けていないんです。」
とお話すると、お父さん/お母さんは大変驚かれます。

とはいっても、「やる気がなくてサボっている」とか「意図的に面倒くさくて授業を聞いていない」という話ではありません。

わかりやすい例をあげると、「ノートをきれいに取っているお子さんは成績が伸び悩む」というケースは少なくありません。

このようなケースでは、ノートを取ることに一生懸命になっている間に、先生の話を聞き逃してしまい、授業内容は頭に入ってこなくなっていることが考えられます。

また、小学生のお子さんは「授業の構成」を、まだ知らない子も多いのも注意すべき点です。

多くの塾の先生は、「授業構成を最後まで聞いて初めて理解できる構成」にしています。

そのため、先生の話の途中で「わからないかも…」と感じても、一応最後まで聞いてみようという心がけが大事です。

特に高学年になるに連れて、複雑な内容を扱うため、この傾向は強くなっていきます。

大人にとっては当然のことでも、小学生のお子さんは実は一回も授業の受け方を説明してもらった事自体なく、このようなケースも珍しくありません。

成績の上がる授業の受け方については、ぜひ下記の記事も合わせて参考にしてください。

成績が上がる 理解度が上がる 塾では教えてくれないノートの作り方とお子さんへの教え方 まとめ

「理解する」学習習慣の不在

「塾の授業に出て、宿題をやっていれば、頭に定着する…」

大手塾のカリキュラムは、確かにそのように想定されて作られているのですが、集団授業での学習になるため、1人1人のお子さんが授業内容を理解できるどうかは、どうしても「家庭学習」に委ねられます。

では、「与えられた宿題を、量は多くても何とかこなしていれば、理解できるようになるのか?」というと、そうではないことが中学受験の難しいところです。

というのも、「宿題をお子さんだけでやる」だけでは、中学受験の成績はどうしても上がらないからです。

実はここに「真面目なお子さん」ほど成績が伸び悩む、中学受験ならではの落とし穴があります。

もちろん宿題をやることは大切です。

ただ、小学生の子供だけで宿題をやるようになってしまうと、塾カリキュラムの膨大な課題量もあり、それを全部「終わらせなくちゃ」という思いから、「問題を解く」こと自体が学習の目的になってしまいます。

わかりやすく算数の学習を例に挙げると、宿題を終わらせることが目的になってしまうと「このページの問題はこの式で解けばよい」と、式に数字を入れるだけの学習になってしまいます。

これはつまり、計算トレーニングをしているのと変わらない学習になってしまうということです。

このような所謂「暗記型」の学習方法を続けていると、確かに、その週の確認テストなどでは点数が取れるのですが、時間が経ってから解き直したり、実力テストのように「出題形式」を少し変えられてしまうと途端に解けなくなってしまいます。

1題1題を「なぜ、そうなるのか?」思考しながら解き、授業で習った内容を思い出しながら、理解を頭に定着させていく学習ができていないことが、勉強しているのに成績が上がらない大きな原因の1つです。

理解が不足したままの類題演習

授業内容の理解が不十分なまま、テストで間違った問題や苦手な問題が解けるように、繰り返し類題を解くという勉強方法も、中学受験で成績が上がらなくなる原因の1つです。

「なぜそうなるのか?」がわからないまま、何度繰り返し問題を解いても、「こう聞かれたら、こう答えを書けば良い」という、これも暗記型の学習を強めていくだけになります。

「問題集を繰り返し解いている」「塾のテストで間違った問題を何度もやっている」のに、成績が上がらないという方は、特にこれが原因と言えます。

「やらされ感」によるモチベーション低下

上記3つの原因が解消されないままの勉強を続けていると、

頑張っているのに、成績が上がらない…

努力に対して結果が出ない…

という状態が続くようになってきます。

大人でも、頑張ったのに結果が出ないことを続けることは、どんどんモチベーションが下がります。

これは小学生のお子さんも同じです。

成績が上がらない状態のまま、量を増やして勉強を続けてしまうと、お子さんのやる気が下がっていき、「勉強は親にやらされいる」という気持ちだけが強くなっていきます。

このような状態が続くと、学習に対する意欲が下がり、成績が上がらないまま、学習効率はどんどん下がっていきます。

多くの小学生のお子さんにとっては1ヶ月が限度。

3ヶ月も続くとどれだけ忍耐強いお子さんであっても、心が折れてしまうのです。

このようなモチベーションの低下も成績が上がらなくなる大きな原因の1つです

2. 成績が上がらないまま中学受験が終わるご家庭の特徴とは?

