合格を引き寄せるための「スピーディー&スロー学習法」とは
今の中学受験に合わせた学習、合格を引き寄せる学習を進めていくためには、スピード感を持ちつつ、問題にじっくり向き合う意識が大切です。
今回の記事では、合格を引き寄せるための「スピーディー&スロー学習」について詳しくご説明したいと思います。
「スピーディー&スロー学習」は今の中学受験に必要な勉強法
中学受験を取り巻く環境は大きく変化している昨今、子どもたちは「なにを勉強するか」より「どのように勉強するか」が問われる時代になっています。
今までは「たくさん勉強して、たくさんの問題を解く」スピーディーな勉強法が必須でしたが、最近はそれに加えてじっくり問題に取り組むスローな勉強法が必要になっています。
これは、多くの学校で思考力を問う問題が増えたこと、大学入試改革の影響で思考力だけでなく表現力を重視する学校が増えたからです。
スピーディー学習、スロー学習とはどのようなものなのでしょうか。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
「スピーディー学習」とは
「スピーディー学習」は、中学受験のための進学塾での学習に対応するために必要です。
塾の授業についていくためにはスピード感が必須
塾の授業はすごいスピードで進んでいきます。
塾の先生の説明は学校の先生の1.5倍くらいの速さで進み、板書はどんどん消されていきます。
算数の授業ではまず先生の説明があり、そのあと子どもたちが問題を解いて、数分後に先生が解説します。
塾の授業に慣れていない子、算数が得意ではない子は時間内に解くことができず、先生の解説が始まってもまだ慌てていてノートに書き写すことも難しいようです。
先生の解説や授業中に「ここが大切なポイントだな」「こういう原因でここを間違ったんだな」と確認できる余裕を持つようになるには、まずは問題を解くスピード感を身につけることが必須なのです。
基本的な処理能力を身につける
塾のテキストやプリント、市販の問題集などをスピーディーにこなしていくことで、処理能力を身につけることができます。
これは、算数なら計算練習やパターン問題演習、国語なら漢字練習や熟語の暗記など、各科目の基本的な処理能力を身につけるために必要です。
塾での成績を上げていくには必須ともいえるでしょう。
「スロー学習」とは
テストや入試本番に難しい問題に出会ったときにも、平常心で安定した行動をとらせるためのトレーニングが「スロー学習」です。
ミスしない、あきらめない
「スロー学習」が身についているお子さんは、どんな問題に出会ってもていねいに取り組むのでミスが少なく、すぐに投げ出したりしません。
普段から「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら正解への道筋を考えていく習慣があると、手強い問題に出くわしたときや、模試や入試本番など心理的プレッシャーがかかった状態でもいつも通りの手順で落ち着いて対処できます。
問題文をじっくり読む
算数の問題を解くときに、問題文をじっくり読むことも重要です。
問題文の中で「次の三角形ABCの…」と出てくると、さっと視線を三角形の図に移し、確認してからまた問題文に戻り、また文中に図が出てきたら実際に目で見て確認して、という具合に問題文をしっかり確認しながら読むことで、正解の道筋を整えていきます。
理科や国語の漢字などもただ暗記するだけでなく、理解してから暗記するためのノートに図を描いたり、辞書で調べて「へぇ、そうなのか!」と腑に落としてから暗記するのが「スロー学習」です。
「スロー学習」と「スピーディー学習」を組み合わせる
「スロー学習」と「スピーディー学習」にはそれぞれ違った目的があります。
「スピーディー学習」では、とにかく基本的な処理能力を身につけることを目的にしていますが、「スロー学習」は、いつも通りの安定した行動をとらせるためのトレーニングです。
難問に出会ったとき、テストや模試などでアタフタ焦ってしまうと、それがミスに繋がったり、「もう無理かも」と諦めてしまうことがあります。
しかし、この2つの学習で処理能力を上げて平常心で問題に取り組むことで、それを防ぐことができます。
家庭でできる「スロー学習」実践法
「スピーディー学習」は塾で実践してトレーニングすることができますが、「スロー学習」は意識して家庭で取り入れる必要があります。
特に元々成績のいい子は、「スピーディー学習」が中心になりがちです。
問題がどんどん解けるのが楽しくてますますスピードアップしていく子もいます。確かに4年生まではこのやり方でも大丈夫です。
しかし、5年生の5月あたりからつまずきやすくなるので要注意です。
そこで、家庭勉強でできる「スロー学習」の実践法をご紹介します。
・問題文をじっくり読む
・自分の手を使って式や図を書く
・自分で自分に問いかけながら考える
塾の問題や問題集を解くときに、この3つを意識してみてください。
「スロー学習」のための声かけ
とはいえ、子どもに「スロー学習は大切だよ」と言っても、理解してもらうのは難しいと思います。
毎日の学習効果を上げていきたいときに最も効果的なのは「具体的にどんな行動をとるとよいのか」をわかりやすくシンプルに伝えることです。
「スロー学習」のためには、じっくり読む・書く・考えることが必須です。
例えば、じっくり「読む」ためには、親御さんが一度お手本を見せてあげるとよいかもしれません。
「問題文に三角形が出てきたから、一度こっちを見てみようか」と具体的なやり方をわかりやすく教えてあげるといいでしょう。
「書く」ためにも同じで、ノートにどういう風に書くか具体的に伝えます。
「ノートを使うときは始めに必ず日付、テキスト名、ページ数を書こう」と、実際に書かせてみるとよいですね。
じっくり「考える」ことを身につけるためには、質問をしてみることです。
「何がわかっているの?」「何を聞かれているの?」「何を書けば解けそう?」などの質問を最初は親御さんが投げかけてあげてください。
これを繰り返すことで、子どもが自問自答できるようになります。
落ち着いてじっくり問題に取り組む習慣がつくと、どの科目でも日々の学習がしっかり身につき、テストや模試で実力を発揮していけるようになるでしょう。
そんな「スロー学習」をぜひご家庭で取り入れてみてください。