中学受験 受からない子に共通する「学習のクセ」と「親の特徴」
中学受験のセミナーや家庭教師をしていていちばん多く受けるのが「たくさん勉強しているのに成績が上がらない」「ミスが多い」というお悩みです。
そういったお子さんには共通する「学習のクセ」があり、多くの親御さんにも特徴があります。
ここでは、それがどのようなものなのかを考えてみます。
「学習のクセ」チェックリスト
中学受験を目指すご家庭では、親御さんが子どもの食事の管理や睡眠時間の確保などの体調管理、お子さんが何時間くらい勉強したか、宿題をどれくらい終わらせたのかを毎日チェックして学習のフォローをしているケースが多いと思います。
でも、お子さんが「どのように勉強しているか」をじっくりと観察したことのある親御さんは少ないのかもしれません。
そこで「成績が伸びない」「ミスが多い」とお悩みの親御さんは、ぜひ次のチェックリストを試してください。
●チェックリスト
・ケアレスミスが多い
・しっかりと問題文を読まずに問題を解き始める
・不機嫌でイライラしながら勉強することが多い
・わからない問題が出てくると諦めてしまう
・あてずっぽうの答えを書くことが多い
・ノートや解答用紙の字が雑
このうち3つ以上の項目が当てはまるようなら、お子さんの勉強の仕方を見直したほういがいいでしょう。
なぜなら「正解することよりも、勉強を終わらせること」が目的になっているからです。
受験生の多くが「アタフタ学習」をしている
実際の中学受験では、塾から出される大量の宿題やテストに追われ、毎日アタフタしながら勉強を繰り返している子が多いようです。
こういう子たちは一見問題なく見えることもありますが、どこかで確実につまずきます。
決してサボっているわけではなく、長時間机に向かって一生懸命やっているのですが「とにかく勉強を終わらせよう」と必死になっているからです。
このタイプの子どもは親御さんも焦っていることが多く、つい「もっと勉強しなさい」「テストの見直しはちゃんとやってるの?」などと叱咤激励をしてしまい、その結果ますます子どもがアタフタと学習する、という悪循環に陥ってしまいがちです。
毎日の学習の仕方が積み重なると、大きな差がついてしまいます。
アタフタと学習することで本来身につくべき力が身につかず、いくら勉強量や時間を増やしても成績が伸び悩んでしまうのです。
問題文をきちんと読んでいますか?
この「アタフタ学習」をしている子どもには大きな特徴があります。
それは「問題文をよく読まない」ということです。
普段、お子さんがどんな様子で問題を解いているか、よく観察してみてください。
算数の問題を一瞥しただけで解き始めているような子は、要注意です。
私は家庭教師としてご家庭に伺ったときは、必ずお子さんの隣に座ります。
どんな鉛筆の持ち方をして、視線がどこに向かっているかなどを確認するためです。
「アタフタ学習」をしている子は目の動きでわかります。
難関校の算数は問題文が長文であることが多いですが、それを流し読みして「これはたぶん○○算で解ける」と当たりをつけています。
子どもの目の動きを追うと、数字だけを拾っていることがわかります。
視線が「先へ、先へ」と急いでいるので、問題を解くために必要な条件や、正解につながるヒントを読み落としてしまいます。
勉強にやる気のある子は、アタフタしながらも問題に真剣に向かっていますが、やる気のない子は「早くこの嫌な時間を終わらせたい」という一心です。
どちらのケースでも、このやり方を続けて成績が上がるはずはありません。
「今の中学受験」に合った学習法が不可欠
中学受験の勉強を乗り切るためには、たしかに学習量は必要です。
大量の問題を、短時間で解くことが求められる側面もあります。
だからこそ、親御さんとしても子どもの成績が伸び悩むと「もっと学習スピードを上げなければ」「もっとたくさん勉強をさせなければ」と考えがちです。
その気持ちはわかるのですが、子どものほとんどは毎日の塾や家庭学習で心身ともに「いっぱいいっぱい」の状態でがんばっています。
そんな状態なのに、親御さんに「もっと、もっと」と急かされると、気持ちが焦ってついアタフタしてしまいます。
子どもたちも「もっと学習量を増やしてスピードを上げなければいけない」と思い込んでしまうのです。
でも、中学受験も時代とともに変化しています。
これまでは確かに「たくさん覚えて、たくさん問題を解く」という勉強法でも合格できたかもしれません。
でも、問題の内容や質が変化している昨今、従来のやり方では、6年生の受験直前期まで成績を伸ばし続けていくことが難しくなってしまいます。
情報の取捨選択が親の大切な役割のひとつ
今は、中学受験や教育の情報が溢れています。
親御さんは、子どもの中学受験の情報をインターネットやSNS、ママ友からの口コミでたくさん集めることができます。
中には有益な情報もあります。でも、そうではない情報も混在しています。
それを取捨選択せずに「うちの子にはこれがよさそう」「あれもやらせないと」と振り回されていると、そのアタフタが子どもにも伝わってしまいます。
親としてできる大切なことは、まずはお子さんとじっくり向き合い、どのような学習法が合っているのか、それはどうしたら身につけることができるのかなど、情報を調べつつしっかり選ぶことです。
そして、目の前のお子さんが今どのような状況で、どんな学習をしているのかをちゃんと見ることが不可欠です。
そういう意味では、まずは親御さんがアタフタせずに中学受験に向かうことが必要なのかもしれませんね。