中学受験の成績が上がらない状態が暫く続いているご家庭では、「受験の最後までこのままなのでは?」と不安に思う方も多いと思います。

実際に毎年の受験生を見ていて、1度成績が上がらなくなってしまったまま、受験の最後まで成績が上がらなかった…というご家庭が大半です。

なぜ、成績が上がらない状態が続いてしまうのか?その理由について解説していきます。

5年後半以降、8割のご家庭で成績が伸びないまま、受験が終わる

以前X(旧twitter)でも話題になったのですが、『5年後半以降から平均偏差値5上がれるのは50人に1人。10上がれるのは100人に1人です。下がる人はいくらでもいる。』といった内容が話題になりました。

こちらは実際にサピックスの説明会で、上記のように説明を受けたという保護者の方のツイートです。

中学受験専門のプロの家庭教師から見ても、この数字は信憑性が高いと言えます。

でも、なぜ頑張って勉強しているのに、大半のお子さんは成績が上がらなくなってしまうのでしょうか。

もちろん、周りのお子さんも勉強量を増やして努力をしているので、相対的に見て成績が上がらなくなってしまうというのもあります。

しかし、それ以上に「勉強しても成績が上がらない学習方法」を続けたままで、最も難易度の高い単元を扱い始める5年生後半に入ってしまった。ということが根本的な問題です。

大人と違い、小学生のお子さんの学習習慣を変えるのは、本当に難しいです。

小学生にとっては「こうしないと成績が上がらない」という単純な話ではなく、今までやってきたことを変えるのには、どうしても時間がかかるからです。

具体的には、下記のような特徴が当てはまるご家庭は、今後成績を上げることは難しいと言えます。

今後成績が上がらないご家庭の特徴とは?

既に3ヶ月以上、成績が伸び悩んでいる

現段階で3ヶ月以上成績が伸び悩んでいるというご家庭は、

「今のやり方のままでは、塾カリキュラムを理解できない」ということが明確になっていると考えましょう。

そのため、これまで通りの学習方法では、どうしても成績が上がらないと言えます。

勉強量を増やす以外の具体的な対策がない

お子さんが全く勉強していないケースはもちろん除きますが、程度の差はあっても、ある程度勉強に時間が使えているのに成績が伸び悩んでいるというご家庭は、単純に勉強時間を増やすだけでは、どうしても成績を上げることはできません。

既に塾カリキュラムの内容が理解できていないことが明確になっている中で、十分な理解ができないままの勉強方法で、量を増やすだけでは、時間と体力を消耗するだけになってしまうからです。

勉強時間を増やす前に、今の勉強時間で何を優先して、どのように勉強すれば理解できるのか?を考えた上で、「それでも手が回りきらないことのために、無理のない範囲で時間を増やす」という計画が必須になります。

単純に勉強時間だけを増やすだけにならないよう注意が必要です。

テスト直しや苦手対策も「子供だけの解き直し」/話題の問題集をやらせるだけ

お子さんが苦手な単元や、テストで得点できなかったことをやり直すということは、成績を上げるためには必須です。

しかし、1度わからなかった問題や、授業を聞いても理解できなかった問題を、お子さん1人で問題を解き直して理解することは、小学生のお子さんにとっては不可能と考えてください。

「わからないことを自分で調べて理解できるようになる」というやり方は大人の学習方法で、このような学習方法は大学受験で身につけることがやっとの人が大半です。

一度苦手になってしまったこと、テストで得点できなかったことは、中学受験の専門の塾の先生が説明して理解できなかったということです。

お子さんが何を、なぜ理解できていないのか?

つまずいてしまったポイントを見極めた上で、そこを説明してあげることが成績を上げるためには必須です。

ご家庭でこのようなチェックをしないまま、お子さんに「間違ったところ、やり直してね」と伝える勉強では、どうしても成績を上げることはできません。

お子さんが、間違ったやり方を頑なに変えられない

意外と軽視されがちなのですが、

■ 式や図を書かない

■ 文字の大きさ、計算式が不揃い

■ 国語の長文などで、線を引かない

といった学習習慣を続けてしまっているお子さんも、成績が上がらない状態が続きます。

それでも4〜5年生前半までは、何とか答えにたどり着けるというお子さんもいますが、6年生の学習や、ましてや受験本番の複雑な問題は、このような学習習慣を続けていると、どうしても解けなくなってきます。

お子さんが「自分のやり方」を続けてしまっている場合は、徐々にでも対策が必要です。

3. 成績が上がらないときにはどうすればいい?1ヶ月で偏差値5UPを目指す方法まとめ

それでは、中学受験で成績を上げるためにはどうすればよいのでしょうか?

