中学受験 社会の学習法その1
暗記だけでは入試問題には対応できない
「社会は暗記科目」「追い込みの科目」「入試直前にがんばって詰め込めばなんとかなる」 など、いろんな「誤解」がある中学入試の社会ですが、もちろん入試直前にがんばって詰め込んだだけでなんとかなる科目などではありません。
例として、2015年度の聖光学院中の入試問題をとり上げてみます。
「円高だと輸入に有利」「円安だと輸出に有利」と覚えていれば、それで解けてしまう問題も確かにあります。しかし上記のような難関校ともなると、なぜ円安になると輸出に有利なのか、そして輸出に有利というのは具体的にどういうことなのかを理解していなければ解けない問題が出題されるのです。基礎力だけでなく、読解力や思考力も必要になるのです。
だから、ふだんの社会の勉強はあまり理解できていなくても、入試直前にがんばって覚えればなんとかなく、ということなどないとわかるのです。
自分なりの暗記法・勉強法を
上の項目では「暗記だけでは中学入試の社会は乗り切れない、ということを説明しましたが、それでは暗記は必要ないのかといえば、まったくそうではありません。「三重県の県庁所在地が津市だということを覚えていなければ、いくら考えても出てくることはありません。
暗記は「それだけで十分」というものではなく、考える上で必須のものだということです。考えるベースとしての知識がなければ、思考問題を考えることはできません。暗記教材はお通いの塾で指定されているものがあると思います。サピックスなら「コアプラス」、日能研なら「メモリーチェック」などを使って万全にしておきましょう。
理科や社会の暗記で大切なのは、自分なりの暗記法、勉強法を身に着けていることです。ひとことで「社会の語句を覚える」といっても、暗記法はいろいろです。単語カードのようなものを作って頻繁に見るという方法もあれば、テキストにマーカーで着色する、あるいは語呂合わせなどもいいかもしれません。社会が得意なお子さんは、要点ノートやチェックテストなど独自の工夫をしていることも多いものです。
自分が何かを暗記するとき、どのような方法で暗記すれば覚えやすいか、という自分の特性、自分なりに暗記しやすい方法を知っておくことは、今後社会の(算数や国語、あるいは理科の暗記などでもそうですが)学習を進めていく上でとても大きな財産になります。
「◯◯ページの語句を覚えてきなさい」
という講師は多いですが、お子さんなりの暗記法を見つけるヒントなどをくれる講師は意外と少ないものです。皆さんのお子さんの塾の先生はいかがでしょうか。
4年生の夏には覚えておきたい都道府県名
地理の知識の「引き出し」になるのが都道府県名。「足尾銅山」という語句だけを覚えていても入試問題には対応できません。「栃木県の足尾銅山」と都道府県とセットで覚えておけなければ、一問一答の問題集はできても入試問題レベルでは使えないのです。
入試問題で出題されるのは「一問一答」ではなく「複合問題」であり、難関校の中には地理歴史の混合問題を出題する学校も多くあります。だから歴史で学んだ重要語句も「それは何県にあるのか」というレベルで押さえておきたいのです。
せっかく詳細な知識を習っても、「引き出し」がなければ頭のなかに散らかったままになり、いざという時に出てきません。4年生夏くらいまでには47都道府県を覚えてしまい、そこに詳細な知識を収納していくイメージで、それ以降の学習ができればベストです。
このように、社会の学習スタイルをきちんと確立した上で塾の授業を受ければ、成績、偏差値も安定していきます。
ぜひ一度、社会の学習法を見直してみてください。
「下線部①について、なぜ自国の通貨の価値が下落すると輸出が有利になると考えたのでしょうか。このことを説明した文中の( A )と( B )にあてはまる語句や文の組み合わせとして正しいものを、あとの(ア)~(エ)から1つ選び、記号で答えなさい。
(文)
たとえば、日本の通貨の価値を落とした場合、ほかの通貨に対して( A )となり、一般的には( B )と考えられていたから。
(ア)A:円高 B:輸出価格が低くなり輸出量が増える
(イ)A:円高 B:輸出価格が高くなり輸出額が増える
(ウ)A:円安 B:輸出価格が低くなり輸出量が増える
(エ)A:円安 B:輸出価格が高くなり輸出額が増える