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「国語力」の3つの核とは。学校で習う国語と、中学受験の国語の違い

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公開: 最終更新日:2021年07月12日

「国語力をつけたい」「うちの子は国語力がなくて」など、「国語力」という言葉をよく耳にすることはないでしょうか。
でも、この「国語力」とは、具体的にどういう力なのでしょう。
ここでは、そんな「国語力」について、また小学校で習う国語と中学受験に必要な国語の力の違いついても考えてみました。

「日本語ができる」=「国語ができる」ではない

日本で暮らしていて、日常的に日本語を話しているのだから、国語はできて当たり前」と考える方もいるようですが、本当にそうなのでしょうか。
日本に生まれ育った人なら、自然に日常生活で困らないほどの日本語を身につけています。
でも、だからといって国語力が高いというと、そうではありません。
人によっては、「話すのは上手だけど、書くのは苦手」「文章にして人に伝えるのは得意だけど、会話で伝えることが難しい」など、日本語に対しての意識は違います。

どうやら、私たちが「国語力」と呼ぶものは、日本語にまつわるひとつのことに秀でていることではなく、もっと総合的なもののようです。
それがペーパーテストの点数に表れることもあるし、日常生活におけるコミュニケーション能力や、仕事における情報伝達力や処理能力に表れることもあるでしょう。
「国語力」という言葉は日常的に使われますが、それが何を指すかは人によって多くの捉え方があるようです。

「国語力」の3つの核とは

このように、「国語力」とは総合的な力であると言えます。
核となるのは「論理力」「感情理解力」「語彙力」の3つです。
人間は言葉で考えます。書籍から知識を得たり、他人の言葉から学んで成長していきます。
そして、相手の感情を読みとったり、その感情に合う言葉を返すことで、人とのつながりを深めていくのです。

そのためには、ものごとを論理的にとらえる力、感情を理解する力、言葉を使いこなす力が必要です。
国語力とは、こういう力のことです。
目の前の事実を客観的に把握し、情報を適切に処理し、人の感情を理解したうえで的確な言葉を使って伝えていく人が「国語力が高い」と言われているのではないでしょうか。

ただ日本語が話せるからといって、これらの力が自然に育つことはありません。
意識して学び、育てていかなければならないのです。
それが国語という科目の目的ともいえます。

学校で習う国語について

小学校で習う国語では、1年生から少しずつ漢字の読み書きを習い、いろいろな文章に触れ、少しずつ言葉の意味を知っていきます。
また、書いてあることを読みとり、それを文章で人に伝えることを学んでいきます。
段階的に子どもの成長を見守りながら、言葉を用いた活動全般を学んでいけるのは、学校で習う国語のいいところです。

子どもがそれぞれの感じ方や捉え方を自分で知り、また他人の感じ方を知ることができるのも、子どもが多様な方向に成長していく貴重な機会になります。
対話を大切にするのも学校国語の特徴で、生徒同士で話し合ったり、先生が生徒たちに意見を求めたりすることを通じて、多様な考え方や感じ方、価値観を発見することを目指す授業が意識的に行われているのです。

学校の国語では、大人向けの難しい内容の文章に触れたりすることはしません。
ほとんどの場合、授業では生徒たちに意見を発言させ、ほかの生徒の意見を聞いて気づいたことや感じたことを話し合ったりする、アウトプットの時間が多いといえるでしょう。

中学受験の国語は「設問」で成立している

一方で、中学受験の国語で求められるのは、読みとり能力や記述表現の力です。
特に進学校の場合は、文章の理解力や論理的思考力がある程度ついていないと、入学してから授業についていけなくなってしまいます。
文章読解力と論理的思考力が入試で問われるのはそのためです。

また、入学者を選抜するために、試験には「点数」をつけなければなりません。
そのためには、誰が見ても「なるほど、その通りだ」と納得できる設問が必要となります。
文章を読んで考える、感じることは、本来は人それぞれなので、内容に違いが出ます。
ですので、入試問題では読み手の個性は関係なく、文章の読み方を固定するような設問をつくっています。

「中学受験の国語は、設問で成り立っている」と言えるので、中学受験の国語の問題を解くためには、設問に答えられるように問題文を読みとる力、設問に答えられるだけの語彙力、そして、設問自体を理解する力が必要です。
入試問題をつくる側としては、読みとりを難しくしたり、答えに必要な言葉の量を増やしたり、設問がなにを問いたいのかをわかりにくくするなどの方法で受験生に得点差をつけるしかありません。
もっと簡単に言えば、文章を難しくする、記述説明文を増やす、設問の問いかけを複雑にする、ということです。

これらに対して、学校の国語の授業では対応することは難しいので、中学受験の国語の入試対策が必要なのです。

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