その方法を具体的に解説していきます。

1ヶ月で偏差値最大5UPを目安に計画を考える

お子さんのモチベーションをあげるために、「頑張ればできるようになるんだ」と思える目標を立てることが第一歩です。

目安としては最大でも、1ヶ月後に1教科のみ偏差値5UPを限度に考えてください。

偏差値5UPというと大きな目標に聞こえるかもしれんませんが、1教科に限定して考えれば、次のテストでいつもより正答できる問題を2〜3個増やすことができれな、十分見えてくる目標です。

とはいっても無理は禁物です。

ここで大切なことは、小さくても、実現可能な目標を立てて、お子さんが「やり方を変えてみたらできるんだ!」という成功体験を積めるかどうかです。

成績だけでなく、「文字を揃えて書いてみよう」や、「確認計算をして点数をあげてみよう」というような小さな目標でも構いません。

「志望校まで偏差値10も足りてないから、次のテストで偏差値10UPできるように勉強量を増やす」といった実現不可能かつ、お子さんに負担がかかる戦略にならないようにことがポイントです。

目標達成のために、やるべきことを絞り込む(取捨選択)

成績を上げるためにこそ、「塾の勉強を全部やる」ことを諦めることが必要です。

基本問題の理解が不十分なのに、応用問題まで全部やろうと思うと、とても間に合いません。

まずは、最小限の努力でできるようになることは何か?を考えましょう。

少し頑張れば、お子さんが理解できるものから順に消化していくという思考が、成績を上げるためには必要です。

偏差値5UP(次回のテストで2〜3問正答を増やす)という目標を立てると、よりわかりやすくなるのですが、全部をやろうとすると、手が回りきらず、理解ができたはずの問題にかけるべきだった時間を取られるからです。

