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算数の実践対策 6年生になったら「捨て問題」を見つける練習を

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公開: 最終更新日:2021年07月19日

志望校が気になってくる6年生。
中学受験の算数対策として「捨てる問題」を判断する練習をしておくことが必要になってきます。
どのように判断したらいいのか、その方法を具体的にお伝えします。

6年生になったら「捨てる問題」を見つける練習を

6年生の1学期と2学期では、勉強の方法も少し違ってきます。
一般的に、1学期はまだ学力をつける時期なので、志望校がはっきり決まっていなくても大丈夫です。
2学期からが志望校の傾向に合わせて点数を上げていく時期です。

1学期から少しずつ始めたほうがいいのが「捨てる問題」を見つけることです。
というのも、合格最低ラインの得点が6〜7割なら、残りの3〜4割は解けなくてもいい問題なのです。
中学受験の最大の目的は、満点を取ることではなく、合格すること。普段の勉強もそれをふまえてやっていくようにしましょう。

国語の「漢字」、理科や社会の「暗記もの」については、覚えていないものにいくら時間をかけても解けるはずがありません。
でも算数の場合、問題によっては考えているうちに解ける場合があります。
ですので、塾の先生は「簡単にあきらめないで、粘りなさい」と指導しがちですが、この時期の受験対策としては不向きな場合もあります。
むしろ、「捨てる問題」として割り切って次の問題に進まなければ、それ以上点数を上げることができません。

中学受験では多くの難問が出題されるので、できない問題があるのは当たり前です。
本質的にわかっていない問題はいくら考えても無駄なので、できないものはできないとさっさと諦めさせるようにしましょう。
難易度が高い問題を子どもにずっと考えさせても「困ったなあ」と思っているだけで、すでに別のことを考えていることもあります。
頭の中の手持ち材料をすべて使い切ってもなにも出てこない状態なら、「もしかしたら解けるかも」という希望を捨てる思い切りのよさも必要です。

5分考えて手が動かなかったら、諦める

算数が得意な子が問題を解く様子を見ていると、かなりの難問でも、3分ほど考えてから手が動き出すことがほとんどです。
さらに、特別にできる子なら1分以内に鉛筆が動き始めることもあります。
3分たっても手が動かない場合は、それ以上待っても解けないことが多いのです。テストなどで集中力が高まっているときでもそれは同じで、解くための手がかりが3分以内につかめていないと、まず無理です。

家庭学習などふだんの場合はテストのときより集中力も下がるので、5分考えて手を動かせなかったら、手を差し伸べてあげるべきでしょう。
ヒントになるような質問を投げかけたり、問題集の解説などをしてあげてください。

「諦める問題」の判断材料は「正答率」

ただし、すべての問題で「5分考えて手が動かない場合は諦めていい」というわけではありません。
どの問題を捨てるかという判断には、それぞれの子どもの現在のレベルや状況、志望校などが関わってきます。

次の3段階で考えるようにしましょう。

  1. ①いま解けなければいけない問題
  2. ②いま解けたほうがいい問題
  3. ③いまは解けなくていい問題

この見極めをするのにいちばんいいのは、塾のテストの振り返りと「正答率」の確認です。
「正答率」とは、この問題を解けた人がどれだけいるかということをパーセンテージで表したもの。

偏差値50くらいの学校を目指すなら、正答率50%の問題でまちがっていたものは、なぜまちがっていたかをしっかり振り返り、理解して必ず解けるようにする必要があります。
さらに余裕があれば、正答率40%の問題にも挑戦しておきましょう。
偏差値60以上の中学を目指しているなら、正答率40%の問題は確実に解けなければなりません。
テストの振り返りをして30%の問題にも挑戦するようにしましょう。

問題の選別は6年生以降の受験対策

このように「諦める問題」「必ず解けるようになるべき問題」の選別は、6年生限定の受験対策です。
いくら難しくて無理そうだと思っても、4年生の段階では、最後まで粘るようにしてください。
5年生になったら、「超難問は無理しない」という選択肢が少し入ってきてもいいかもしれません。

5年生の塾の範囲の広いテストの中には、満点が取れないように超難問を入れておく「満点対策」されているものもあり、1問か2問、正答率が2%以下という極端に難しい問題が混ざっている場合もあります。
これは、実際には誰も解けない問題と考えてかまいません。解き直しも復習もする必要はないでしょう。

何時間もかけてこうした問題を1問理解したとしても、その場では理解できても翌日になったらもう解けなくなっている場合もあります。
6年生の段階でこれをやってしまうと「あんな時間をかけたのに、解けなかった」と自信を失ってしまうことがあります。

時間や気持ちに余裕があるときに挑戦するのはかまいませんが、算数の問題の取捨選択は慎重に行いましょう。

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