子どものつまずきを具体的に見極める。算数の図の書き方のポイントとは
算数のつまずきに対してどのように対策をとればいいのかわからないという親御さんへ、今回の記事では、「図の書き方」について解説していきます。
子どもが面積図や図形問題でつまずいている方の参考になれば幸いです。
図の書き方の基本
文章題を「図」で考える解法は、つるかめ算や時計算だけでなく、旅人算、通過算、流水算などさまざまな問題で使われます。
とても便利なのですが、前提として「図が書けること」が必要になってきます。問題文を読んで、それを図解する作業です。
これは、問題があまり難しくないうちからのトレーニングが必要です。コツをしっかりつかんで正確な図を書けるようにしておきましょう。
まず基本的なことですが、線をまっすぐに引くことが大切です。
いちいち定規で引いていると時間がいくらあっても足りないので、フリーハンドでまっすぐに線を引く練習をしてください。
慣れの問題もあるので、図を書く必要がある問題をたくさん解かせることでできるようになってきます。
次に大切なのが、図に書き込む数字や文字をていねいに書くこと。
せっかく解法がわかって図も書けたのに、自分で書いた数字や文字を読み間違えてしまっては、もったいないと思います。
きれいに書くのはもちろんのこと、どこの長さを指す数字なのかをわかるような位置に書く工夫も必要です。
図の書き方の注意点
それぞれの特徴に合わせた書き方があるので、以下にまとめておきます。
・旅人算では、同じ時刻は同じ印で表す
・通過算の矢印は「先頭から先頭まで」「最後尾から最後尾まで」という起点と終点を正確に書く
・流水算では線分をていねいに、平行に描く
・時計算は、長針と短針をわかりやすく区別する
これらは、塾の先生が板書したことをノートに写すことによって覚えていきます。
正確に真似してノートに書き、できれば復習として何度か繰り返し書くといいでしょう。
それができたら、基本的な問題の図を自分でていねいに書くことから始めて、少しずつ難しい問題にチャレンジしてください。
図形問題でも「書き写す力」が必要
文章題を解くための図だけでなく、図形の問題にも「図が書けるかどうか」は重要です。
難易度にかかわらず、自分で正確な図が書けるかどうかは大きなポイントになってきます。
図形の問題は特に、「図を書き写す力」が必要です。これは慣れの部分が大きいので、図を書くのが苦手な子は、まずは単純な図形を拡大してノートにきれいに書き写すことから始めてください。
このときに、定規やコンパスを使わないようにしましょう。
フリーハンドで「それらしい図形」が書けていたらそれでかまいません。
おおまかでいいので、正確に書けるように練習しましょう。
「30度」「45度」の角度をわかりやすく書き分けられるようにするにはある程度数をこなすことが必要になってきます。
分度器でわざわざ確かめたりする必要はないのですが、感覚として角度を「だいたいこれくらい」と理解しておくことが大切です。
図形の特徴をおおまかにとらえ、ポイントをおさえて書き写すことができるようになると、図形の問題を解くことがずいぶん楽になります。
これができないうちに定規やコンパス、分度器などを使って図を書くとうまくいかず、図を書くこと自体に苦手意識をもってしまうので、あくまで「おおまか書く」ことを重要視してください。
理解が増えると、暗記すべきことが減る
図の書き方もそうなのですが、算数の勉強において、できることや理解が増えると、暗記するべきことがどんどん減ります。
自分の持っている知識の引き出しから必要なものを出し、それを応用して解けるようになるからです。
そうなると算数がもっと楽しくなり、苦手意識も薄れていくでしょう。高学年で算数が伸びるのは「覚えることを少なくして、理解すべきことを増やす勉強」ができている子です。
そのために大人ができることは、できるだけ「早くやりなさい」「がんばってもう1ページやりなさい」などと言わないことです。
それよりも「どうしてそうなるのか教えて」「どうやってこの図を書いて解いたの?」「どうしてここは同じ長さなの?」と具体的に問いかけてください。
そのことによって子どもも改めて自分の思考をもう一度さかのぼり、大人にわかるように説明することで知識として定着させることができるからです。
思考法を整理することで、遠回りしていた部分をそぎ落とすことができ、大切なポイントを認識できます。
理解できることが増えると暗記するべきことが減る、ということを実感した子どもは、一回一回納得して勉強をすればあとは覚える必要がない、ということを発見するでしょう。
すると算数が好きになり、「おもしろい!」と感じることができます。
これが算数の成績を伸ばすいちばんの近道ではないでしょうか。
中学受験のために必要な単元の学習は、ほとんどの塾で5年生のうちに終わります。
かなりの速さでカリキュラムが進んでいくということですね。
子どもがつまずく「割合」「速さ」などの単元で、ただ「がんばれ」「もっとやりなさい」と激励してもちゃんと理解することは難しいでしょう。
子どもがどこでつまずき、悩んでいるのかをまずは見極め、それにていねいに取り組んでいくのが最短で最善の方法です。