もちろん、いつまでも放置するわけではありません。

「今はまだ早い」と考えて、理解できることが増えて、成績が上がったら、また後でやり直してみましょう。

このように、お子さん1人1人に合わせて、「今できることは何か?」をご家庭主導で考えることで、短期間でも成績を上げる戦略を立てることが可能になります。

なぜ、わからないのか?原因を特定し、解消する

1ヶ月後に成績を上げるためにやるべきことの絞り込みができたら、「今、なぜ、その問題が理解できていないのか?」を考える時間を必ず取りましょう。

「これが課題だから、やり直しておきなさい」というように、お子さん任せにしては、中学受験の成績を上げることはできません。

お子さんが理解できていない問題に対して、まずは最初に1題、

「何がわかっているの?」

「何を聞かれているの?」

「何を書けば解けそうな気がする?/どこに答えが書いてありそう?」

と聞いて上げ、お子さんが質問の答えに詰まってしまったところを中心に説明し直してあげて、理解ができるようになったら、類題演習に進みましょう。

上記の流れで、「何がなぜわかっていないのか?」を解消することができ、お子さんが次回のテストでは確実に正答できるだけの理解力が身についていきます。

まずは「できた」ことを評価する

ここまでの流れが成績を上げるための土台になります。

実際に挑戦してみて、結果が出れば、毎月学習計画を立てて続けていくことで安定して成績を挙げられるようになります。

ただし、これだけで全てのお子さんが1ヶ月で成績が上がるわけではありません。

頑張ってみたものの、次回のテストでも思ったように点数が取れないということも、もちろんあります。

そのような場合でも、お子さんが努力したプロセスを褒めて上げることが大事です。

「約束通り、検算できているね!」

「接続詞に線を引けたね。」

「一応偏差値5UPが目標だったけど、今回偏差値が2もあがったね。すごいね」

といったように、立てた目標通りに進まなくても、今回できたことことを目一杯褒めて上げてください。

頑張ったことを褒めてもらえることで、「次もやってみよう。今月も頑張ろう」と思えるため、この繰り返しが成績UPという結果に結びついていきます。

様子を見るのは最大3ヶ月。効果が出ない場合、新しい対策を考える

最低でも月1回のペースで学習方法の見直しを行いながら、上記の流れで、成績が上がらない原因が解消されるか?挑戦してみてください。

それでも最大3ヶ月挑戦してみたけど成績が上がらないという場合に加え、

お父さん・お母さんが忙しく学習管理をするのが難しい、

志望校合格のために、もっと速いペースで成績を上げたいという場合には、もっと違ったアプローチを考えなくてはなりません。

ご家庭だけでは対策を思いつかないなら、プロの個別指導・家庭教師をつけることも含めて検討が必要です。

中学受験では、今のまま量を増やすだけの学習では絶対に成績は上がりません。

4. 【教科別】中学受験で成績が上がらない原因と対策

続いて、教科別に中学受験の成績が上がらない原因と対策について解説していきます。

中学受験算数の成績が上がらない原因と対策

中学受験の算数で成績が上がらない原因と対策について解説します。

公式の丸暗記になっている/答えを出すことが目的になっている

算数の成績が上がらないお子さんは、何を求めるための公式なのか?どうしてその式になるのか?を理解せずに、公式を使ってしまうことが共通しています。

算数では途中式(考えるプロセス)こそ大事なのですが、算数が苦手なお子さんほど、答えを書くことが目的となっています。

「問題文に書かれた数字を公式に当てはめる」という考えるプロセスが欠けた学習を続けていても算数の成績を上げることはできません。

類題演習だけに頼ることなく、まずは学習の初めに「どうしてそうなるのか?」が理解できているかを確認し、1題ごとに思考しながら問題を解く学習習慣を身につけましょう。

問題が何を聞いているのかがわかっていない

算数を苦手としているお子さんの中には、

実は、問題文に何を聞かれているのか?が理解できていないお子さんも多いです。

お子さんの問題文の読み方を確認してみると、問題文を読むスピードが早すぎたり、目線の往復が問題文の行数より少ないということはよくあります。これは、「最後まで丁寧に読めていない」というサインです。

焦らず、ゆっくり丁寧に問題文を読む練習をするだけでも、算数の成績が上がったとう事例もありますので、ぜひ1度確認の上、対策をしてみましょう。

図や式を書く(与えられた情報を整理する)習慣が不足している

中学受験の算数では問題文に書かれてる情報を図や式に起こしながら、情報を整理する力も求められます。

そのため、式や図を書くのを嫌がっているお子さんは、学年が進むにつれて、どうしても算数の成績が上がらなくなっていきます。

「今はとりあえず答えが出せてるからいいや。」と考えて後回しにせず、早いうちから、図と式を書く習慣をつけていくことは、算数の成績UPには必須です。

これはあくまで習慣のため、学年が進むほど対策は難しくなっていきます。

特に6年生で式や図を書いていないお子さんは、これまでの習慣がどうしても抜けず、とにかく対策が難しくなりますので、できるかぎり早くからの対策をオススメします。

より詳しく中学受験の算数の成績を上げる方法については、下記の記事も合わせて参考にしてください。

【中学受験 算数】応用問題までしっかり解けるようになるには?算数の学習ポイントまとめ

中学受験国語の成績が上がらない原因と対策

中学受験の国語で成績が上がらない原因と対策について解説します。

漢字・語句トレーニングの不足

国語の本文を読むためには、語彙力(漢字・語句)はどうしても必要となります。

特に4年生では、物語文も説明文も内容自体はそこまで難しくなく、国語ができるかどうかは漢字を知っているかどうかにかかっているとまで言えるほどです。

語彙力のトレーニングをサボってしまうお子さんは、どんどん読めない言葉が増えていき、4年生時はなんとなく読めていた文章も、5年生以降の難しくなった文章では、意味が正しく捉えられなくなり、どうしても国語の成績が伸び悩みます。

国語の成績を上げるためには、朝学習などを通して、漢字・語句のトレーニング習慣を身に着けましょう。

疑似体験の「パッケージ記憶」ができていない

中学受験では、多くのお子さんがまだ経験していないテーマを扱うことがよくあります。

わかりやすい例では、男子の難関校で「恋愛」をテーマにした題材が扱われたり、「死別」「離婚」といった重めのテーマも頻出です。

国語の成績が上がらないお子さんは、1度読んだことのあるテーマを「パッケージ」として覚える習慣ができておらず、文章題を毎回「初見」の問題として捉えてしまいがちです。

