中学受験各学年の「冬休み」の過ごし方 – 冬休みまでの準備/冬期講習/年末年始/勉強時間 –
今回の記事では中学受験における「冬休み」について解説します。
冬休みは学年が切り替わり、学習の内容が大きく変わる前の段階として、とても大切な期間です。
2週間という短い時間でありながら、目的を持って正しく学習ができたかどうかで、結果が大きく分かれます。冬休みにはいる前にどのような準備をして、冬休みに入ってからどのように学習をするのかがとても大切です。
各学年・各塾毎に、冬期講習の目標は大きく違うので、講習の目標に合わせた学習管理と、冬休みに入る前に取り組んでおきたいことなど、中学受験における冬休みの学習について詳しく解説しています。
1.各学年・各塾の冬期講習の特徴
5年生の秋の段階で、受験に出題される範囲の約8割の学習が終わります。
冬期講習はその基本をしっかり押さえ、6年生から始まる演習問題に備える時期に当たるので、受講したほうがよいでしょう。
サピックス5年生の冬期講習の特徴
1月以降の学習につなげる位置づけの講座なので、2学期の復習は家庭で行う必要があります。
6年生の学習も意識して問題の難易度も授業速度も上がります。
また、休み明けすぐに1月の組分けテストが実施されるので、緊張感を持って臨みましょう。
日能研5年生の冬期講習の特徴
復習内容なので、授業は基本事項の説明なしに、演習中心で進みがちです。
基本の復習は冬期講習前に済ませておくことをおすすめします。
いずれの科目も入試の重要単元なので、じっくり復習するのにいい機会になると思います。
四谷大塚、早稲田アカデミー5年生の冬期講習の特徴
必修の「冬期講習」と、選択の「トレーニング算数国語演習」の2本立ての構成。
Sコース生は別扱いで講習が組まれます。
講習会で復習できる単元が何かを確認し、家庭学習の計画を立てることが大切です。
冬休みの5年生の勉強で特に意識して準備したいこと
5年生の冬休みの最大のポイントになるのは算数です。
算数は5年生の夏ごろに「比」の学習をしてから、その後の学習内容がガラッと変わり、様々な場面で比を多様するようになります。今までは差を取る、線分図を使う、少数や分数を使うという状況でしたので、頭の使い方がきているので、なかなか比を使う学習に上手く入れていないという場合は、冬休みに入る前に一度塾の先生にどのように対応をすればいいか聞くなど、対策をしておき、冬休みの期間でしっかりと習得できるように取り組むことをおすすめします。
冬休みが終わるとひと月もすれば6年生の学習になり、中学受験で習う学習内容をすべて網羅した状態になります。
冬休みの機会に冬期講習の復習ばかりではなく、今まで苦手になっていた、つまづいていた単元の問題や、テストで解けなかった問題などを1日1問でもいいのでピックアップして、取り組む時間を取ることをおすすめします。
他には、社会については、夏休みがおわってから歴史の勉強を続けてきているので、地理の学習から離れている状態が続いています。冬休みが終わったあとの組分けテストなどで、いきなり復習の意味を兼ねて地理の単元を出してくる塾は多くありますので、冬休みのうちに簡単でもいいので、地理の学習の知識チェックをすることをおすすめします。
次に、4年生の冬期講習の内容を見ていきましょう。
サピックス4年生の冬期講習の特徴
夏休み前の単元を多く扱うため、2学期の復習は家庭学習で対応しておきましょう。
学習が順調に推移している上位者向けの構成なので、復習単元のレベルもかなり上がります。
日能研4年生の冬期講習の特徴
冬期講習では、9月以降の復習単元を淡々と進めていく傾向があります。
5年生に入る前に問題点を修正、改善する貴重な機会として活用するのが賢い使い方となるでしょう。授業回数や時間数は短く、負担の少ない講習です。
四谷大塚、早稲田アカデミー4年生の冬期講習の特徴
4年生の重要単元と知識を大きく振り返りながら、1月以降の学習に軽く触れる構成になっています。5年生になると進度が早くなるので、講習の単元以外で苦手なところがあれば家庭で復習しておくとよいでしょう。
冬休みの4年生の勉強で特に意識して準備したいこと
冬休みの4年生の勉強内容として特に意識したいポイントは、「理科」「社会」をこの時間で学習を振り返ることです。
理科の学習では、4年生ではほとんどが暗記の単元になっていますので、勉強の仕方がわからない、例えば、ノートの取り方がわからない、宿題の仕方がわからないということがあります。