成績を上げるには、「このようなテーマで、よく聞かれることは何か?」1つのパッケージとして覚えることも大切です。

国語の成績を上げるために「読書」が必要と言われるのは、たくさんのテーマに触れることができ、このようなパッケージ記憶の幅が広かがるからです。

国語の問題毎の「解き方」を知らない

国語が苦手なお子さんほど、「選択問題」で引っかかることが多いです。

最難関校の試験は例外ですが、基本的に中学受験国語の4択の選択問題は、「本文内容と全く違うことが2つ」あり、実質2択になっているというようなお決まりのパターンがあります。

このような問題毎の出題のパターンを知っているか、知らないかで、国語の成績を上げられるかが変わってきます。

本文内容の理解も大事ですが、問題のパターンごとにどのように答えにたどり着けばいいのか?を教えてあげることで、国語の成績を上げることが可能になります。

より詳しく中学受験の国語の成績を上げる方法については、下記の記事も合わせて参考にしてください。

”ちょっとしたコツ”で国語を得意にする 中学受験国語のツボ まとめ

中学受験理科の成績が上がらない原因と対策

中学受験の理科で成績が上がらない原因と対策について解説します。

理科を暗記教科と捉えてしまっている

理科の成績が伸び悩むお子さんは、理科を単純な暗記教科と考えてしまいがちです。

「植物の葉っぱが太陽の光を吸収して、栄養素を作り出すことを何というか?」という問題に対し、「光合成」と回答できないお子さんはまずいません。

ところが「光合成とはなにか?説明せよ」と言われると途端に正答率が下がります。

単語を丸暗記するのではなく、それがどんな現象なのかまで説明できる「理解」が中学受験の理科では問われる学力になります。

何を覚えるかが整理できていない

中学受験の理科で扱う内容は膨大で、覚えることがあまりにも多すぎます。

そのため、「何をどこまで覚えるのか?」を大人がある程度線引きして上げるなど、どうしても工夫が必要となってきます。

たとえば、「植物」の「単子葉類・双子葉類」を分類する問題があります。

この世の全ての植物の分類を覚えるのは不可能ですが、受験本番の試験では、これまで聞いたことのない植物が出題されることも珍しくありません。

そのため数の少ない「単子葉類」に該当する植物だけを先に覚えてしまい、それ以外は「双子葉類」としてしまうというように工夫した暗記が求められます。

理科の成績を上げるには、お子さんだけに覚えさせるのではなく、大人が条件を整理して上げることが必須です。

なぜそうなるのか?のイメージがつかめていない

理科では、なぜそうなるのか?仕組みを理解できていることが大事です。

月と太陽の動きなどは、実際に動きをイメージして、どこにどう影ができるのか?を体験することで、お子さんの理解は一気に高まります。

その一方で、目には見えない現象を扱うのも理科ならではなの特徴です。

「電流の流れ」などは理屈はあっても、目には見えません。

そのようなときに、図に書き込んだり、数字に起こすことによって、理科の現象を可視化することで、「どうして、そうなるのか?」を考える力があるかどうかで、理科の成績が変わってきます。

理科の成績を安定して上げるには、与えられた条件を可視化し、「なぜそうなるのか?」を考えることが必須になります。

より詳しく中学受験の理科の成績を上げる方法については、下記の記事も合わせて参考にしてください。

https://www.e-juken.jp/benkyo/chugakujuken-rika.html#gotop

中学受験社会の成績が上がらない原因と対策

中学受験の社会で成績が上がらない原因と対策について解説します。

因果関係の理解が不足している

なぜ、そうなっているのか?(地理)

結果、どうなったのか?(歴史)

なぜ、そのような決まりがあるのか?(公民)

といったように、どうしてそうなっているのか?どうしてそうなったのか?という理解がないまま、とにかく暗記するという勉強になっていると、社会の成績はどうしても上がりません。

因果関係も含めて1つのストーリーとして覚えることができないと、長期的な記憶が難しく、頭の中からどんどん抜けていくからです。

大人でも大河ドラマを見た時代の内容は妙に頭に残っているというような心当たりがあると思います。

中学受験の社会の成績を上げるためにも、「なぜ、そうなっているのか?」ということまで含めて覚えることが必要です。

どうしても後回しにされてしまう & 短期記憶の繰り返しになっている

多くの中学校で算数・国語と比較して配点が低いということや、理科と違い、明確な勉強方法がわからないということもあり、多くのご家庭で社会は中学受験科目の中で最も後回しにされやすい科目です。