ノートなどを確認して、あまり学習が上手く行っていないと感じられた場合は、冬休みに入る前に、塾の先生にどのようなノートの取り方や宿題の仕方をすればよいか確認をしておいてから、冬休みに入ることがおすすめです。
社会の学習については、4年生はすべての時間、地理の学習をしてきました。
地理の学習については、常に地図帳と白地図を用意して、どこの話なのか、なにの話(工業、農業、地域の特徴など)を整理していくことをおすすめしています。
地理は5年生になっても続いていき、更に詳細なことを学習していきますので、冬休みに入る前の段階で勉強の仕方を見直して、冬休みでしっかりとその学習方法を定着させていけるように取り組んでみてください。
5年生の夏ごろから歴史の学習も始まりますので、時間があるときに、書籍が好きであれば歴史の漫画(まんが日本の歴史など)、動画が好きであればyoutubeやEテレなど歴史の学習に興味を持ちやすい状態を作っておくと、地理から歴史に変わったときにも、スムーズに取り組めるようになります。
2.新学年で成績を上げるためには「1月模試」の対策を
冬休み明けの1月の模試は、次の学年でのクラスを決める大事なテストです。
サピックスなら「1月度 組分けテスト」、日能研なら「公開模試」といったテストですね。
組分試験の結果によってその後の受験勉強が大きく左右されます。
冬休みが終わった時点でなにができるようになっていたいか、各教科どれくらい伸ばしたいかなどについて、より具体的な目標を設定しておきましょう。
3.冬休みの1日の勉強時間の目安は?
冬休みの1日の学習時間について、各学年の「塾のない日」と「塾のある日」の勉強時間の目安は下記のとおりです。
- 4年生
- 塾のある日:1.5時間から2.5時間(授業の振り返り30分を含む)
- 塾のない日:2~4時間(組分試験のための復習が間に合っていない場合は4時間必要)
- 5年生
- 塾のある日:2~3時間(授業の振り返り30分を含む)
- 塾のない日:3~4時間(組分試験のための復習が間に合っていない場合は4時間必要)
*上記以外に朝学習は、計算と漢字学習を各15分
*正月3が日は原則計算と漢字学習だけ(組分試験の復習が間に合っていない場合は、1~2時間)
4.冬休み「年末年始は」どのくらい勉強すればよい?
6年生は受験本番のため、休みなく勉強するご家庭がほとんどですが、4年生・5年生ともに正月の三が日の勉強は「完全にお休み」できるスケジュールをオススメします。
というより、3が日は休めるように予めスケジュールを組んでみましょう。
詰め込みすぎるより、しっかり休める日も取れたほうが効率があがるため、最低限のお休みはぜひ確保しておきたいです。
また時間を決めて、しっかり勉強をやり切るということも、時間がどうしても足りなくなってくる6年生のときに、非常に役立つスキルになるので、冬休みをきっかけにぜひ習慣づけていきましょう。
大晦日も含めて4日も休んでしまうとリズムが狂いやすいのも気をつけていただきたいポイントです。
ただし3が日でも、学習のリズムを崩さないために、朝学習(起きてからすぐの基礎トレ)だけは毎日続けるようにしてください。
5.冬休みに関するQ&A
中学受験情報局では、ユーザーの皆様からお寄せいただいた「よくある質問」に随時回答しております。冬休みについて多くの方からご質問いただいたのは下記の質問です。
冬期講習の受講は必須でしょうか?
5年生以降は「必須」と考える。
5〜6年生は冬期講習の参加はマストだと考えてください。
4年生はSapixを筆頭に、カリキュラムの進度が早く、冬休みの間も新しいことがドンドン進む塾では冬期講習の受講は必須ですが、冬期講習が完全に復習だけを取り扱う場合で、お子さんのレベルと内容が合ってないと感じる場合は、受講を見送ってもよいです。
受験生はお正月も勉強させた方がよいでしょうか?
5年生までは3が日は休む。
5年生までは3が日は休めるように冬休み全体のスケジュールを組みましょう。
4年生・5年生の段階から時間をめいっぱいに使って勉強をする習慣を作ってしまうと、学年が進み、勉強量と難易度がドンドン上がっていく中で、必ず限界が来てしまうため、6年生まで到底もたないのです。
適度に休みを入れて、適度な時間で必要な学習をこなすことが、中学受験で求められるスキルです。ぜひ冬休みを、余裕をもって勉強ができる習慣づくりの機会にしてください。
中学受験情報局では、ユーザーの声をもとに、中学受験に関する様々な疑問に答え、お子さんの成績UPの糸口をつかんでいただけるように情報配信しています。