そもそも勉強時間が必要以上に削られやすいため、成績が上がりにくいということもありますが、テスト前になると、その場しのぎの所謂「一夜漬け」のような短期記憶に頼った学習が行われがちです。

このように、社会の勉強の基軸が短期的な記憶に頼っているだけになってしまうので、時間が経ってしまうとすぐにほとんど忘れてしまうという非常に効率の悪い学習方法になってしまいます。

社会の成績を上げるためには、毎回学習時間をしっかり確保し、「時間が経っても、頭に残っている」「何がなぜそうなるのか?」という一連のストーリー性を伴った勉強が必要になります。

時間が経つと、細かい人物名や漢字が抜けてしまうのは仕方ありません。でも大筋「何がなぜそうなるのか?」は忘れないという学習が、社会の成績UPの鍵となります。

より詳しく中学受験の社会の成績を上げる方法については、下記の記事も合わせて参考にしてください。

中学受験 社会で成績を上げる方法とは?社会が伸び悩む原因と対策を徹底解説

5. 成績が上がらない不安をどう解消する?親御さんの不安解消とお子さんへの声掛け法

最後に、成績が上がらなくなってしまっている現状の不安とどう向き合うべきか?

親御さんの気持ちの整理の仕方と、お子さんへの声掛けの仕方についてお話します。

1回のテストで極端に成績が下がった場合は「気にしない」方が成績が伸びやすい

中学受験では、前回のテストより偏差値が一気に10以上下がってしまうことも珍しくありません。

このような場合に大切なことは、お父さん・お母さんが必要以上に動じたりしないこと。

またお子さんを責めないことが必須です。

というのも、中学受験で偏差値10以上急に下ってしまうような場合は、お子さんの学力よりも、気持ちやメンタル面によることが多く、次回のテストでは解消されることも多いからです。

そのため過度にお子さんにプレッシャーをかけたり、親御さんが動揺してしまう方が、却って次回のテスト結果に悪い影響が出がちです。

成績が急激に下がってしまったときこそ、お子さんの気持ちのケアを最優先に考えましょう。

5年生までは「偏差値」を気にしすぎない方が、成績が伸びやすい

成績が上がらないときに、「偏差値」ばかりを気にしすぎるのも逆効果になりがちです。

もちろん偏差値は志望校合格の目安として重要ですが、お子さんの成績を上げるためには、お子さんの現状を正しく把握することが、まず必要です。

そのため「志望校偏差値まで、まだまだ差がある」と考えてしまうと、今何をすべきかに、どうしても目が向かなくなってしまい、今のお子さんでは、到底できないことばかりに挑戦して無駄に時間が過ぎてしまうということも珍しくありません。

そのため、成績が上がっていないときこそ、親が「偏差値」を気にしすぎないように注意が必要です。

まずは「できていること」を褒め、最小限の目標設定を

中学受験で成績を上げるためには、お子さんのモチベーションを上げることは必須です。

そのため「勉強ができていない」ことをいくら指摘しても、成績が上がることは絶対に有り得ません。

まずは今できていることを認めて、褒めて上げること。

そして、次に、お子さんに過度な負担がかからない範囲で、努力して実現可能な短期目標をし、親子でともに新たな学習に取り組むという姿勢が成績UPには必須となります。

また日々の生活の中で、「点数が上がったという」結果だけでなく、「今日頑張れたこと」「気をつけることができたこと」などプロセスを褒めてあげることも忘れないように心がけましょう。

【まとめ】中学受験で成績が上がらない原因は、大人が解消して上げるしかない

以上、中学受験で成績が上がらなくなってしまう原因について詳細に解説しました。

中学受験に挑戦するお子さんは、まだまだ小学生で「どのように勉強すれば理解できるのか?」を自分で考えることができません

だからこそ、最短で成績を上げるためには、お子さんが今何に困っているか?を周りの大人が考えて、その原因を1つずつ解決していくしかないのです。

「塾に通わせるだけ」

「子供に問題を解かせるだけ」

では、どうしても成績が上がらないのが中学受験の最大の特徴です。

この記事を参考に、ぜひ1度1ヶ月後に偏差値を5UPするには、どうすればいいのか?

お子さんの現状に合わせて考える機会にしてみてください。

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